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» 2020年04月20日 10時00分 公開

街を守る消防の最前線が“映像共有”でスマート化 「無線だけでは伝わりにくい情報を瞬時に共有できる」

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 地域安全を守る消防の現場で、情報伝達の手段が変わりつつある。さいたま市消防局は、災害発生時における現場の映像や地図情報をリアルタイムに共有できる「警防本部情報システム」を整備。消防無線の音声だけでは情報共有が困難な、刻々と変化する災害状況を警防本部や活動部隊間にて把握し、的確な判断や指示が迅速に行えるようになった。

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「正確な状況把握が難しい」という課題

 さいたま市消防局は、2001年5月・さいたま市発足にあわせて設立された消防部局だ。市内10区に10消防署・16出張所を置き、総面積217.4平方キロメートルの市域全体を管轄している。

 さいたま市消防局管内においては、年間約300件の火災出場に加え、救急出場については、約7万件、救助出場については約900件が発生しており、令和元年度には、台風第19号が接近し市内初となる大雨特別警報及び一部地域を対象とした避難指示が発令され、市災害対策本部及び消防局に警防本部を設置し対応した。

photo さいたま市消防局 警防部長の永瀬邦彦さん(瀬は旧字体、肩書は2020年3月の取材時)

 しかし、刻々と変化する災害状況を消防無線の音声だけで正確に把握することは難しく、警防本部と現場の間に認識のずれが生じることもあったという。

さいたま市消防局 警防部長の永瀬邦彦さん(瀬は旧字体、肩書は2020年3月の取材時)は、「聞き手によっては、現場と異なる解釈やイメージを持ってしまう課題があった」と説明する。

 「例えば、火災現場において、延焼状況を言葉で伝えようとしたとき、その伝え方、伝わり方には個人差が生じます。つまり、無線というツールだけでは刻々と変化する災害状況を正確に伝えることは困難であると。しかし、一度大規模災害が発生すれば、現場活動部隊と警防本部が同じ災害現場をイメージできなければ的確な判断を下すことはできないのです」(永瀬さん)

 こうした課題を解決するために、さいたま市消防局では、災害状況を映像や写真を介してリアルタイムに情報を共有し、瞬時判断と早期対応につながる仕組みの導入を検討することになった。

消防に求められる3つの要件とは?

 さいたま市消防局警防本部がリアルタイムに情報共有する仕組みを検討し始めたのは2016年のことだった。導入するシステムに求める要件として定義したのが「大画面モニターに電子地図を映し出し、そこに続々と入ってくる情報をマッピングして集約する」「現場のリアルタイム映像を警防本部で共有する」「万全なセキュリティ対策」の3つだった。

 「従来、迅速な情報の収集・集約・共有を実現するには、紙の地図を使って火災が発生した場所に印を付け、情報を手書きした付箋を張り付けるといったアナログな手法で対応していましたが、刻々と変化する災害状況の集約に苦慮していました。個人情報などの秘匿情報を取り扱う可能性もあるため、万全なセキュリティ対策も重要です。これらの要件を満たすシステムを探していました」(永瀬さん)

 そんな中、16年に神奈川県・横浜市で開催された「震災対策技術展」で見つけたのがブイキューブの「緊急対策ソリューション」だった。

 「ブイキューブの緊急対策ソリューションは、迅速な情報集約、リアルタイムな映像共有、セキュリティ対策という3つの要件を全て満たすものでした。今後起こり得る大規模災害に備えるためにも、こうしたシステムを早期に整備することが望ましいと判断し、導入を決断しました」(永瀬さん)

仮運用を重ねて、20年4月1日から本運用開始

 ブイキューブが提供する緊急対策ソリューションは、あらゆる情報を“オペレーションテーブル”の画面上に集約して表示する「V-CUBE Board」、遠隔地間の情報共有と協働作業を実現するWeb会議システム「V-CUBE コラボレーション」によって構成されている。

 さいたま市消防局警防本部ではV-CUBE Board、V-CUBE コラボレーションとともに電子黒板1台、55インチのモニター2台、6面マルチモニターを導入し、警防本部室内に設置。さらに現場へ出動する消防隊員が携帯するモバイル端末としてiPad 13台を導入した。

