米Microsoftは8月4日(現地時間)、米salesforce.comと係争中の特許侵害訴訟で和解に達したと発表した。長引くとみられていた、クラウドの未来をめぐる象徴的な争いに終止符が打たれた。両社は今夏、特許侵害でお互いを提訴していた。
知的財産に関しては、合意条件は補完的なもののようだ。Microsoftが8月4日に発表した声明文には「契約期間中、salesforce.comは同社の製品、サービス、バックエンドサーバインフラでMicrosoftの特許ポートフォリオの幅広い適用を受ける。また、合意条件の一部として、Microsoftも同社の製品およびサービスでsalesforce.comの特許ポートフォリオの適用を受ける」とある。
だが、両社は金額は明らかにしていないが、Microsoftはsalesforce.comから補償金も受け取ることになる。発表時点の両社は融和的な口調だった。
「salesforce.comとの間の訴訟を終わらせることで合意できたことをうれしく思う」とMicrosoftの知財およびライセンス担当副法務顧問であるホレーショ・グティエレス氏は8月4日付の声明文で語った。「この合意は、企業が互いの知的財産権を尊重しつつ市場で健全に競争できることを示す好例だ」
salesforce.com側の声明はもっと簡潔だ。
salesforce.comのコミュニケーション部門の副社長を務めるジェーン・ヘインズ氏はeWEEKにあてたメールに「salesforce.comはこの訴訟と決別できてうれしい」と記した。
5月の時点とは大きな違いだ。同月、Microsoftが最初に9件の特許を侵害したとしてsalesforce.comを提訴し、salesforce.comのマーク・ベニオフCEOは同社の業績発表の際、この新たな敵を「パテントトロール」集団で「裏通りのチンピラ」だとののしった。
その後、6月24日にsalesforce.comが5件の特許を侵害したとしてMicrosoftを反訴。両社の争いは本格的なバトルロワイヤルに発展するかにみえた。salesforce.comは、かつて米司法省がMicrosoftを提訴した際に司法省側の主任弁護士を務めたデビッド・ボイス弁護士を雇いまでした。
多くのアナリストが、両社の反目は企業およびコンシューマーにとってクラウドの重要性が高まっていることの表れと見ている。
「クラウドの重要性はますます増している」と米Altimeter Groupのアナリスト、レイ・ワン氏は6月28日のeWEEKのインタビューで語った。「クラウドをめぐる争いでは、salesforce.comとMicrosoftが2大巨頭になる。.NET側のMicrosoft Azureと、それに対抗するJava側のSalesforce。これは激しい戦いになるだろう」
ワン氏はまた、こうした争いはクラウドの人気の高まりを示しているという。
「争いは続くだろう。シリコンバレーでビジネスをするというのはこういうことだ。訴訟は、製品やサービスの競争が激化するプロセスの一部なのだ。企業とコンシューマーの境界がぼやけるにつれ、クラウドは膨大なユーザーベースを意味し、さまざまなビジネスの鍵となる」(ワン氏)
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