ワイコンにテレコン、魚眼といろんなシステムが楽しめる8メガ機――COOLPIX 8400(2/3 ページ)

» 2004年11月10日 03時53分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

ユーザーインタフェースは前作を継承

 操作性は「COOLPIX 5400」や「COOLPIX 8700」といった前のモデルを継承している。モードダイヤルと電子ダイヤルを持ち、親指側にズームレバーがあり、中央に実行ボタンが付いた円形十字キーがある。独立した操作ボタンとしては、シャッターボタン周りに内容を任意にセットできるFUNCボタン、発光モードボタン、露出補正ボタンがある。

シャッターボタン周りに電源があり、その手前にFUNC、発光モード、露出補正のボタンが並ぶ。さらに軍艦部にはモードダイヤルと撮影情報用の液晶パネルがある。モードダイヤルに画像サイズ・ISO感度・WBの3つが用意されているのが特徴

 最近はハイエンド機でも十字キーの各方向に機能を割り当てる機種が増えているが、COOLPIX 8400はそれを採用していない。その代わり十字キーがAF測距ポイント選択に割り当てられているのである(D70などと同じと考えればいい)。

 ディスプレイアイコンのボタンとDISPボタンの両方があるが、片方はEVFと液晶モニタの切替、もう片方はモニタへの情報表示の切り替えとなっている。モニタにはリアルタイムヒストグラム表示やグリッド線表示が可能だ。

背面。モードダイヤルの下に電子ダイヤルがあり、その左にAEロックとズームボタンがある。円形十字キーの左にはMENU、QUICK(クイックレビュー)、削除(兼セルフタイマー)、DISPと並ぶ。DISPはモニタ上の情報表示を切り替えるボタンで、ヒストグラム表示やグリッド表示が可能だ。ディスプレイ下にはフォーカスボタン(押しながら回すとMF)、モニタセレクト(液晶モニタとEVFを切り替える)ボタンがある。画面は9点測距の測距点が並んでいる状態

 フォーカスモードボタンはボタンを押すだけだとAF→円形→マクロと順に切り替わり、ボタンを押しながら電子ダイヤルを回すとマニュアルフォーカスになるというハイエンドCOOLPIX伝統のスタイルだ。

 特徴はモードダイヤルに撮影モードや再生に加えてWB(ホワイトバランス)、ISO感度、画像サイズの3つのポジションがあること。「D100」やCOOLPIX 5400で採用された方式で、デジタルならではのパラメータを分かりやすく変更できるという親切さの視点でそうしたのだが、慣れてくるといちいちモードダイヤルを回すのはかなり億劫になる。できればD70のように独立したボタン+ダイヤルという方式にしてほしかった。

 まあFUNCボタンに任意の機能を割り当てられることや、これらの項目はメニューからも操作できるので、使いやすい方を使えばいいだろう。

 メニューは機能が多いだけあって3ページにも渡るが、その中からよく使う6つを「マイメニュー」としてメニューのトップページに置いておける。これは積極的に便利に使いたい。例えば「カードの初期化」を置いておけば、新しいカードを使うとき即座にフォーマットできて便利である。

MENUボタンを押すとまずマイメニューが現れる。ここには6つまでの任意の機能を登録可能だ
全メニューを表示させると全項目を調整できる。ただし全部で3ページあるので結構大変

 機能が多いのみならず、ホワイトバランスは各ポジションにおいて−3〜+3まで7段階の微調整ができるし、フォーカスモードも測距点自動選択・中央固定・マニュアル選択と選べ、AF時もピーキング機能(ピントが合っているところにシャープネスを強くかけて、フォーカシングの支援をする機能)が働く。COOLPIXならではのBSS機能も健在で、一番ブレが少ない絵を選ぶBSSの他、露出を変えながら撮影して、白トビ最小・黒ツブレ最小・ヒストグラム最良のどれかを自動的に選択してくれるモードもある。

ホワイトバランスはオートやマニュアル、カスタム設定の他、それぞれにおいて±3段階の微調整ができる。これはなかなか便利

 でも問題はレスポンス。操作時のレスポンスはいまひとつよくないのである。さらに気になるのが撮影間隔。

 一応1枚撮るとバッファにたまり、書き込みながら次の撮影ができる仕様なのだが、データをメディアに書いている最中は次の撮影以外の作業ができないのだ。次の撮影までの間隔は約2.5秒。さらにデータを書き込み終えてメニュー操作や露出変更など細かい作業ができるまでは約3.5秒かかる。この微妙なタイムラグが1枚撮ってプレビューを見てちょっとセッティングを変えてもう1枚って撮り方をしてるときに気になるのだ。

 以前のモデルに比べて内部の処理が高速化され、書き込み速度も上がったので高速なCFカードを使えばさほど気にならなくなったとはいえ、ある程度並列処理が行えるような改良もしてほしかったところだ。ユーザーインタフェース全般においてやや古くなってきた気がするのである。

 もうひとつ気になったのは、これも従来のCOOLPIXから受け継がれている仕様なのだが、絞り値は1/3段刻みで変更できるのに、シャッタースピードは1段刻みであることだ。

動画に電子式手ぶれ補正が付いた

 一通りCOOLPIX 8400を見てきたが、あと4つばかりトピックを。

 一つ目はJPEGの圧縮率。従来のFINE・NORMAL・BASICに加えて、FINEのひとつ上に位置するEXTRAが追加された。圧縮率を低くしたモードで、少しでも高画質で撮りたいが、RAWで撮ると後処理が必要だし、TIFFだと無駄にファイルサイズが大きくなる……という人に向けての装備だ。ファイルサイズはFINE時の倍くらいになるが、便利なモードである。ちなみに今回の作例は「EXTRA」ではなく「FINE」で撮っている。EXTRAだとファイルサイズが約2倍になる。

 二つ目は動画。640×480ピクセルで秒30コマのフル動画を連続60秒という動画機能だが、動画撮影時に電子式手ぶれ補正機能がついた。その分画角は狭くなるが、広角系動画を簡単に撮れてなおかつ手ぶれ補正というのはなかなか遊べそうだ。

 三つ目はストロボ。「D2H」から採用されたi-TTL調光に対応している。COOLPIX 8400にSB-600/800といったi-TTL調光対応のストロボを装着すると、ストロボ側の調光システムを使うことでより高性能な調光が可能になった。これはけっこう使えそうだ。

 四つ目はバッテリー。バッテリー部の接点がコネクタタイプになってより確実・安全になり、さらに容量も30%ほど増えてCIPA規格で260枚の撮影が可能になった。オプションのバッテリーパックをつけるとさらに長時間の撮影が可能だ。

容量アップされたバッテリーはグリップの底に。接点部のデザインが変わった

 以上である。

 操作時のレスポンスやユーザーインタフェースに一部気になる点もあるが、COOLPIX 8400の24ミリからの広角ズームは素晴らしいし、デザインもいい。画質も800万画素クラスでは上位に属すると言っていいだろう。今ハイエンドデジカメを買おうと思っているなら真っ先に見てほしいし、広角系ハイエンド機を求めている人ならそのまま衝動買いしちゃってくださいという感じで、個人的にもかなり欲しくなってきたのである。

COOLPIX 8400、作例

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