明るいレンズが魅力の710万画素デジカメ――PowerShot G6(1/3 ページ)

» 2004年10月04日 08時00分 公開
[永山昌克,ITmedia]

 何よりも気に入ったのはレンズの明るさだ。「PowerShot G6」は、ワイド側でF2.0、テレ側でF3.0の明るい光学4倍ズームを採用している。明るいレンズは大口径レンズとも呼ばれ、レンズのダウンサイジングにしのぎを削る最近の流れとは対極に位置する。現行機種でワイド側F2.0を実現しているのはPowerShot Gシリーズのほかには、ソニー「DSC-F828」や松下電器産業「DMC-LC1」など、大柄ボディで10万円以上のモデルしかない。

デザインは見ての通り、特に個性的とはいえず比較的オーソドックスなカメラスタイルである。グリップが非常に大きく、ホールド性はすこぶるいい

 明るいレンズのメリットは何か。たまに誤解している人がいるが、明るい写真が撮れるという意味ではない。「レンズが明るい」=「選択できる最大絞りが大きい(数値が小さい)」ということであり、絞りに連動して、より速いシャッター速度が使えることが第一のメリットだ。例えば、F2.8のレンズでシャッター速度が1/15秒になるシーンでは、F2.0のレンズなら1/30秒で撮影できる。

 たった1段分しか違わないとナメてはいけない。夕方や夜間、室内などの薄暗いシーンでは、わずか1段の差がブレるかブレないかの瀬戸際になる。しかも手ブレ補正機構とは違って、手ブレだけでなく被写体ブレも抑えられる。

 第二のメリットは、レンズが明るいほど被写体深度が浅くなり、その分ボケが大きくなることだ。コンパクトデジカメは撮像素子のサイズが小さいので被写界深度が深く、一眼レフ機のような美しいボケ味はそもそも期待できないが、それでも近接撮影であればF2.0ならではのボケを楽しめる。

 知っている人には当たり前のことを長々と書き連ねたが、言いたいことはF値を犠牲にして軽薄短小化する最近のデジカメの中にあって、初代機からずっとF2.0ズームを貫くPowerShot Gシリーズは稀少な存在であることだ。そして、その最新作PowerShot G6では、明るいレンズの描写力を、A3印刷にも耐える710万画素の高精細画像として味わえる。

レンズのスペックは、先代の「PowerShot G5」や先々代の「PowerShot G3」と共通であり、35ミリフィルム換算の焦点距離は35〜140ミリ相当となる

可動式モニタは大きくなり、AFはスピードアップ

 明るいレンズを支えるために、ボディはそれなりに大きくて重い。前モデル「PowerShot G5」に比べると、横幅がギュッと凝縮され、本体重量は30グラムも軽くなってなっているが、それでもまだ使用時の重量は約470グラムもある。この秋、本モデルと同等の1/1.8インチ700万画素クラスのCCDを搭載したモデルがいっせいに発売されたが、その中でも最重量だ。

 携帯性を優先するなら、本体重量が約4割も軽いワイドズーム搭載の710万画素機「PowerShot S70」を選ぶのもいいだろう。だが筆者なら、あえて大きくて重いPowerShot G6のほうを選ぶ。その理由はレンズの明るさに加え、もうひとつの大きな魅力、すなわち可動式液晶モニタがあることだ。

 可動式モニタを使えば、地面に這いつくばらなくてもローアングルからの撮影が楽にでき、子どもやペットの撮影、植物や小物のマクロ撮影などに特に威力を発揮する。またハイアングルからの撮影もできるし、自分撮りやツーショット撮影も楽しめる。これらは、液晶撮影ができないデジタル一眼レフ機に勝る大きなメリットだ。

左右に180度、上下に270度まで回転する可動式の液晶モニタ。メニューの設定から、自分撮りの際の鏡像表示のオン/オフを設定できる

 しかも、PowerShot G6の液晶モニタは、前モデルまでの1.8インチより少し大きくなって2.0インチとなった。液晶の画素数は11.8万画素と据え置きのためか、細部の表示精度が特に高いとはいえず、視野角もあまり広くないのは残念だ。晴天屋外での視認性は可もなく不可もなくのレベルだが、表示のゲインアップが働く暗所では、まずまずの見やすさである。

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