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» 2011年03月01日 07時19分 UPDATE

Appleの定期購読ルールに高まるパブリッシャーの不満

Appleが2月15日に発表したApp Storeでの新定期購読サービスのルールをめぐり、サードパーティーから「強欲だ」という不満の声が多数あがっている。

[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 米Appleが発表したiPadおよびiPhone向け定期購読サービスのルールが、電子出版業界に波紋を広げている。出版社らはさまざまな不満を表明しているが、特にAppleは強欲だと主張する。

 Appleは2月15日(現地時間)、電子雑誌、新聞、音楽などの出版社がコンテンツで収益を上げることを可能にする定期購読サービスを立ち上げた。

 既に定期購読者を抱えているか、アプリケーションで新たに購読者を獲得した出版社は売り上げの100%を保有できる。顧客がAppleのiTunes App Store経由で申し込んだ場合は、Appleが料金の30%を徴収する。

 出版社を不安にさせる要素がもう1つある。Appleのプラットフォームを利用する出版社は、(自社サイトなどでコンテンツを販売する場合)App Storeのアプリを通じても同じコンテンツを同価格で提供しなければならないのだ。

 AppleのApp Store経由の定期購読申し込みはほんの数クリックで完了するので、AppleはApp Store経由でコンテンツを買うようユーザーを誘導しようとしているとパブリッシャーは主張し、憤慨している。

 不満は多数のコンテンツパブリッシャーから噴出している。音楽プロバイダーは既に楽曲の著作権者、レーベル、アーティストに利用料を支払う必要があり、この追加の料金は受け入れられないと感じている。例えば音楽配信サービスの米RhapsodyはeWEEKに次のようなコメントを寄せている。

 Appleに売り上げの30%を支払うというAppleの取り決めは、音楽レーベル、販売会社、アーティストにコンテンツ使用料を支払っているわれわれにとって、経済的に受け入れにくいものだ。つまり、一般的なクレジットカード手数料が2.5%のところをAppleの30%という月間手数料を受け入れるとしたら、iTunes Store経由でサービスを提供することはできそうもないということだ。

 米Last.fmの共同創業者であるリチャード・ジョーンズ氏は、Appleの定期購読料金が音楽共有サービスに与える影響について、もっとはっきりと言及した

 また、Appleが消費者にiTunes経由でコンテンツを購入させようとして制定したアプリ内購入ルールを非難する向きもある。

 月額5ドルで広告なしのコンテンツを読者に提供するアプリを手掛ける米Readabilityのリチャード・ジアデCEOは、このアプリのApp Storeへの登録をAppleに拒否されたという。コンテンツ購入システムにAppleのIAP(アプリ内購入)API以外のシステムを使うことでApp Storeのガイドラインに違反しているというのが拒否の理由だ。

 Readabilityは著者と出版社にサービス料金の70%を支払っているため、Appleへの30%の支払いは「Readabilityのビジネスモデルの前提を根本的に破壊する」とジアデ氏はApple宛ての公開書簡に書き、次のように続ける。

 冷静さを取り戻す前に、われわれが今どう感じているかをお伝えしたい。貴社の新しいポリシーは強欲の気がある。われわれの製品のような定期購入アプリは貴社の売り上げのほんのわずかに相当するほんのわずかな売り上げにしかならない。

 ジアデ氏は、Appleには自社のハードウェアで稼働する自社ソフトウェアのプログラムを好きなように運営する権利があるが、同社は売り上げの多くをiPadとiPhoneから得ており、Appleの開発者エコシステムで何とかやっていこうとしているアプリケーションパブリッシャーにはほとんど何も残さないと説明する。

 こうした主な不満については、米Ajaxian.comの共同創設者であるディオン・アルマー氏や米Instapaperのマルコ・アーメントCEOなどの思想的指導者が、経済的、政治的、論争的な分析を行っている。

 アーメント氏はブログで次のように述べている。「IAP外の購入システムを運営しているすべてのアプリ提供者にいきなりこのルールを完全に受け入れるよう強制することには、はっきりした実質的な理由がない。ただ強欲に見えるだけだ」

 アルマー氏は自身のブログで、30%の料金はパブリッシャーを米GoogleのOne Passなどのほかのプラットフォームに押しやることになるだろうと語った。

 Appleの定期購読モデルへのこうした抗議や反対は、テクノロジー業界の誰よりも自分に有利な取引をするAppleのスティーブ・ジョブズCEOに変化を引き起こすだろうか? 米調査会社Gartnerのアナリスト、マイケル・ガーテンバーグ氏はeWEEKに、静観する必要があると語った。

 「最終的には市場と顧客が決定するだろう。サービスがiTunesのアプリストアから撤退し始めれば顧客は失望し、Appleはそれに対処するだろう」とガーテンバーグ氏は語る。「Appleの観点では、同社はいつでもレートを引き下げることができるが、引き上げはできない。Appleは、顧客がほかのサービスに支払う料金と同額を自社サービスに支払うことを確実にしたいのだ」

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