コラム
» 2004年09月02日 21時50分 UPDATE

手のひらにレーザー光線を (1/2)

LEDの代わりに短波長のレーザー光を用いた「MX-Laserセンサー」を搭載した「MX-1000」。ちょうどいい感じの重さと機械式マウスのような動き出しのダイレクト感。素晴らしく気持ちのよいキーボードと同じように、少々、麻薬的な魅力がMX-1000にある、というと言い過ぎだろうか?

[本田雅一,ITmedia]

とうとうレーザー光線まで登場したイマドキの高性能マウス

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 10年前は原稿の中に必ず1回は出てきていたが、最近はすっかり使わなくなったコンピュータ用語に「GUI(グイ)」がある。本誌の読者ならばご存じだろうが、念のために書き添えておくと「Graphical User Interface」の頭文字だ。

 これに対して文字を用いたユーザーインターフェイスの事を「CUI(Character User Interface)」と言うこともあった。余談だが、CUIには「Common User Interface」という意味もあり、現在のWindowsにおけるキーボード操作作法の基本となった、ユーザーインターフェイス仕様もあった。Altキーを押すとメニューモードに移行するという作法など、さまざまなところにCUIの名残がある。

 それはともかく、いまさらGUIなどという言葉を使わなくなったのは、もちろん、ほとんど全てのPCユーザーがGUIをユーザーインターフェイスの基礎としたOSを使っているからにほかならない。中国などは、いまだにDOSプリインストールばかりが売れているそうだが、DOSパソコンを売っているお店の向かいには、Windows XP(の海賊版)を売っている店があるそうだから、まぁよほどのことがない限り、ユーザーはGUIを採用したOSを使っているということだ。(まるでパチンコの景品交換所のようだ)

 そしてGUIを使う上で欠かせないデバイス。それはもちろんマウスである。マウスが登場した頃は、“いつの日にか、マウスなんてデバイスじゃなくて、もっと素晴らしいデバイスで操作できるようになるに違いない”と言われ、誰もがそう信じていたが、四半世紀を過ぎた今でも、やっぱりGUI操作の基本デバイスはマウスのままである。当然ながらキーボードと並んで、いやキーボードよりもユーザーからの注目が集まるのがマウスだ。

 それを証明するように、こうしたWebの記事ではキーボードよりもマウスの記事が、良く読まれている。最新型のマウスとタイトルが打たれただけで、たくさんのページビューを集める。翻って言えば、それだけマウスの市場は大きく、大小さまざまなベンダーが多種多様なマウスを提供しているのはご存じの通りだ。

 そんなたくさんあるマウスベンダーの中で、特別な存在なのがマイクロソフトとロジクール。マイクロソフトは昨年、フルモデルチェンジとなる一連の製品を発売して話題を呼んだ。そして今年、ライバルのロジクールは光学センサー部にレーザー光線を用いた製品を発売する。それが「MX-1000」である。

ki_honda01.jpg 光学センサーの光源にレーザーを採用した8ボタン充電式コードレス光学マウス「MX1000 Laser Cordless Mouse(型番:MX-1000)」

透明素材以外のほとんどを読み取り可能

 ここで光学マウスを簡単に復習しておこう。光学式マウスは底面に向かって斜めに光を照射し、机表面の模様や微妙な凹凸をイメージセンサーで繰り返し読み取り、コマごとのイメージを比較。相似する部分を検出して移動方向と距離を求める。

 このため、コマ間で相似する部分が見つからない時(マウスの動きが速すぎるとき)や相似する部分を誤って認識した場合(繰り返し模様のプリントや木目など)には、うまくカーソルが動かないケースが出てくる。

 こうした問題を回避するには、センサーで読み取る範囲を拡げたり、読み取りサイクルを高速化したり、読み取るイメージの解像度を高めることで解決できる。実はこうした部分の性能において、ロジクールはライバルに先んじており、マイクロソフトが使っている光学センサーよりも広い範囲をより高解像度で読み取るMXエンジンを、「MX-510」「MX-700」「MX-900」といった一連のMXシリーズに採用してきた(その分、省電力の面ではマイクロソフトが優位に立っているが)。

 では、LEDの代わりに832〜852ナノメートルという短波長のレーザー光を用いた新センサーの「MX-Laserセンサー」は、従来の「MXエンジン」とどのように違うのだろうか?

 スイス・ローザンヌにあるロジクールの開発部門によると、実は読み取り範囲やスキャンレートは、MX-1000でもさほど変化はないそうだ。スペックの上では、スキャン画素数が毎秒4.7メガピクセルから5.8メガピクセル(スキャンレートが5200回から6469回にアップしたため)に向上しているものの、高速なマウスの移動や木目プリントへの強さなどは、既存のMXエンジンでも不満ないレベルのため、確かに実感するほどの違いはない、あるいは場面が限られている。

 ワイヤレス技術も27MHz帯を使った「Fast-RFテクノロジ」で変わらず、すでにUSBのレポートレート(毎秒125回)をクリアしているため、ワイヤレス区間の性能も変わっていない。

 ならば何も変わらないのでは? いや、MX-Laserセンサーがその威力を発揮するのは、滑らかな表面でマウスを利用するときだ。赤色のLED光よりもはるかに波長が短いレーザー光を用いることで、表面の凹凸をより鮮明に浮き上がらせる。MXセンサーとMX-Laserセンサーの両方が読み取ったイメージデータの濃淡を3Dグラフで示して検査すると、MX-Laserセンサーの方が遙かに高コントラストで読み取れているのが分かる。

 たとえば写真印刷用光沢紙の上でLEDを用いた光学マウスを使うと、ほとんど動いてくれないが、MX-1000で同じことをしてみると、何の問題もなくマウスカーソルが腕の動きに追従する。ロジクールはMX-Laserセンサーの周りに「MX Laser 20x」とプリントしているが、この20xとは20倍の精度で机上のテクスチャを検出できることを意味しているそうだ。

ki_honda02.jpg LEDを光源として用いたセンサーで読み取った光沢紙の表面イメージ。照射ムラが起伏として見えるが、滑らか過ぎて表面の特徴を判別することが困難
ki_honda03.jpg こちらは同じ光沢紙をMX-Laserセンサーで読み取ったイメージ。ツルツルの光沢紙でも、これだけの凹凸を高コントラストで読み取れるため、誤認識などによる"スリップ"感は全くない
ki_honda04.jpg 左からイメージセンサー用レンズ、レーザーユニット、イメージセンサー内蔵プロセッサ

より軽く、持ちやすく、動きもよし

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