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» 2020年02月28日 10時00分 公開

セカイカメラの井口尊仁氏がおしゃべりアプリ「Dabel」を生み出した理由 人々が“井戸端会議”に夢中になる魅力とは

[PR/ITmedia]
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photo 「セカイカメラ」(「Tonchidot」公式YouTubeチャンネルより引用)

 2008年ごろにスマートフォンの可能性を世に大きく広めたアプリ「セカイカメラ」を覚えているだろうか。スマホのカメラを通して、目の前の風景にある建造物や場所にタグで情報を重ねられるAR(拡張現実)アプリだ。

 そんな時代を先取りしたセカイカメラだけでなく、日本初のメガネ型ウェアラブルデバイス「Telepathy One」の開発者としても知られるIT起業家・井口尊仁さんは今、米国でDOKI DOKIという会社を立ち上げ、「Dabel」(ダベル)と名付けたiOSアプリをリリースして人気を集めている。日本語の“駄弁る”をもじったアプリが提供しているのは、ユーザー同士が双方向で楽しめる“おしゃべり”の場というが、人々の関心を集めるまでには数々の試行錯誤があったという。Dabel誕生のきっかけとは?

photo DOKI DOKIの井口尊仁さん

「気軽に会話が楽しみたい」から始まる

 Dabelはライブストリーミングの音声コミュニケーションアプリだ。ホストが作成した部屋の中で複数人が通話できる──という機能は従来のアプリと同じだが、Dabelの特徴は、その通話自体がコンテンツになることだ。

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 ホストが作成した部屋は一覧としてユーザーに公開され、部屋に入れば誰でも通話の内容を聞ける。内容に興味があり「喋りたい」と思ったら、たったのワンクリックでホストの許可を得て通話に参加できる。通話のログは蓄積され、他のユーザーは後からコンテンツとして聴ける。

 井口さんはこの取材を受けている最中にもDabelを起動してみせると、すぐに見ず知らずの人と打ち解けて会話を楽しんでいた。相手も「Dabel開発者がインタビューを受けている真っ最中」であることを知ると、テンションを上げて会話が弾んでいた。

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 井口さんはDabelを「いつでもどこからでも安全に“井戸端会議”を楽しむためのアプリ」として開発したと話す。井口さんはこれまでにいくつものIT系スタートアップを立ち上げてきた。しかし、どれもが必ずしも成功したわけではない。ビジネスがうまくいかないことで、周囲の人が離れていく経験を何度も味わったという。そんな時に感じた「誰かと話したい」という気持ちがDabelを生み出した。

 「人は孤独になると、他人とのつながりを求めて誰かと会話をしたい、誰かと会話の時間を共有したいと思うようになるものです。私もそうでした。とある大学の研究によると、人は会話の輪に混ざることで幸福と感じるといいます。そこでスマホアプリを使った音声コミュニケーションに興味を持ちました」(井口さん)

 これまでネット上のライブ配信サービスといえば、ポッドキャストのように配信者からの一方的なコンテンツが当たり前だった。双方向で通話が行えるアプリも、見ず知らずの不特定多数の人たちと気軽に会話が楽しめるといったものは少ない。「ならば自分で作ろう」と思い立ったことが、Dabelの開発に至ったきっかけだった。

視覚障がい者を起点にして注目を集めるように

 Dabelはもともと「ear.ly」(イアリー)という名前で2019年1月にリリースされた。当初は音声を通じて感情を込めたコミュニケーションを図れる“音声のSNS”という位置付けだったが、使われ方の多くはホストがライブストリーミングで音声コンテンツを配信し、それをリスナーが聴くという、これまでと代わり映えしない使い方だった。

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 「これでは想定していた“井戸端会議のおしゃべり”とは違う」──リリース当初はユーザー数も伸び悩んでいたという。井口さんが求めていたのはあくまでも「ホストとリスナー」という関係ではなく、参加した誰もが会話を楽しめる双方向コミュニケーションだった。

 そこで、ear.lyに大きく手を加えて大幅なバージョンアップを行った。ホストがリスナーをスピーカーとして招待しやすくなる機能などを実装し、コミュニケーションが生まれやすい環境を整えた。アプリの名前もDabelに変更し、複数人が積極的に会話を楽しめるアプリへと意図的に変えていった。

