ボディは小さいけれども、撮影機能はすごく豊富だ。
光学ファインダー横の小さなモードダイヤルには、プログラムオートのほかにマニュアル(絞り優先AE、シャッタースピード優先AE、マニュアル露出から選んでおける)、夜景、PICT(いわゆるシーンモード)とポジションが用意されており、PICTには3Dやパノラマアシストを含む12シーンが用意されている。
再生は再生ボタンで行う。電源オフの状態から再生モードでダイレクトに起動したい場合は、再生ボタンを押しながら電源を入れればいい。
独立した機能ボタンは発光モードとフォーカスモードとセルフタイマーだけだが、ディスプレイ右下にFnキーが用意されている。これがミソ。
Fnキーを押すと十字キーの上下左右に割り当てられた機能をダイレクトに実行できるのだ。ショートカットキーである。上下左右には好きな機能を割り当てられるので、ISO感度やホワイトバランスなど瞬時に呼び出せると便利なものをセットしておきたい。
円形の十字キーは普段は左右が露出補正に割り当てられているので、露出補正だけはいつでもすぐ操作可能だ。これもうれしいところ。
MENUボタンを押すと4ページに渡る撮影機能設定画面が表示される。そのくらい機能は豊富だ。
前述したような彩度やコントラストを調整したりできるほか、このサイズでありながらインターバル撮影機能を持っているし、オートブラケット撮影もできる。AFエリアの選択やマニュアルフォーカス、測光方式の変更だと基本的な機能はたいてい揃っていると思っていいくらいだ。
ディスプレイは1.8インチ。コントラストが高くて見映えのする絵を見せてくれるが、表面が反射しやすく晴天下では見づらいのが難点だ。撮影時はリアルタイムヒストグラム表示機能もある。
動画は320×240ピクセルのみだが、早送り動画機能が面白い。x2、x5、x10、x20の4種類が用意されており、x2なら半分の速度で動画を撮影するので再生時は2倍の速さになるという仕組み。音声は入らないが、ちょっと面白い撮影ができる。
バッテリーは薄型のリチウムイオン充電池で、付属するクレードルに本体を乗せれば自動的に充電されるし、バッテリーを取り出してクレードルにセットしてもいい。ただこのクレードルは充電専用でデータ転送には対応してないのが残念だ。
バッテリーの持ちは公称で約100枚と少なめ。使っていてもけっこう早く電池切れ警告が出るので、大量に撮る人は予備バッテリーが必須だろう。
記録メディアはSDメモリーカードである。
ざっと使ってみた正直な感想は、超小型の望遠に強いズームデジカメだが、シャッターチャンスを逃さず瞬時に撮るという機動力型ではなく、「いつも持ち歩けるハイエンド寄りマニュアル系デジカメ」という言葉の方が似合う。起動が多少遅いものの、機能は豊富なのでゆっくりセッティングしてしっかり撮れるのだ。小さいながらも指があたるところはしっかりラバーが施されているのでグリップもしやすい。
逆にフルオートでの画質の安定度はあまり高い方ではないし、記憶色誇張系の絵作りもしてないので、もう少し鮮やかな絵が欲しくなることもある。そういう意味では、初心者向けとは言い難いけれども、ポケッタブルで多機能を楽しめるデジカメが欲しいというカメラ好きには非常に楽しいカメラといえよう。
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