米Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは6月3日、D8 Conferenceにおいて、同社がスマートフォン分野で誤りを犯したと述べるとともに、米AppleのiPhoneや販売台数を伸ばしているAndroid搭載端末などの競合製品の強さを認めた。
このディスカッションの詳細な内容はD8 ConferenceのWebサイトに掲載されているが、記事の形に整理されているわけではない。
「われわれはこの分野で先行していたが、現在は市場で5番目の位置にいる」――壇上の質疑応答セッションで、バルマー氏はWall Street Journalのウォルト・モスバーグ氏にこう答えた。「われわれは1周遅れてしまった。既に発表した通り、Windows Phoneソフトウェア部門の責任者を一部異動した。組織を少し改革する必要があったからだ」
しかしバルマー氏は、スマートフォン分野は常に流動的な市場であり、「Windows Phone 7」の投入準備を進めるMicrosoftにもチャンスがあることを強調した。Windows Phone 7は同社のスマートフォンOSの新バージョンとなるもので、年内にリリースされる見込みだが、その時期はまだ明らかにされていない。
「われわれは携帯電話事業で前進している」とバルマー氏は語った。「しかしこれは非常にダイナミックな分野であり、この数年間で2回も市場リーダーが入れ替わった。われわれは優れたアイデアを打ち出し、一貫した姿勢で実行する必要がある」
モバイル分野への取り組み強化の一環として、Microsoftは最近、若年層をターゲットとした2機種の携帯電話「KIN ONE」と「KIN TWO」を投入した。両機種ともSNS向けに最適化されており、画像などを素早くクラウドにアップロードできる。これはMicrosoftがモバイル製品分野で広範な計画を立案・実行できることを示すものだと評価するアナリストは多いが、KIN投入後の最初の数週間の販売台数を同社はまだ公表していない。
バルマー氏は、競合各社がモバイル市場で大きなシェアを確保していることも認めた。BlackBerryのメーカーであるカナダのResearch In Motion(RIM)については「有力なライバルであるのは明らか」としながらも、「汎用的なITプラットフォーム」としての実力はやや劣ると評した。競合企業に関する同氏のコメントの大半は、コンシューマー向けスマートフォンの分野で大きな地盤を築いたAppleと米Googleに関するものだった。
Appleについては、「数年前にゼロから出発して見事な成果を実現した」とバルマー氏は評価した。「彼らはWebブラウザで最も良い仕事をした。人々はアプリに注目しているが、同社の携帯電話における最大の差別化要因はWebブラウザだ」
一方、「Androidは非常に強力なライバル」であることをバルマー氏は認めながらも、タブレットPC市場ではGoogleの可能性は不透明だという見解を示した。この市場では、Androidは少数のメーカーの製品にしか採用されない見込みだ。「大型ディスプレイ搭載デバイスの分野でAndroidが成功するかどうかは疑問だ。Googleが2種類のOSを提供する理由がよく分からない」
D8でのディスカッションには、Microsoftのチーフソフトウェアアーキテクトのレイ・オジー氏も参加し、タブレットおよびMicrosoftのクラウド進出をめぐる広範な議論に加わった。オジー氏は、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末の普及が進んでいるが、フォームファクターが多様化する余地はあるという見解を示した。
「パッド型やタブレット様式など、さまざまなフォームファクターに成功の可能性があると思う。家電のような画面を備えたデバイスがリビングルームに進出するだろう」とオジー氏は語った。「しかし(コンテンツの)利用向けの環境と作成向けの環境では、生産性の面で根本的な違いがある。どのデバイスも両方を備えていなければならない」
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