「若者の流出食い止めたい」 地元企業に学生を振り向かせた、静岡新聞社の秘策

» 2018年12月17日 10時00分 公開
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 静岡県は近年、若者の地元離れに悩まされていた。同県では高校生の7割以上が県外に進学。その多くが進学先エリアで就職し、地元に戻ってこないという。この状況をなんとかしなければ――。そこで立ち上がったのが、地元有力紙の静岡新聞社だ。

 静岡新聞社は地域のマスメディアとして、地元企業の採用活動を長年サポートしている。大手就職活動サイトが台頭する前から、20年以上にわたって就職活動支援サイト「新卒のかんづめ」を運営。地元企業の採用情報を網羅的に掲載したサイトは珍しく、Uターン就職を希望する学生にとって、なくてはならない存在となっている。

photo 「新卒のかんづめ」

 しかし、地元企業から見た状況はここ数年で一変している。同社の西川美奈江さんは「かつてはサイトに情報を掲載し、合同説明会をすれば、学生はエントリーしてくれていた」と話す。今では地元企業への応募が激減し、中にはエントリー数が1桁の企業もあるという。

 この状況を打破すべく静岡新聞社が目を付けたのが、Webサイト運営にとどまらない“次の一手”だ。

なぜ学生はUターンしなくなったのか

photo 西川美奈江さん(静岡新聞社 浜松総局営業部 専任部長)

 そもそもなぜ、学生は地元企業に興味を示さなくなったのか。西川さんは「企業と学生の接点がなくなってしまったこと」を一因として挙げる。

 製造業の盛んな静岡県では、昔は親の職場や工場に出入りすることで、子どもの頃から地元にどんな仕事があるかを知ることができた。しかし、今は企業のセキュリティ強化などでそうした機会が失われ、学生は地元企業のことをよく知らないまま、県外に出ていくことになる。

 「大学進学率も上がった今、昔のように地元に戻ることを前提に県外に出る人は少ない。都会の生活は楽しいし、魅力的な企業も多いので、Uターン就職する気持ちが減ってしまっているのではないか」(西川さん)

学生を振り向かせる方法は

 地元企業に見向きもしない学生を、どうすれば振り向かせることができるのか。そこで静岡新聞社が考えたのが、「Webセミナー」による情報発信だった。

 「就活サイトで伝えられる情報は限られているが、Webセミナーなら企業の“生の声”を発信できる。見てもらうだけで、学生に企業の魅力が伝わるのではないか」(西川さん)

 Webで視聴できるセミナーなら、学生も時間やお金をかけずに参加できるという狙いもあった。

 多くの企業にWebセミナーを使ってもらうには、どんなシステムがいいか。セキュリティがしっかりとしていること、配信の負担が少ないこと、学生とやりとりできるチャット機能があること――そうした条件を満たすシステムを探しているうちに、静岡新聞社が出合ったのが、Web会議システムなどを手掛けるブイキューブの「V-CUBE セミナー」だ。

 V-CUBE セミナーは、セミナーのライブ配信や、動画コンテンツのオンデマンド配信ができるサービス。インターネット接続さえあれば、世界中で配信コンテンツを視聴できる。PCだけでなく、スマートフォンやタブレット端末からの視聴も可能だ。

photo V-CUBEセミナー

 「V-CUBEセミナーは他と比べて安定性が高く、配信中に落ちてしまうケースもほとんどない。シンプルに使え、サポートもしっかりしているので、配信する側の負担も少ないと判断した」(西川さん)

 導入はすんなりと決まり、2016年、17年度卒の新卒採用に向けて、グループ企業である静岡放送(SBS)のスタジオを活用したセミナー配信をスタートした。

配信にはローカル番組のスタジオも活用

 静岡新聞社・静岡放送では、座談会形式のWebセミナー番組を制作。アナウンサー、人事担当者、新入社員、中堅社員を集め、さまざまな立場から会社を紹介した。

photo SBSテレビのスタジオでのオンエア風景

 いざ配信してみると、学生の反応は上々だった。「とても良かった」「映像がきれいで見やすい」といった意見が届いた他、配信中に視聴者とやりとりできるチャット機能は「メールよりも気軽に質問できる」と好評だった。

