ワイコンにテレコン、魚眼といろんなシステムが楽しめる8メガ機――COOLPIX 8400(1/3 ページ)

» 2004年11月10日 03時53分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 多くの人が「これを待っていたっ」と叫んだんじゃないかと思う。8メガハイエンド機は2003年末あたりから続々と出てきたんだけれども、その中心は28〜200ミリの「何でもできます系オールインワン」タイプ。それはそれで汎用性があっていいんだけれども、「ハイエンド機なんだからもう一声ムチャをしてほしい」と思ったのも確かなのだ。

 その点「COOLPIX 8400」は素晴らしい。何しろ24ミリである。この画角を実現したデジカメはCOOLPIX 8400だけ。さらにワイコンをつければ18ミリ。これもすごい。魚眼レンズも装着できる。逆に小型の3倍テレコンも用意されているので、200ミリ超の撮影も可能だ。このシステムアップっぷりもCOOLPIXの楽しさである。

 まさに「COOLPIX 5000」が登場したときのインパクト再びって感じだ。COOLPIX 5000の後継機である「COOLPIX 5400」はCCDが小さくなってハイエンド機としての魅力が少し落ちていただけに、今回の2/3インチCCD復活は喜ばしいできごとなのである。

 多少大きくはなったけれども、ハイエンドコンパクトに10万円出すような人にとっては無理に小さくして操作しづらいより、多少大きくても使いやすい方がずっとマシなのだ。

 ただ、残念ながら従来のCOOLPIXシリーズの弱点をそのまま引きずった部分もある。それも含めてニコンらしいといえばらしいのかもしれない。

やや幅が狭くて背が高いが、カメラらしいデザイン。グリップ部にはデジタル一眼と同様、赤い三日月型のワンポイントが入っている

24ミリからの3.5倍ズームは最高

 COOLPIX 8400の一番の特徴は24〜85ミリの3.5倍ズームレンズ。コンパクトデジカメではもっとも広角で、他では得られない画角を楽しめる。明るさはF2.6-4.6。望遠側がちょっと暗いのは気になるが、しょうがないところ。

 広角時の収差はさすがに多少出てしまうのでそれが許せないという人はデジタル一眼レフ+超広角レンズという組み合わせを選ぶしかあるまい。例えば「D70」+「12-24mm F4 DX」レンズの方が歪みは少なくて高画質なのは確かだ。ただ、その組み合わせだとズームが2倍に限られるし、価格もボディと合わせて25万円を越えるし、何よりかなり重くてかさばる。

 COOLPIX 8400なら10万円で済むしコンパクトだしレンズを沈胴させればけっこう薄くて機動性もある。これなら日常的に持って行けるサイズだ。レンズ一体型ハイエンドコンパクトの一番のよさはそこにあるといっていい。

電源オフ時はレンズ部は薄くなりあまりかさばらずに持ち歩ける

 ボディは縦にちょっと長いユニークなスタイル。デザインには賛否両論あるようだが、高さがあるためしっかり握れるし、シャッター部分を思い切って傾斜させることでシャッターボタンも押しやすくなった。グリップ時にストラップ取り付け穴が指に当たるのがちょっと気になるが、その位だ。

右側から見るとグリップ部の大きさや傾斜がよく分かる。この傾斜のおかげでかなり押しやすい。が、ストラップ用の金具が手に当たるのが気になるかも

 背が高くなった理由はストロボをできるだけ高くポップアップさせたいから。内蔵ストロボで24ミリという広角に対応させ、さらにケラれも防げるよう少し高い位置にあるのだ。

フラッシュをポップアップさせた図。少し高い位置にあるため24ミリ時でもケラレが生じない

 電源スイッチはシャッターボタン周りにあり、起動はオープニング画面をオフにした場合で3秒弱。

 ファインダーはEVFと液晶モニタの併用式。光学ファインダーではなくEVFになったのを気にする人もあるだろうが、EVFとしては解像度が高くて見やすく、EVFだからこそ24ミリでもケラレやパララックスがなく、ワイコンをつけても問題ないわけで、メリットとデメリットを天秤にかけるとやはりEVFになるのではないかと思う。このクラスでは今後EVFが当たり前になっていくだろう。

 液晶モニタは1.8インチ止まりだが、フリーアングルで自由に回転するのがうれしい。

1.8インチの液晶モニタはフリーアングル。画面は再生モードで撮影時の情報を表示させている。電子ダイヤルを回すと撮影情報が切り替わる

 AFはパッシブAFとコントラスト検出式の併用で、パッシブAFが効かないマクロ撮影時を除けばAF速度は十分高速で気になることはない。特に暗めの環境ではパッシブAFを持たない「COOLPIX 8800」に比べて有利だ。

 マクロモード時はワイド端で3センチ、テレ端で20センチまで寄れる。特に近くまで寄れるズーム域ではマクロアイコンが緑色になる。

 またAFは9点の測距ポイントを装備。自動選択時は従来通り5カ所だが、マニュアル選択時では9カ所に増え、十字キーでダイレクトに測距ポイントを選択できるようになっている。

 さて肝心の画質。

 COOLPIXのハイエンド機はもともと彩度とコントラストとシャープネスをある程度コントロールできたが、COOLPIX 8400はそれとは別に大きく分けて2種類の絵作りがあると思っていい。フルオート時のダイレクトプリント向け絵作りと、それ以外の撮影モードで採用されている従来のCOOLPIXを継承する素材向け絵作りだ。オート時の絵作りは彩度やシャープネスが高めで、見映え重視となっている。コンパクトデジカメ系の絵といってもいい。

 オート以外の撮影モード(プログラムAEなどPASMポジション)でオートモードの絵作りをしたいときは、彩度・コントラストといった項目を「オート」に合わせればいい。例えば彩度調整項目は彩度−2から+2の5段階とオートを加えた6つから選べるのだが、オートにするとダイレクトプリント向け絵作りが得られるのだ。

 ちょっとわかりにくいけれども、趣向としてはいい。

 で、全体としてはニコンらしく色は濃く乗ってるけれども変な誇張はなく、シャープでシャキッとした絵だ。ノイズもISO 50だとほとんど気にならず、ISO 200あたりからざらつきはじめ、ISO 400だとかなり気になる。もちろん用途にもよるが、ISO 200までは実用範囲内といえるだろう。

 CCDは2/3インチの800万画素であり、1/1.8インチの700万画素CCDを採用した製品に比べると、さすがにワンランク上で階調の滑らかさなどに画素数以上の差がある。800万画素機の中でも上位に位置する画質だと思う。

ユーザーインタフェースは前作を継承

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