新卒半年で“支社長”に!? 全国展開を進める急成長ベンチャー「あしたのチーム」、その秘密は

» 2018年02月13日 10時00分 公開
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 新卒入社から半年で支社長を任される――この話を聞いて、どのような企業を思い浮かべるだろうか。社員わずか数人の小規模企業? そうではない。国内外に約35拠点・社員150人を抱える急成長ベンチャーでの出来事だ。

 その企業とは、法人向けに人事評価制度の構築・運用サービスを提供している「あしたのチーム」。2008年に都内で創業以来、順調に業績を伸ばし、14年から急速に全国展開を進めている。

photo あしたのチーム

 なぜこのような組織展開が可能なのか。入社半年で京都支社長になった峯村茜さんと、同社初のサテライトオフィスでマネジャーを務める西村耕世さん、東京本社で人財開発部部長を務める石田至子さんに聞いた。

全社員の約7割が地方拠点 急速な全国展開、なぜ可能?

 あしたのチームは、全国の中小企業に対して人事評価制度の構築・運用サービスを提供しているベンチャー企業。同社の人事評価サービス「ゼッタイ!評価」は、人事評価制度の構築のみならず、それが企業内に定着するところまで運用をサポートしている点が、全国さまざまな中小企業に支持されているという。

 その評判を支えているのが、企業の人事評価制度の悩みや課題をヒアリングし、適した評価制度の構築を行うコンサルタントと、サービス導入・運用を支援するコンシェルジュという存在だ。同社は2018年1月現在、全社員約150人のうち約110人が本社以外の拠点で勤務し、各地の顧客に対してきめ細やかな提案、サポートを行っている。

 ただし、同社のように創業数年のベンチャーが急速に多拠点展開することは多くない。一般的にみても「各地の担当者をどのように採用するか」「採用後にどのようにマネジメント、教育するか」といった課題が目に浮かぶ。

 それらのハードルをどう乗り越えるのか――。同社が採った手段が、全拠点での大規模なWeb会議サービスの導入だ。

photo 営業本部 第2営業部 京都支社 支社長の峯村茜さん

 あしたのチームは現在、全国に散らばる拠点間のコミュニケーションのほか、採用面接や入社オリエンテーションなど、さまざまな業務でWeb会議をフル活用している。17年4月に新卒入社した峯村さんも、Web会議を使った採用プロセスを経て入社した社員の1人だ。

 「就職活動を行っていた当時、関西に住んでいたのですが、東京本社の人事担当者とまずWeb会議で面接しました。きちんと相手の顔を見ながらコミュニケーションが取れますし、不自然さは一切感じませんでしたね。むしろ、このような採用をしている企業は他に見当たらなかったので『とても進んだことをしている会社だな』という印象を受けたのを覚えています」と峯村さんは振り返る。

入社半年で支社長に 先輩が身近にいない“新卒マネジャー”の仕事とは

 そんな峯村さんこそが、入社半年で支社マネジャーに就任した“最年少支社長”だ。まず大阪支社の新入社員として17年4月に入社した峯村さんは、わずか半年後の10月に、新たに開設する「京都支社」の支社長に就任した。

 「当社では年齢や社歴、職歴は一切関係なく、一定の条件を満たした人にどんどん重責を任せていくんです」と、同社経営企画本部 人財開発部部長の石田至子さんは話す。

 ただ「正直、支社長への就任当時は不安もありました」と峯村さん。入社半年といえど、就任した以上は他拠点のマネジャーと同じく、支社の業績達成プランの立案・実行、部下へのマネジメント業務なども担当する。京都支社のスタッフは峯村さんを含めて2人。マネジメント業務の傍ら、自ら顧客への提案やサポートにも向かわなくてはならない。

 こうした日々の業務においても、Web会議は欠かせないものになっている。

 通常、経験の浅い営業やコンサルタントが商談に臨む際には、先輩社員が同行することが多い。しかし、京都支社には峯村さんよりもキャリアが上のコンサルタントがいない。そこで当初は、Web会議を通じて先輩社員に商談の場に“バーチャル”で同席してもらっていたという。

photo Web会議を用いた「遠隔同行」のイメージ

 「商談の場に持参したノートPCを使って他拠点と接続し、上司にWeb会議を通じて参加してもらっていました。多くのお客様は最初『そんなことができるんですか』と驚きますが、Web会議だからといってコミュニケーションに齟齬が生じるようなことはありません。あくまで私が主担当としてお客様と会話しつつ、必要があれば遠隔地の上司にサポートしてもらう。私にとっても安心感を持ち、堂々とご提案できるメリットがありました」と峯村さんは話す。

