ベールを脱いだ「R420」RADEON X800国内発表

» 2004年05月11日 18時17分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 ATIテクノロジーズジャパンは、すでに米国で発表されいている新GPU「RADEON X800」の日本向け製品説明会を5月11日に行った。説明会ではカナダのATI Technologies 本社から来日したデスクトップ・ディスクリート・グラフィックス マーケット・ディペロップメント・グループ シニアマネージャーのトシ・オクムラ氏が、RADEON X800の最新アーキテクチャと、3Dキャラクター「RUBY」が登場するデモソフト「DOUBLECROSS」を使った高度なビジュアルエフェクトが紹介された。

 オクムラ氏は、RADEON X800が登場した背景として、ゲームグラフィックスの進化を説明。「2001年はハードウェアT&LとDDR、2002年はプログラマブルシェーダとGDDR、2003年はシネマチックレンダリングを可能にする浮動小数点処理とGDDR2のサポート。そして2004年はHigh Definition Gamingに対応するために"3Dc"とGDDR3が必要になる」と、ゲームと3D描画機能の進化によって、より高性能なGPUが必要になっていると主張した。

 さらに、ハイエンドビデオカードの重要なユーザーであるPCゲーマーがビデオカードに求める要素として「ゲームの世界に没入できるリアリティ」「ベストパフォーマンス」「ビジュアルクオリティ」「コンパチビリティ」を挙げ、このすべての要素を満足させるのがRADEON X800の目的であると述べた。「ATIは従来製品と比べて2倍のパフォーマンスを目指す。我々の新しいGPUはビジュアルエフェクトを最高レベルに設定し、かつ高解像度でゲームを動かしても、フレームレートは落ちない」(オクムラ氏)

 「ベストパフォーマンス」を実現するために、「R420」というコードネームを付けられて開発されたRADEON X800アーキテクチャの特徴として、オクムラ氏は「新しいメモリインタフェース、高クロック動作、HYPER Z HD、6ユニットのバーテックシェーダに16本のパイプライン」をピックアップした。

RADEON X800のアーキテクチャ。開発中は「R420」として知られていたもので、GDDR3を採用し、六つのバーテックスシェーダユニットに16本のパイプラインと、従来のRADENON 9800 XTから拡張されている
拡張されたユニットによって向上したシェーダ処理のパフォーマンスを示すライティングエフェクトのデモ
こちらはバーテックスシェーダ処理のパフォーマンスを示すデモ。従来は3〜4体のキャラクターが画面に登場すると急激にフレームレートが低下したが、RADEON X800ではこれだけのキャラクターが一斉に画面に登場してもフレームレートは低下しない

 「新しいメモリインタフェース」のバス幅は256ビット。ビデオメモリには、ライバルNVIDIAの最新GPU「GeForce 6800」でも採用されたGDDR3をサポートする。オクムラ氏によるとGDDR3はGPUベンダーによるチューニングが可能で、ATIもRADEON X800への採用にあたって最適化を行ったと述べている。

 トランジスタ数は1億6000万個となったが、0.13マイクロプロセスとlow-kの採用によって、発熱量はそれほど大きくないのもRADEON X800のメリット。オクムラ氏は「これは、需要が多くなっているスモールフォームファクターPCでの利用も可能にするため。また、発熱量が少ないため、シングルスロットサイズに収まるような小型のクーラーでも十分」と説明した。

 シェーダを利用するゲームが多くなってきた現在では、ゲームベンダーは、高いシェーダ処理パフォーマンスと、シェーダエフェクトをフルに使った高度なビジュアルを可能にしたゲーム開発を求められている。しかし、ビジュアル効果を高くしていくと、その分ビデオメモリを大量に消費してパフォーマンスが悪化する問題が指摘されていた。

 この問題を解決するためにRADEON X800には「3Dc」と呼ばれる圧縮技術が採用されている。このほか、「アンチエイリアス処理用キャッシュの容量をアップさせることで、2Xでも4X相当の性能を出す」とオクムラ氏が説明する、アンチエイリアス処理パフォーマンス向上技術の「SMARTSHADER HD」などが実装されている。

画面は「Serious Sun 2」を使った「3Dc」のデモ画面。左半分は「3Dc」によって高解像度で表示されたNormalMapで、右半分は3Dcを使わずに低解像度で描画したNormalMap

ATIが示したRADEON 9800 XTとの相対性能比較(上)と「競合他社の最新GPU」との相対性能比較。ゲームベンチではRADEON 9800 XTの50%アップ、「競合他社の最新GPU」の30〜60%アップというデータが示されている。「競合他社の最新GPU」とRADEON X800 XTの結果が拮抗しているのは「3DMark 03」
RADEON X800のパフォーマンスとビジュアルエフェクトをフルに発揮するデモソフト「DOUBLECROSS」の主役Ruby。デモでは8万ポリゴンで構成された彼女と4万ポリゴンで構成された「Ninja」数体が入り乱れ、「全部合わせて40万超ポリゴン」の死闘を繰り広げる

 従来のRADEON 9800 XTから倍増した16本のパイプラインは、「フレキシブル」(オクムラ氏)に構成を変更可能で、12本構成や8本の構成に変更できると説明。実際、RADEON X800のラインアップとしてパイプライン16本のハイエンドモデル「RADEON X800 XT Platinum Edition」と12本構成のエントリーモデル「RADEON X800 PRO」が発表されているが、GPUチップとしては「どちらも同じもの」(オクムラ氏) ただし、パイプラインを8本構成にしたバリューモデルの投入については「市場の状況を見て決定する」(オクムラ氏)

日本の製品発表会で示されたRADEON X800のラインアップ。エントリークラスのRADEON X800 PROはコアクロック475MHzにメモリクロック900MHz、パイプライン12本。そして、その上位バージョン「RADEON X800 XT Platinum Edition」では、パイプラインが16本、コアクロック520MHzにメモリクロック1120MHzとさらに高速化が図られている

 会場では多数のPCパーツベンダーがRADEON X800 XT/PROを展示。多くのベンダーでRADEON X800 PROの出荷を5月中旬から末までに開始する予定。RADEON X800 XTに関しては「6月までには開始したい」という声が多かった。実売価格はRADEON X800 PROで6万円前後、RADEON X800 XTについてはまだ未確定ながらも、7万円前後と予想するベンダーが多かった。

今回会場に集まったパーツベンダーの中で注目されたのがMSIの参入だ。いままでコンシューマー向けビデオカードはNVIDIAの製品のみ。なんどか噂があったものの、ついにATI製GPUを正式に取り扱うことになった
GIGABYTEはRADEON X800 PROを搭載した「GV-R80P256D」を展示
ASUSは得意の「光るチップクーラー」を搭載した製品「AX800」を展示。6万円を切る価格でWebカメラなどが同梱される予定だ
Powercolorは「X800PRO」をタワーケースに組み込んで動態デモを実施
SAPPHIREはRADEON X800 PROを展示
玄人志向は、RADEON X800 XTを搭載した「RDX8XT-A256C」を展示。ただし、製品出荷はRADEON X800 PRO搭載製品が先行するという
XIAiブランドはRADEON X800 PROを搭載したXIAiX800PRO-DV256を展示
ほとんどの製品が1スロット分の薄いファンを搭載しているなかで、Hightech Information SystemのX800 PROは2スロットを埋める厚さのオリジナル大型ファンを搭載している

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