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photo 情報を集約して表示できる「V-CUBE Board」

情報を集約して表示できる「V-CUBE Board」

photo さいたま市消防局 警防部 警防課長の内田雅志さん

 導入が完了したのは19年11月のこと。ここに至るまでに大きな苦労があったと、さいたま市消防局 警防部 警防課長の内田雅志さんは話す。

 「検討を開始してから導入に至るまで3年ほどかかっています。この間、システムの重要性について各方面へ再三にわたって丁寧な説明を繰り返しました。大規模災害の被災経験がある自治体と違い、さいたま市は大規模災害に見舞われたことがなく、支援を受けた経験もありません。そのため周囲の理解を得るのに時間がかかりましたが、無事導入にこぎ着けることができました」(内田さん)

 導入後は、20年4月1日の本運用に向けた訓練と試用を行ってきた。各大隊をまとめる指揮係長を集めて、導入経緯や操作説明も実施。仮運用期間を設けて訓練を実施するとともに、実際の災害現場でも検証を重ねたことで、4月1日の本運用開始をスムーズに迎えられたという。

photo 埼玉スタジアムで行われた訓練で、iPadを使った映像の情報共有をテストしているところ

 同年12月には埼玉スタジアムで、化学剤散布により多数の傷病者が発生したという想定のもと、救助活動、除染活動、トリアージ、救急活動を災害の発生から一連の流れで実施する特殊災害連携訓練が行われたが、ここでも今回のシステムを活用した。

災害現場と警防本部が瞬時に情報を共有

 緊急対策ソリューションの本運用は始まったばかりだが、彼らはこれまでの仮運用期間を通じ、既にさまざまな効果を実感している。これまでは災害現場に出動した消防隊のみが知り得たリアルタイムの災害状況を、現場から離れた警防本部室や市災害対策本部にて確認することができ、瞬時に共通認識を持てるようになった。

 「火災発生時には、はしご車を活用して上空から撮影した映像を地上の部隊と共有し、延焼状況や包囲態勢を早期に把握して被災を最小限に食い止めることも可能になりました」(永瀬さん)

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 大規模災害発生時には消防隊の機動力を生かし、現場に出動しなければ分からない道路状況、被害状況、災害状況を警防本部や市災害対策本部にてリアルタイムに共有できると期待しているという。

 「現場から入ってくる無線のみではなかなか状況をつかめませんでしたが、現在は6面マルチモニターに現場からのリアルタイム映像が映し出されるため、より的確な判断と指示が可能になりました。今後発生し得る大規模災害において、活動方針を決定する上でも有用な判断材料となるものだと捉えています」(内田さん)

今後もさらなる高度化・機能強化を目指す

 今回導入したシステムは、さいたま市消防局の主導により導入されたものだ。今後は、埼玉県や県内消防本部とも連携できるシステムへと発展させていくことも視野に入れているという。

 「近年リアルタイムに映像を送受信することで情報共有を図ることの重要性については、各方面で認識されており、同様の取組みが見られています。大規模災害が発生すれば、さいたま市消防局管内にとどまらず、近隣市町村、埼玉県が一体となって災害対策に取り組む必要があるため、今後は情報連携の仕組みを強化していく必要があると考えています」(永瀬さん)

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 また、緊急対策ソリューションのさらなる高度化・機能強化についても、積極的に関与していく姿勢を見せている。

 「現場で使用するiPadは熱・水・粉じんに弱いため、現在は防水・防じんカバーを付けて対応していますが、必ずしも十分ではありません。今後はさまざまなシーンでの活用を通じて課題を抽出し、より災害に強いモバイル端末についてブイキューブと一緒に探求していく予定です。現場で活動する消防隊員の手をふさがずに情報収集が可能なウェアラブルカメラの活用なども含め、今後はさまざまな端末やツールの検証を重ね、より有用なシステムへと進化させていきたいと考えています」(内田さん)

 全国的に見れば、災害対策の現場で活躍する消防のデジタル化はまだ発展途上の段階にある。さいたま市消防局の取り組みは、そうした市町村消防本部にとって大いに参考になるに違いない。

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提供:株式会社ブイキューブ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2020年5月24日

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