 「会社説明会では、学生が本当は聞きたいと思っていることを聞けないことも多い。チャットなら学生も気軽に質問してくれるので、生の声を聞くいい機会になっている」(西川さん)

 一方、当初は地元企業から「動画配信はハードルが高い」という声もあった。しかし、静岡新聞社が積極的にWebセミナーの良さを伝えたり、SBSの人気番組のスタジオを提供したりといったサポートを続けるうちに、じわじわと参加企業が増えていった。

 「(静岡出身の学生が)よく知っている『あの番組』のスタジオを使ってもらうことで、学生の企業への親しみやすさも向上させられている」(西川さん)。3年目には、29社がWebセミナーを行うなど、地元企業の関心も高まっているという。

photo 地元企業のセミナーにもスタジオを活用

「ちゃんとした会社」だと分かってもらえた

 地元企業発のオンデマンド配信も、「新卒のかんづめ」サイト上にまとめて掲載している。業種は製造業や金融業、小売業、介護施設、学習塾などさまざまだが、「隣の企業も面白そう!」と、複数のセミナーを視聴する学生も多い。平均視聴人数は約100人。中には1000人近くに視聴された配信もあった。

 西川さんは「ただサイトに掲載していた時はなかなか注目されなかった企業が、Webセミナーで学生に興味を持ってもらえるようになった」と声を弾ませる。Webセミナーという新しい手法を取り入れたことで、学生に「この企業は採用に積極的だ」「入社してからも大事にしてもらえそう」といった印象を与える効果も生まれている。

 地元企業も、Webセミナーの効果を実感。「多くの企業に共通しているのは、学生の志望度が高くなっていること。Webセミナーを見て、志望動機を持ってから、会社説明会に来てくれるようになった」(西川さん)

 学生の就職活動では、企業のことをよく知らないまま説明会に足を運び、いざ聞いてみると「思っていたのと違った……」とギャップに悩むケースもある中、Webセミナーによってそうしたミスマッチがなくなり、実りのある採用活動につながっているという。

 中には「Webセミナーで会社説明会を告知したら、想定以上の人数が来て困った」と、うれしい悲鳴を上げた企業もあるそうだ。また、小規模ゆえに内定辞退に悩まされていた企業も、セミナーのおかげで「学生に、ちゃんとした企業だと分かってもらえるようになった」という。

静岡に若者を増やしたい

 静岡新聞社では現在、より多くの学生に視聴してもらえるよう、新しい形式のWebセミナーを企画している。これまでは1社ごとのセミナーが中心だったが、2019年1月には複数企業を招いた座談会形式の番組を配信する予定だ。「もっと多くの学生に見てもらう方法がないか考え、トライアルとしてやることにした。これまでにない使い方をすることで、企業に利用してもらうきっかけにもなれば」(西川さん)

 さらに将来は、同社の転職活動支援サイト「転職のかんづめ」での活用も検討している。転職活動は就職活動以上にインターネットでの情報収集が重要になってきており、強力な競合サービスも多いという。「その中でわれわれにできるのは、Webセミナーのような形でしっかりと情報発信していくことだと思う。今は新卒向けのセミナーで手いっぱいだが、ゆくゆくは転職活動者向けのセミナーにも取り組みたい」(西川さん)

photo 「転職のかんづめ」

 西川さんは、静岡県の現状を「いい企業はあるのに、人がいない」と捉えている。「静岡に戻ってきてもらうには、地元企業の魅力を知ってもらわなければならない。地元のマスメディアとして、企業の情報を届けて人を集めることで、地域の活性化に貢献したい」(西川さん)

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