育休中の女性にじわり浸透 マネジメント学ぶ「育休プチMBA」成長の秘密

» 2018年06月11日 10時00分 公開
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 育児休業中の女性たちがマネジメントを学ぶ――そんな取り組みがじわりと参加者を増やしているのをご存じだろうか。その名も「育休プチMBA」勉強会。2014年にボランティアで始まったこの取り組みは、口コミを中心に参加者を増やし、2018年5月現在までにのべ4000人以上が参加するほどに成長している。

photo 育休プチMBA勉強会の様子

 代表は、慶応ビジネススクールでMBAを取得し、現在は静岡県立大学で講師を務める国保祥子さん(経営学博士)。さまざまな企業の研修や組織マネジメント支援を手がけてきた経験の持ち主だ。

 勉強会の開催場所は都内が中心だが、講師を務める国保さんは静岡県在住。1回あたり数十人に参加者が増えたいま、都心在住の運営メンバーと連携しながら勉強会を企画・開催している。運営チームも同じく育休中の女性がほとんどで、数カ月ごとにメンバーが入れ替わるため、その運営手法も独特だ。

 なぜ育児休業中の女性を対象に勉強会を開くことにしたのか。どのような運営方法で規模を拡大し、取り組みの先にどんな未来を描いているのか。国保さんに聞いた。

育休中にマネジメントを学ぶ意義

 育休プチMBAは、育児休業中の会社員(主に女性)向けに月に1〜2回開かれているトレーニングプログラム。企業向け研修などを手がける株式会社ワークシフト研究所(所長は国保さん)が非営利事業として運営を監修している。

photo 国保祥子さん

 「MBA」が名称に含まれているが、学位を取れるというわけではない。ここで重視しているのは、企業内で意思決定をする経営者や管理職がどのような思考をしているかを学ぶこと。「復職後に管理職を目指す」ことよりも、上司の考えていることを知り、スムーズなコミュニケーションを図れるようにするのが狙いだ。

 「育児休業から復帰した人の多くは、仕事と育児を両立するため時短で働くことになります。時間の制約がある中で、いかに効率的に仕事をするかが課題になるんです」と国保さんは話す。そんなとき、上司がどのような視点で物事を考えているかを知っておけば「話を理解しやすくなり、コミュニケーションがスムーズになる」という。

 「このことが仕事の効率化と働きやすさの向上につながり、復職後に離職しなければならない状況を防げると考えています」(国保さん)

規模が急拡大、メンバーが2拠点に――運営チームが直面した“転機”

 育休プチMBAがスタートしたのは2014年半ばのこと。きっかけは、当時第一子妊娠中だった国保さんが、第二子妊娠のため育休中だったある法人営業の女性とママ向けエクササイズ教室で出会ったことだ。

 「2人でお茶をしていたときに、その人が『ビジネス能力開発の学びの場がほしい。育休中に子連れで行けるところがあったらいいのに』と言っていたんです」(国保さん)

 これを聞き、リーダーシップ教育など人材育成の企業研修を2006年ごろから手がけていた国保さんは思った。「自分なら、育休中の女性向けプログラムを提供できるのではないか」――。こうして、その女性が家族で住むマンションの一室を借り、ボランティアで育休プチMBAがスタートした。

 当初は毎回4〜5人ほどの参加者だったが、一度参加した人がリピーターになったり、友人を連れてきたりして、1回あたりの参加者は10人超に。そんな中、転機は訪れた。2014年11月、経済誌のWeb版で取り上げられたことで、参加希望者が30人超まで膨れ上がったのだ。

 「さすがにその規模だと自宅では無理です。みんながボランティアという手弁当状態で実施していたのですが、会場を借りないと開けなくなり、2015年1月の回からはイベントとして運営することにしました。会場を借りて、参加費用を徴収して」(国保さん)

 「でも当時は正直、本当にそんなに人数が集まるのかな、という不安もありました」と国保さんは振り返る。だが、その不安を吹き飛ばすかのように、多数の参加申込みがあったという。

 「出産後もキャリアを諦めたくない、働き続けたい女性が増えているのを実感しました」と国保さん。「しかしこれだけ規模が大きくなると自分たちだけで回すわけにもいかないので、育休中の人たちの中からボランティアを募り、運営チームを結成したんです」

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 転機はこれだけではなかった。規模を大きくしたのは2015年1月だが、その少し前の2014年8月に国保さんは居住地を静岡県に移していた。育児や大学講師をしながら、東京の運営チームと連携するにはどうすればいいか――ここで注目したのが、Web会議を活用することだ。

 「自分の育休中にも大学の仕事で無料のWeb会議ツールを利用していたので、地理的に場所が離れてもテクノロジーさえ使えばカバーできるだろうと考えていました」(国保さん)

