AX300のレート変換でも使用した高画質の2時間番組のデータ(ビットレート8Mbps、約6.8Gバイト)を「AX連携ツール」でMPEGファイルで書き出し、市販のエンコードソフトを使ってビットレートを4Mbpsに変換したところ、要した時間は1時間23分11秒だった。映像の再生時間よりは短縮されてはいるものの、それでもかなりの時間がかかっている。使用したPCは、HTテクノロジ対応のPentium 4 3.2GHzを搭載した高性能なものだったが、AX300との差は歴然だ。
画質設定 | ビットレート | ファイルサイズ | 変換ビットレート | 変換後ファイルサイズ | 時間 | |
AX300 | 高画質 | 固定:8Mbps | 6.8Gバイト(1時間55分) | 可変:4Mbps | 3.6Gバイト | 20分11秒 |
PC(HT P4 3.2G) | 高画質 | 固定:8Mbps | 6.8Gバイト(1時間55分) | 可変:4Mbps | 3.6Gバイト | 1時間23分11秒 |
もちろん、使用するCPUやエンコードソフトのアルゴリズムなどによって作業にかかる時間は左右されるが、今回の結果からして、比較的高性能なCPUを使用した場合でもソフトエンコードでは、専用のハードウェア変換チップには遠く及ばないことは明らかだ。
なお、「SmartVision/PLAYER」には、PCに保存されたMPEGファイルやm2pファイルをAX300で視聴できる形式でインポートする機能もある。しかし、残念なことに、これを高速レート変換で圧縮したり、DVDに書き込むといったことには対応していない。PC内の動画ファイルをAX300で高速圧縮できれば、かなり重宝しそうなだけに惜しいところではある。
そのほか、100倍速までの早送り・戻し再生やシーンサーチなどの機能は利用可能なので、PCからインポートしたファイルをテレビの大画面に映して、多彩な再生方法で鑑賞することが可能だ。
さて、これまで4回にわたってAX300の機能や操作性、利用法などをみてきたが、従来機と比べて大幅な進化を遂げていることが確認できた。単にDVDドライブが追加されたというだけではなく、今回検証した高速レート変換や高速ダビング、そのほか、おまかせ録画などの予約機能の充実、PCと連動した各種機能、さらに操作レスポンスの向上など、グレードアップの内容は多岐に渡っている。
今回DVDドライブが追加されたことにより、ハイブリッドレコーダーとして、製品の位置付け的には家電そのものとなったわけだが、やはりAXならではの魅力はPCと連携機能にあるというのが実感だ。メディアサーバとして、ネットワーク経由でPCに映像を配信したり、容易に録画データを相互コピーできるほか、PCのDVDへの直接書き込み、ファイル形式を変換しながらのデータ移動ができる点などは、他の機種にはない魅力となっている。PCとの親和性では随一の製品といえるだろう。
数ある家電レコーダーのなかでは、さほど廉価なほうではないかもしれないが、PCと連携によって生まれるこうした付加価値を考えれば、充分リーズナブルといえるのではなかろうか。家電としての簡便な操作性とPCでの詳細かつ自由度の高いオペレーションの両方を利用でき、相互に機能を補完しながら、強力なメディアAVサーバとして活用できる。PCと連動した使い方も視野に入れながらデジタル録画を極めたいなら、強くお薦めしたい製品だ。
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