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» 2005年01月13日 17時46分 UPDATE

「5年後にはHDDが生活の中心的存在になる」──シーゲイトが示した業界の未来像

しばらく技術的発展が停滞して危機説も出たこともあるHDD業界だが、デジタル家電への搭載が進むにつれてビジネス的には成長基調になってきた。そのなかの最大手の一つ「シーゲイト」はこれからのHDD業界をどう見ているのか。CESのキーノートから探ってみることにしよう。

[小林哲雄,ITmedia]

 CESでは数々のキーノートスピーチが行われたが、デジタル家電関連業界が目立つなかで1月4日から5日にかけて行われたHDD業界のカンファレンスStorage Visions。5日には米シーゲイトのコンシューマーエレクトロニクス事業開発副社長パトリック・J・オマリー氏がシーゲイトのコンシューマーエレクトロニクス事業に関する内容でのキーノートスピーチを行っている。

kn_seapatri.jpg 講演を行うパトリック・J・オマリー氏

今年はHDD市場の15%がCE市場で占められる

 低価格化にあえぐHDD業界において、CE市場は新たに出現した大市場だ。オマリー氏は、現在のCE市場で活躍しているHDD関連メーカーを多数挙げることで、CE市場の広い範囲でHDDが使われ、かつ、シーゲイトがその要求に応えるべく製品を登場させていることをアピールした。

 2004年の6月にCE市場向けを含め12モデルもの製品を発表したことで、従来まで市場に存在するHDD搭載デバイスの75%程度しかカバーできなかった製品ラインアップが、今では95%以上(おおむね97%)まで対応できるようになったという。

 例えば「PCバックアップ用の大容量ドライブ」「ポータブル製品」「ファイル移動で便利なポケットサイズ」「デジカメやPDA向けのCFタイプ」という「4本の柱がある」といわれる外付けHDD製品で見てみても、シーゲイトはそのすべての製品を提供できるという。

 オマリー氏は次いで、これからの3年間で予想されるCE市場のカテゴリ別フォームファクタの一覧を紹介した。カテゴリによっては要求されるスペックが変化し、例えばゲーム業界では信頼性と価格、サイズが重視されるが、PVR業界ではサイズではなく容量が重視され、ハンドヘルド業界では堅牢性、消費電力とサイズが重視される、と優先されるスペックが異なり、CE市場向けだからといってひとつの戦略で対応できるものではないと説明している。

kn_sea_05.jpg 製品ジャンルごとに望まれる製品プラットフォーム。現在のシーゲイトは1.8インチと0.85インチの製品を持っていない

kn_sea_06.jpg 三つの製品カテゴリに対して要求要素への必要性度を示したグラフ。ジャンルごとに要求内容が異なることが分かる

 シーゲイトが考える「CE業界戦略ポイント」は3点ある。一つは各種プラットフォームで新しい市場に応えられるサイズの製品を出すこと、二つめに製品の生産性を高めること、そして、三つめがシーゲイトのブランドイメージの確立。これは、市場全体の要求に応えられる製品を作り出すことによって“HDDならシーゲイトに頼めばよい”という「one-stop shop」化を図ることだとオマリー氏は説明する。

 シーゲイトが新しい製品を投入するうえで強みとなっているのが、現在、HDDメーカーでは唯一全パーツの内製が可能な充実した研究開発と生産技術だ。開発研究に加えて生産技術でも他社を凌駕することで、多彩なCE市場の要求に適応できるようになっている。

 ここ数年、HDD業界は売り上げを落としていたが、2002年から再び上昇に転じている。その牽引力となっているのがノートPC市場とCE市場。とくにCE市場の規模はHDD市場全体の10%を占めるまでに急成長、CE市場の勢いは依然として衰えず2005年は15%にも達すると予測されている。

kn_sea_11.jpg 売り上げは2002年に底を打ち、今年は2001年のレベルに到達しているが、その一因がCE市場ということが分かる

 同じく、これから3年間における市場予測では、CE向けHDD市場として登場したばかりのゲーム市場は光ディスクの台頭で市場は減少、さらに、DVR市場が急速に成長しているだけでなく、2005年からはビデオサーバ市場も立ち上がると見られている。

