今後半年ほどで、日本国内ほぼ全ての線量データを取得したいと伊藤氏は話す。また今後は、大量の放射線データと医療データを組み合わせるための活動にも注力するという。
「例えば放射線によって鼻血が出やすくなるという“うわさ”があった場合、鼻血が出た人たちがどこにいるかをデータ化してマッピングすれば、実際の線量と関係があるかが分かるはずだ」(伊藤氏)
また、従来は「放射線とガン発生にどれだけの因果関係があるか誰にも分からなかった」(伊藤氏)という。だが今回のプロジェクトで放射線量を共有し、さらに人々の健康情報をネットワーク上で統計できるようになれば、こうした問題も解消されると伊藤氏は話す。
「日本は今、世界で初めて放射線と医療のデータを組み合わせて解析する機会を手にしている。そのためには大量の医療データを1カ所に集める必要があるが、患者1人1人のプライバシーを守るための技術もたくさんある」(伊藤氏)
医療データを患者自身が利用できるようにするためには、医療制度の壁も大きいと村井教授は指摘する。だが、こうした壁を乗り越えて多くの人々の医療データや健康情報を集められれば、非常に大きなインパクトがあるという。
「例えば東洋医学で用いられる薬は多数の成分が複雑に絡み合って効用を生むため、これまで効き目を科学的に証明しにくいという問題があった。だが、ネット上で多数の人の医療情報が集められるようになれば、東洋医学の持つインパクトを証明できる可能性もある。そのためには患者が自分の健康データを自分で管理できるようにすることが大事。こうした変化は、今後必ず起こっていくだろう」(村井教授)
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