 その結果、双方向のコミュニケーション機能を拡充したことによってユーザー数は徐々に増加。人気に火が付いたきっかけは有名人がDabelを使いはじめたことだ。

 「フランスの人気テレビ番組『France's Got Talent』からプロ歌手になったアリエネットさんに紹介していただいたのがきっかけでした。視覚障がい者である彼女が(アプリを)見つけてくれたことで、世界中の視覚障がい者の間でDabelが使われるようになりました」(井口さん)

 リニューアルからわずか半年あまりで“おしゃべりアプリ”として認知されるようになったDabelの人気は、ユーザーの利用満足度の高さにも表れている。DOKI DOKIが2019年11〜12月に実施した調査によると、ユーザーの7割以上が「ないと困るアプリ」と回答。一日当たりの平均利用時間も平均51分と、多くの主要SNSに比べて長い時間を確保しているという。

Dabelは高品質な音声配信プラットフォームが鍵に

 井口さんは、アプリやWebサイトにビデオ通話やライブ配信の機能を組み込める音声配信プラットフォーム「V-CUBE Video SDK」の一つである「agora.io」の存在がなければ、Dabelは実現できなかったと力説する。

 双方向でリアルタイムに会話を行えるサービスとして、音声が低遅延であることや大人数が同時に参加しても耐えられる環境を構築することは必須だった。当初は大手クラウドサービスなどの採用も検討したというが、意外にも要件を満たすものが見当たらず、実現は難しかったという。

 agora.ioは、5億以上のアプリに組み込まれ、100カ国以上で利用された実績がある。1万人の同時双方向コミュニケーションの様子を100万人以上のリスナーに配信できるほどの能力を備えており、動画配信、ゲーム実況、ライブコマース、eスポーツ、VTuber、ボイスチャット、オンライン英会話、Web面接、遠隔医療、コンタクトセンターなど、用途は多岐にわたる。

 「agora.ioは、例えるなら高性能なクルマのような存在です。非常にパワフルで機敏に動き、燃費も優れており、Dabelはこのクルマを乗り心地よく運転するドライバーといえるでしょう。他のどんなプラットフォームよりも低遅延、高音質、大規模、低コストでライブストリーミング配信が可能であり、agora.ioがあったからこそ短期間のうちにDabelを開発・提供することができたと感じています」(井口さん)

会話を楽しみ、人々がつながっていく連鎖反応を

 Dabelは現在、米国を中心とする英語圏向けにiOSアプリとして配信されている。日本人の井口さんがDabelを米国で配信したのも、DOKI DOKIが本社を米国に置いているのも、「米国で認められてこそ、世界のデファクトスタンダードになる」という井口さんの信念に基づいている。

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 「2020年1月には、ユーザーが会話により参加しやすくするために、ホスト以外のスピーカー/リスナーにも誰が会話に参加しているのか、出入りしているのかを確認できるようにユーザーインタフェースを改善しました。agora.ioのSDKによってプラットフォームの開発負担はほとんどなく、今後もアプリの機能強化を継続的に実施し、さらにおしゃべりアプリとしてのコンセプトを明確にしていく予定です」(井口さん)

 Dabelを通じて新しい友達を発見してお互いに会話を楽しみ、それを聞いた新しい人が出会ってつながっていくというサイクルで連鎖反応が生まれることを重要視して開発に取り組んでいるという。

 さらに今後は多言語による世界展開や、Androidなど他プラットフォームへの横展開を視野に入れている。また、Dabelを利用した外部とのコラボレーションも着々と進んでいるそうだ。

 「視覚障がい者を中心にDabelの良さが高く評価されていることもあり、今後は障がい者団体や組織とのコラボレーションにも取り組めればと考えています。今後の展開をぜひ楽しみにしてください」(井口さん)

 何げない雑談、心地よいコミュニケーション──そんなアナログな体験を滑らかにデジタルへ持ち込もうとしているDabelの魅力は、多様化する社会で人々を夢中にさせ続けていくだろう。

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提供:株式会社ブイキューブ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2020年3月27日

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