 だが、運営チームのメンバーは10〜15人ほど。無料ツールだと通話・映像品質が安定しなかったという。そこで出会ったのがブイキューブのWeb会議ツール「V-CUBE ミーティング」だ。

 「いまでは毎週木曜日にV-CUBEを使って運営チームの定例会議を行っています。参加者は10〜12人ほど。これだけの人数になると、無料ツールとは安定性がやはり違うなと感じますし、使い勝手がいいんです」

photo 運営チームの遠隔ミーティングの様子

 「それから、これは私たち独特のことだと思いますが、運営チームメンバーはみんな子育て中で、必ずしもPCの前にスタンバイできるわけではありません。子どもを抱っこしたままミーティングに参加することもあります。そんなとき、スマホに対応している、しかも使いやすい、という柔軟性があるのがありがたいですね」(国保さん)

顔が見えるオンラインコミュニケーションは「リアルの補完」

 こうして育休プチMBAは東京・静岡の2拠点で拡大を続け、今ではのべ参加者4000人超、Facebookコミュニティーには約800人が参加するまでになっている。

 規模の拡大に合わせて、運営チームの業務も増えている。チケット販売や受講生管理をはじめ、広報業務、Facebook上のコミュニティー運営やオフ会の企画などさまざまだ。これらの業務を、育休中の運営メンバーが半年〜1年の“期間限定”で担っている。

 運営チームの定例会議は毎週1時間。国保さんはこの会議自体も復職前のトレーニングと位置付けているという。

 「復職後はどれだけ効率よく動けるかが重要になります。会議を1時間で終わらせられるよう、事前に資料を準備したり、各議題への時間配分をきっちり行ったりするスキルを身に着けておけば、その場になって慌てることがなくなります。実際、復職後の時短勤務の中で、ここでのトレーニングが役に立ったという声も聞いています」(国保さん)

 Web会議をきっかり1時間で終わらせられると、充実感も得られる。ときには45分ほどで終わることもあり、「そんなときには残り時間を雑談に使っています(笑)」と国保さん。「勉強会の終了後、運営メンバーとWeb会議でつながりながら“打ち上げ”をすることもあります。V-CUBEだとみんなの顔が見えるので、本当に自然に会話ができるんですよね」

photophoto 遠隔打ち上げをすることも

 とはいえ、Web会議を用いたコンパクトなコミュニケーションだけでは組織運営に支障をきたしてしまうこともある。そのため、勉強会スタートから数年たった今も、運営チームのキックオフミーティングだけは必ずオフラインで集まるようにしているという。

 国保さんは、Web会議のようなオンライン上のコミュニケーションを「リアルコミュニケーションの代替ではなく補完だ」と言う。

 「顔が見えるから、音声だけやテキストチャットよりもすれ違いが発生しにくいのは事実です。でもやっぱり、リアルにはかなわない。ディスコミュニケーションの発生率は、テキストチャット→音声通話→Web会議→リアルコミュニケーションという順番で高いと感じています。私たちが定期的に行なっているWeb会議は、たまにしか会えないメンバーとのリアルコミュニケーション濃度を高いものにしています。全然やり取りしていなければ、実際に会ったときもこれほど打ち解けられないでしょう」(国保さん)

 ほとんどのやり取りをオンラインで行っていても、コミュニケーションで最も大切なのはリアルに会うこと。ただ、実際に会ったときの時間の密度を濃くするのが、Web会議を用いた顔を見ながらのオンラインコミュニケーションだ――と国保さんは考えている。

 「いま多くの企業が行っている営業や打ち合わせのほとんどは、実際は直接会う必要がないのではないでしょうか。技術的にはすでに確立されていますから。でも、強い立場の人、例えばクライアントが『オンラインでいいですよ』と言ってくれないと、弱い立場の人からは言い出しづらい。立場の強い人から『じゃあオンラインで』と提案してくれるような世の中になれば、社会全体のコストも下げられ、女性だけでなく、男性にも働きやすい世の中になってくるのかな、と考えています」

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 政府が後押しする「働き方改革」という言葉にもみられるように、ビジネスパーソンの出産・育児といったライフイベントを取り巻く環境は、育休プチMBAが始まった2014年当時からも変化しつつある。国保さんは「これからも社会の変化に応じたプログラムを提供していきたい」と展望する。

 「育休プチMBAの目的は育休後の復職支援ですが、復職して終わりではなく、復職後も活躍し続ける人を増やしていきたい。卒業生がどんどん活躍して、企業の意思決定に関わる人を増やしていけたらと考えています。それは決して女性だけのためではなく、社会全体の働きやすさを上げることにもつながるはずですから」(国保さん)

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2018年7月10日

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