 日々の支社マネジメント業務も、遠隔地の先輩たちに支えられているという。「支社を運営する上で分からないことが出てきた際も、Web会議を通じて他拠点の支社長に相談するなど、Web会議がなくては仕事が回らない状態です」(峯村さん)

徳島拠点と福井拠点のマネジメントを兼務する人も

 同社がWeb会議の活用を始めたのは2014年のこと。徳島県三好市に初のサテライトオフィス「三好ランド」を開設した際、東京本社とのコミュニケーション用に、無料の個人向けWeb会議サービスを導入した。

 その後、同社は三好ランド以外にも続々と地方拠点を開設。遠隔拠点間でのコミュニケーションを行うためのWeb会議に求める条件も増えてきた。そこで同社は、安定性が高く、サポート体制に優れる法人向けWeb会議システムへの移行を決断。さまざまなサービスを比較検討し、実績などを加味してブイキューブのWeb会議サービス「V-CUBE ミーティング」を選択した。

 三好ランドでマネジャーを勤める西村さんは現在、三好市付近の顧客に提案・サポート活動を行いながら、遠く離れた福井県鯖江市にあるサテライトオフィス「鯖江ランド」のマネジメントも兼務しているという。それを支えるビジネスインフラもV-CUBE ミーティングだ。

photo 三好ランドの西村マネジャー。取材も東京支社からWeb会議を通じて行ったが、その場にいるのと変わらない調子で話を聞くことができた

 「別拠点の部下とはなかなか対面で顔を合わせる機会が持てないので、V-CUBE ミーティングでひんぱんにコミュニケーションを取るようにしています。当社では毎朝、V-CUBE ミーティングを通じて全社で朝会を行っていますが、その後に必ず鯖江ランドとも個別ミーティングを行っています」と西村さんは話す。

 鯖江ランドの部下に業務をレクチャーする際に用いるのもV-CUBE ミーティングだ。「画面共有機能を使えば簡単にPCの操作手順を示せるので、とても重宝しています」(西村さん)

拠点をまたいで“遠隔ランチ”も 「Web会議なしの仕事は想像できない」

 Web会議の活用がすっかり定着した同社はいま、新拠点の開設を急速に進めている。2018年3月には、全47都道府県に拠点を展開する計画だ。人財開発部の石田さんによると、各地の求人への応募者も多く、多いときには1日当たり約10件の採用面接をWeb会議を通じて行っているという。

 「当社の地方拠点は現地採用が基本です。そのため採用面接は、採用する拠点と(人事担当者がいる)東京本社との間をWeb会議でつないで行います。また最近では、応募者のPCやスマートフォンにV-CUBE ミーティングのソフトを導入してもらい、応募者の自宅などから面接することも増えてきました」(石田さん)

photo 石田さん(手前)による遠隔面接のイメージ

 新入社員の入社後に実施するオリエンテーションや研修なども、東京本社と各拠点との間をV-Cubeミーティングでつないで行っている。このように、日々の業務にすっかりWeb会議が定着している同社。石田さんはWeb会議を使い始めるに当たって特に違和感を抱くことなく「いつの間にか使いこなしていた」という。

 三好ランドなどのサテライトオフィスと東京本社オフィスの間では、V-Cubeミーティングを使った「ランチ会」というユニークな取り組みも。普段、一緒に業務を行う機会が多いメンバー同士が、ランチタイムにサテライトオフィスと東京本社オフィスの会議室でそれぞれ集まり、V-CUBE ミーティングを介して遠隔でランチをともにしているのだ。

photo サテライトオフィスとの遠隔ランチの様子
photophoto

 この取り組みのかいあってか、「普段は互いに離れたオフィスにいて、初めて顔を合わせたメンバー同士でも、初対面という感覚はまったくありません」と西村さんは笑う。

 「これまで特に『Web会議を使いこなそう!』と意識したことはほとんどありません。日々行われる朝会やミーティングなどの場で毎日のようにWeb会議を使っているうちに、いつの間にか業務に定着していたというのが実感です」と石田さんも振り返る。

 「いまやWeb会議があるのが“当たり前”。これなしでの仕事なんて想像できません」と峯村さん。同社はこれからもWeb会議を活用し、全国各地に強力なチームの輪を広げていく。

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