筆者が最後にPCを買い換えたのは、今から1年ほど前のこと。「これも仕事のため」と自分に言い聞かせながら、大枚はたいて当時のシリーズ最上位モデルを買っただけあって、使い始めの頃はすこぶる快適だった。Windowsの起動に長々と待たされることもなくなり、すぐさま作業に移行できるのがなんとも心地よく、「ああ、やっぱり買い換えて正解」としみじみ思ったものだ。
それなのに、いつの頃からかWindowsの起動やアプリケーションの動作がもたつくようになっていく。あんなに快適だったはずのPCが、徐々に不満とイライラを募らせるPCへと変貌していくのだ。いったい、マイPCに何が起きているのか。
言うまでもなく、PCのハードウェアのスペックが自然とダウンすることなどない。原因は、Windowsの方にある。Windowsは、使い続けていくうちにだんだんと“ゴミ”がたまっていくからだ。それは、とうにアンインストールしたはずのアプリケーションの残滓だったり、何かの拍子で変更されてしまった不適切な設定情報だったりする。そういった“ゴミ”が蓄積されるにつれて、Windowsの動作を不安定にしたり、パフォーマンスの低下を招くのだ。
とりわけ影響が大きいのは、レジストリの肥大化だ。レジストリとは、そのPCにおけるシステム情報やユーザー情報、ハードウェアやソフトウェアの動作に必要となる情報をとりまとめたデータベースのこと。つまり、ありとあらゆる設定情報を1カ所に集約させ、システム全体を一元管理する仕組みになっている。
例えば、新たに周辺機器を追加したり、アプリケーションをインストールすれば、それらの情報がレジストリに逐一記録されていく。各種アプリケーション上で設定を変更した場合も、やはりレジストリに反映される。
これだけでもレジストリが次第に肥大化していくのは容易に想像できるが、問題は、不要になったアプリケーションをアンインストールしてもレジストリに情報が残ってしまったり、システムがレジストリの読み書きを繰り返すうち、情報の配置に無駄が生じたりするという点だ。このことがレジストリの肥大化に拍車をかけている。
では、なぜレジストリの肥大化がPCのパフォーマンスに悪影響を及ぼすのか。それは、Windowsの起動時はもとより、Windowsや各種アプリケーションの動作中も、ことあるごとにレジストリを参照しに行くからだ。大きなサイズのファイルを開くのに時間がかかるのと同じで、レジストリが大きくなればなるほど参照に時間がかかる。レジストリにこびりついた無駄な贅肉をそぎ落とさないことには、PCの動作が今後いっそう緩慢になっていくことになる。
また、不必要な常駐プログラムやサービスも、PCの動作の足を引っ張る一因となる。メーカー製パソコンの場合、タスクトレイ上には初めからかなり多くのアイコンが並んでいるが、実際にはここに表示されていない常駐プログラムやサービスも数多くあり、バックグラウンドで密かに動作している。新たに周辺機器やアプリケーションを追加した際にも、常駐プログラムが増えることがある。これらがメモリを余計に消費するために、PC全体のパフォーマンスを低下させてしまうわけだ。
すっかりダメダメな体たらくになってしまったマイPCを、再び買ってきた日のようにキビキビと動くPCに戻してやるには、どうやらレジストリのカスタマイズや不要な常駐プログラムの停止が必要なようだ。そこで次回は、PCのパフォーマンス向上につながるレジストリのカスタマイズ方法や、不要な常駐プログラムの停止方法を考えてみよう。
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