あわただしい年の瀬なので、きょうはECS「915-A」のPCI Express Liteを急いで調べてみたマザーボード(3/3 ページ)

» 2004年12月29日 20時57分 公開
[長浜和也,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

PCI Express Liteに実装したグラフィックスカードのパフォーマンスは?

 この記事はマザーボードレビューである。しかし、ユーザーが最も気になるのはやはり、PCI Express Liteの挙動だろう。ゆえに、マザーボードのベンチマークは早々に切り上げて、3Dグラフィックス関連のベンチマークを使ってこのあたりを見ていくことにしたい。PCI Express X16対応のグラフィックスカードはNVIDIAのGeForce 6800 GTリファレンスカードを使用した。

3DMark05 Score

3DMark03 Score

3DMark03 GT1

3DMark03 GT4

Aquamark3

 ベンチマークの結果を見ていただいてお分かりのように、PCI Express Liteに差した場合のパフォーマンスは、正規のPCI Express X16で動作させたときの結果から明らかに下回っている。AGP Expressと同じ傾向ではあるが、しかし、その下落率はAGP Expressほど顕著でない。

PCI Express X16で動作させた場合を100とした3DMark05 Scoreの相対性能

PCI Express X16で動作させた場合を100とした3DMark03 Scoreの相対性能

PCI Express X16で動作させた場合を100としたAquamark3の相対性能

 このように、PCI Express Liteで動作させた場合のグラフィックスカードの性能は、AGP Express同様低下するものの、その差は10〜20%未満程度であることが分かった。それにしても「10〜20%未満」という性能低下は実に微妙なところである。

915-Aの真価は「デュアル・グラフィック・エンジン」にあり

 ECSのラインアップにはPCI Express X16とAGP Expressを実装するIntel 915PEマザー「915-A」が存在する。「高クロックのLGA775対応CPUとPCI Expressに移行したいが、当面は手持ちのグラフィックスカードで間に合わせ、予算を確保できたらPCI Express対応カードを追加する」というユーザーならば、PCI Express X16のパフォーマンスをフルに使える915P-Aを選択するのが妥当だろう。

 AGP Expressほどではないにしろ、PCI Express Liteに差したグラフィックスカードの性能が低下するのは事実であるし、10〜20%程度の性能低下は最近の細かく用意されたGPUラインアップからすれば、ワンランク下のGPUにも相当してしまう。

 ならば、915-Aはどのようなユーザーが選択するべきだろうか。

 そのキーワードは、ECSがアピールする「デュアル・グラフィックスエンジン」を利用した「マルチディスプレイ環境の実現」になるだろう。915-AはAGP ExpressとPCI Express Liteのそれぞれに差したグラフィックスカードを同時に利用できるため、例えばデュアルディスプレイをサポートするグラフィックスカードを使えば4台のディスプレイを同時に利用することが可能になる。

 なお、915ーAが初めて紹介されたアキバのイベントでは「オンボードのグラフィックス機能(Intel GMA 900)とスロットに差したグラフィックスカードの併用については確認中」とされていたが、今回編集部で試してみたところ、PCI Express LiteとAGP Expressにグラフィクスカードを差すとチップセット内蔵グラフィックスはOSから認識されなかった。

PCI Express LiteとAGP Expressにグラフィクスカードを差した状態で画面プロパティから選択できるアダプタを表示したところ、チップセットに内蔵されているグラフィックスは表示されなくなった。これはデバイスマネージャーのディスプレイアダプタでも同様だ

 以上、915-Aに用意されたユニークな拡張スロットの性能を中心に見てきたが、そのスロットを搭載する「915-A」はどのようなユーザーに向いているだろか。

 パフォーマンスを重視するユーザーが将来のアップグレードパスが用意されたマザーとして915-Aに期待するのは、PCI Express Liteの「10〜20%の性能低下」を許容できる場合に限りOKだろう。

 だが、それよりは、(ECSがアピールするように)それぞれの専用スロットに組み込んだ高性能のグラフィクスカードが同時に使える、という、ほかにあまり例を見ない利便性に価値を見出せるユーザーにこそ、このマザーは適しているといえるのではないだろうか。

 そう考えると、「915-A」は、新旧規格が同居した「移行期ならではの製品」という評価ではなく、高性能のマルチディスプレイ環境を実現する、明確な目的をもった新しい使い方を実現してくれるマザー、という見方が正しいのかもしれない。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー