Mac生誕20周年:スティーブ・ジョブズ氏が語る、Macの「誕生」と「現在」

» 2004年01月27日 18時04分 公開
[IDG Japan]
IDG

誕生

 このエッセイは、1984年に発行されたMacworld特別号の135ページに掲載されたものである。Apple Computerの共同創設者は他のApple従業員と同様、この創刊号に多大な貢献をしてくれた。


 この仕事のスタッフは、Macintosh開発の原動力になってくれている。私の仕事は、彼らの活躍の場所を作ることであり、彼らを会社の他部門から保護すること、そして緊張を作り出すことだ。残念なことだが、私には他の責務もあるため、ここには十分な時間、いることができない。しかし、少しでも空き時間があるときは、この場所に戻ってくる。それは、ここが世界中で一番楽しい場所だからだ。

 私がこれまで仕事をした中では最高の人たちだ。彼らは全員がとんでもなく優秀で、なによりも重要なことだが、過程そのものが報酬なのだという、人生について共通の考え方を持っている。ほんとうに、この製品を世に送り出したいと考えているのだ。いまは、そのことが自分の私生活よりも大切なことだと考えてくれている。数値で表すことはできないけれども、それはわかるはずだ。

 Macintoshは私にとって、そのように思えた、2番目のものだ。こんなチャンスはめったにあるものじゃない。これが、なにかしらすごいものの始まりだということが分かるだろう。だからみんな、これを完璧なものにしたいと思い、そのために懸命に取り組んでいるんだ。誰もがこの製品について、個人としての責任を感じている。

 MacintoshはApple Computerの未来だ。そして、これを作り上げたのは、ふつうの組織ならば重要事項の決定に関与できる3階層くらい下の、だけれども信じられないくらい有能な連中だ。

 この状態は、永遠に続くわけじゃない。このグループは次世代の製品までは継続し、その後はそれぞれが別の道を歩むことになるかもしれない。みんながこの特別な時期に集まり、新しい製品を作り上げることになったのだ。これが、私たちの人生における最良のものになる、という気がしている。

現在

――最初のMacintoshが登場して20年目を迎えたわけですが、感想はありますか?

スティーブ・ジョブズ 私にいえるのは、Macは80年代にパーソナルコンピュータ業界を「再発明」し、Microsoftが90年代にこれをコピーし、大成功を収めた、ということ。われわれはようやくMac OS Xで先行することができたが、将来はこれをMicrosoftがコピーすると思うよ。

――Appleが1984年にMacを作ったことと、あなたが今、iPodとiTunesでやっていることに類似点はあると思いますか?

ジョブズ Appleは今、実にすばらしい、革新的な段階にあると思う。さまざまな分野で革新を起こすことができる。つまり、Mac OS Xは超スゴイ、ということだ。Power Mac G5は世界で最強のパーソナルコンピュータで、さらにすごいものが登場する。ポータブル製品でも最高のものを持っている。それに、iPodとiTunes Music Storeもある。iLifeアプリケーションもだ。

 3年前、われわれは、次の大物は、デジタルハブになると宣言した。それがどうだ? そのとおりになった。ああ、みんな今ごろ真似しているね。MicrosoftもHPも、いまごろコピーしてる。それに、われわれは彼らのずっと先を行っているんだよ。

 だから、Appleは業界全体の方向性を決めるのがうまいんだと思う。そういうふうになりたいとも思うし。マスメディアで取り上げられるApple関係のトピックは、iPodとiTunesに集中しがちで、この2つはWindowsでも動作する。しかし、Appleのビジネスの大部分はMacだ。Appleが向かう先で、主要な部分を占めるのは、依然としてMacなんだ。もちろん、そうだ。

――競合会社の戦略について、どう思いますか? たとえばテレビとWindows Media PCを結びつける戦略などは。

ジョブズ 以前から、われわれの考えはその点に関して、とてもはっきりしている。テレビとパーソナルコンピュータが一つになるとは考えていない。テレビは、頭を休めるために見るもので、コンピュータは頭を使うときに利用する。それに付け加えることは? まあ、時にはその2つを結びつけたいときもある。たとえば、ムービーを作ったら、それをDVDに焼いて、DVDプレーヤーにかければいい。そうすれば、コンピュータから離れたテレビで見ることができる。

 しかし、「さあ、テレビとコンピュータをくっつけてしまおう!」なんて宣伝していた製品のほとんどが失敗している。全部失敗だと言ってもいい。テレビにマウスをつなげて操作したいなんて、だれが考えるんだろう。

 問題はこういうことだ。コンピュータを使いたいときには、自分との距離は30cmくらい。それが、テレビになると、3mは離れて使いたい。まったく種類の違う生き物だよ。

 もう何年も、メディアとアナリストはマーケットシェアのことばかりに集中してきた。しかし、Macの市場占有率は比較的少ないけれどもAppleは利益を生んでいるし、業界全体に影響を与えるような製品を作り出している。Appleのシェアは、BMWやMercedesやPorcheよりも大きい。BMWやMercedesにどんな問題がある? だから、現在のAppleにはとても満足しているはずだ。われわれも楽しんでる。Appleのユーザーは、わが社の製品をほんとうに気に入ってくれてると思う。それに、われわれはよりよいものにしようと、常に努力している。Appleは業界をリードしているし、今はうまくいっていると思うよ。

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