デジタル一眼レフ機がちょっとしたブームである。数年前までは高嶺の花だったが、最近では10万円前後で買えるデジタル一眼レフ機が増えている。そろそろコンパクトデジカメを卒業し、デジタル一眼レフ機に挑戦してみたいと考えている人は少なくないだろう。
ただし、安くなったとはいっても、コンパクトデジカメの2、3倍の出費にはそれなりの覚悟と決断がいる。デジタル一眼レフ機に憧れはあっても、自分で使いこなせるかどうか少し不安を感じる人もいるだろう。また、デジタル一眼レフ機は大きくて重いので、せっかく購入してもほとんど使う機会がない、というユーザーもいる。これではもったいない。
そんな人にお勧めできる1台が、ここで紹介するペンタックス「*ist DS」である。APS-Cフィルムサイズの有効画素数610万画素CCD(総画素数631万画素)、明るくて見やすいペンタプリズムファインダー、11点測距のワイドエリアAF、2.0インチの大型液晶モニタ、Kマウントレンズ対応など、デジタル一眼レフ機としては十分な性能を持ちながら、ボディの実売価格は約10万円と手頃だ。
しかも、携帯性に優れたコンパクトボディはライバル機に勝るメリットであり、デジタル一眼レフ機の大きさや重さをネックに感じていた人には大きな魅力になる。また、凝ったマニュアル機能に加えて、オート機能が充実しているので、デジタル一眼レフ機の入門用にも最適だ。*ist DSでどんな写真が撮れるのか、さっそくレポートしてみよう。
なお、撮影機能の詳細については他のレビューに任せることして、ここでは最も簡単な撮影モードである「オートピクチャーモード」を中心に使って、*ist DSのフルオート性能を検証してみる。以下の作例は、特に記載がない場合はすべてオートピクチャーモードで撮影したものだ。
*ist DSには、13の撮影モードがある。そのうちプログラム、シャッター優先、絞り優先、マニュアル露出、バルブの5モードは各種の設定を自分の手で調整するモード。それ以外の、オートピクチャー、標準、人物、風景、マクロ、動体、夜景人物、ストロボオフの8モードは、選択したモードに応じて露出や発色傾向などが最適化されるモードで、一般的にシーンプログラムモードと呼ばれるものだ。
オートピクチャーを選んだ場合には、撮りたいものにカメラを向けてシャッターボタンを半押しすれば、カメラが被写体を判別し、標準、人物、風景、マクロ、動体の5モードが自動的に切り替わる。フィルムの一眼レフ機「MZ-7」や「MZ-L」から受け継がれた機能であり、シーンプログラムモードの発展形といっていい。
写真や撮影の腕に覚えがある人にとっては、絞りやシャッター速度、発色の傾向などは自分の手で調整したほうが使いやすいかもしれない。とはいえ、自分で決めたからといって、うまい写真が撮れるとは限らない。絞りやシャッター速度などはカメラ任せにして、その分の意識や集中力をシャッターチャンスや構図決定に向けるという考え方もある。
なお、オートピクチャーモード選択時は、メニュー内の「画像仕上」は「鮮やか」に固定され、「彩度/シャープネス/コントラスト」や「ホワイトバランス」の手動調整は反映しない。ただし、ストロボモード、露出補正、ISO感度、連写、オートブラケットなどは、オートピクチャーモードの選択時にも設定可能であり、以下の作例では適時これらの機能を併用している。
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