 ハンドヘルド市場では、MP3プレーヤーが、CDに代わるものとして依然として爆発的に普及、自動車市場ではHDDへの移行が緩やかに進み、携帯電話市場ではコンテンツのデジタル化が急速に進む、とオマリー氏はHDDが関係するだろう各種デバイスの2005年の予測を披露。

 ただし、拡張路線の一方で、HDD市場はすべてのマーケットで平均価格が下落するとも予測している。

kn_sea_12.jpg CE市場予測。DVR/Hand Heldが高い伸びを出す一方、携帯電話市場も急速に立ち上がる見込みだ

各マーケットとも順調な需要の伸びを予測

 その後、オマリー氏はマーケットごとの現状と予測の詳細を示した。DVRマーケットはスタンドアロン(HDDのみを搭載するレコーダ)/DVD コンボ(HDDと記録用DVDドライブを搭載するレコーダ)/ケーブルSTB/サテライトSTBの4セグメントに分けられているが、日本市場で現在主流のDVDコンボは、今後はメディアサーバとしても利用されると見られている。

 米国市場ではサテライトSTBがDVR市場の主流だが、2004年からはケーブルSTBの普及が拡大し、欧州市場ではサテライトSTBが広がりつつある。これらトータルで2003〜2007年に58%も成長し、台数ベースで350万台の市場へと成長すると予測している。

 ハンドヘルド市場では1.8インチHDDがポータブルビデオとハイエンドミュージック用のHDD搭載デバイスの75%(2003年データ)で使われているが、2005年には1インチHDDに抜かれるだろうとも述べたオマリー氏は「1インチHDDはMP3プレーヤーの新世代製品に採用され、0.85インチHDDは携帯電話のコンテンツストレージとして使われる」としたものの、現状では「価格」と「新しいインタフェース」がネックになるという考えも示している。

 例えば、0.85インチHDDと価格的に競合するフラッシュメモリの価格はGバイトあたり73ドルで、これが二年後の2006年にはGバイトあたり43ドルになると予測されている。0.85インチHDDは1インチ製品よりも容量あたりの単価がさらに高く、3.3ミリ厚のHDDがフラッシュメモリと対抗するには「リスクが大きい」とオマリー氏は考えている。

kn_sea_17.jpg 1.8インチHDDは徐々に1インチHDDに移行していくが、0.85インチHDDが2006年以降急速に普及するとも予測している

kn_sea_18.jpg 0.85インチHDDのネックとなるのがフラッシュメモリの価格下落。価格差が低い3.3ミリ厚HDDを市場に投入するのはリスクが高いとシーゲイトは見ているようだ

 HDD業界の成長基調をアピールするシーゲイトキーノートスピーチの最後はシーゲイトのCEO ビル・ワトキンスの言葉「5年前、HDD業界はあと5年の命と言われましたが。いまから5年後にはHDDが生活の中心にあります。皆さんがほとんど気が付かないうちに、シーゲイトはそれを実現するでしょう」という言葉で締めくくった。

kn_seacfhd.jpg 米国では来月より販売される1インチHDD。一部で販売されているものとは異なるラベルデザインになるという

CE市場向けの新規格CE-ATAの制定は順調──製品は今年中に登場予定

 ここで紹介したキーノートスピーチだけでなく、CES期間中、シーゲイトはプレスブリーフィングにおいてCE市場向けHDDインタフェース新規格「CE-ATA」の策定作業が順調であることを明らかにしている。

 CE-ATAは業界団体CE-ATAをプロモーターとして現在策定中の規格であり、2005年前半に規格が固まり製品は2005年中に登場する予定であるという。

 説明を行ったシーゲイトのロブ・ペイト氏によると、CE-ATAのコアメンバーは日立製作所、インテル、Marvell、ノキア、シーゲイト、東芝。総メンバーは現在28社にのぼる。家電向けHDDの新規格であり、かつ、次世代のハンドヘルドや小型情報家電への搭載を想定しているため、低電圧、低消費電力、低コスト(ピン数が少ない)というあたりが、ポイントになってくる。

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