暗所でも手ブレ知らず――“高感度”デジカメ「FinePix F10」レビュー(1/4 ページ)

» 2005年03月04日 10時16分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 富士写真フイルムがスーパーCCDハニカムという独自開発のCCDを採用したのは2000年だった。有効画素数の2倍に相当する画像サイズを生成でき、1つ1つの画素を大きくできるので感度も高いというふれこみだ。

 でも実際のところ、100万画素のスーパーCCDハニカムから生成された200万画素相当の画像は、リアル2メガCCDに比べるとディテールがイマイチだったし(斜め線に弱い)、最低感度をISO200と高めに設定したのはいいが、いくら何でも普通のCCD採用デジカメに比べて2倍以上というのは画質的に無理があって、今ひとつ高い評判を得ていなかった。

 でもそれはCCDが悪いのではなく、その実装やアピールに問題があったのだと思う。スーパーCCDハニカムの良さが際だつような実装がされてなかったのだ。

 でも2005年は違う。その第一弾である「FinePix F10」(以下、F10)を観てわたしは確信した。これは注目すべき製品だ。

「FinePix F10」

高感度1本に絞って開発されたスーパーCCDハニカムV HR

 F10が搭載するのは第5世代のスーパーCCDハニカム HR。画素数は第4世代のスーパーCCDハニカム HRと同じ630万画素と変わらない。進化したのは感度だ。

 しかも630万画素あれば1200万画素相当の画像を生成できるのに、あえて封印し、F10では630万画素にとどめている。これはよい傾向だと思う。このクラスのカメラで無理に画像サイズを大きくしてもデータ量が増えるだけだし、画像サイズを抑えたことで絵に“締まり”も出た。

 その分、アピールポイントを高感度1本に絞ってきた。コンパクト機でありながら最高感度はISO1600まで用意されているのだ。前世代のCCDでは高感度時は画像サイズが小さくなったが、F10ではISO1600までフルサイズで撮れるのである。これはすごい。

 例えばISO100だと1/15秒でしか撮れない室内でも、ISO400なら1/60秒でシャッターが切れる。すると手ブレも被写体ブレも起こりづらくなるし、ストロボを使わなくても撮れる範囲が広がる。室内で撮ることが多いコンパクトデジカメにとっては非常にありがたいのだ。

 そしてF10の最大の良さはその高感度を誰でも簡単に使える点にある。

 普通のデジカメも自動ISO感度モードは持っているが、たいていはISO50〜200の範囲でしか働かず、増感に伴う画質低下を嫌って、「ギリギリまでISO感度を上げてくれない」→「低速シャッターで撮るシーンが増える」→「手ブレや被写体ブレしやすい」という状況なのだ。それを防ぐには画質と相談しながら自分でISO感度を上げるしかないのだが、一般のユーザーはなかなか自分でISO感度をコントロールしようなんて思わない。

 F10はまったく正反対。ISO感度をオートにセットするとISO80から800の範囲で自動的に最適なものがセットされるのだ。しかもちょっとシャッタースピードが低下すると遠慮なくどんどん増感してくれる。

 だからよほど暗い場所じゃない限り、日常的なシャッタースピードで常に撮れるのだ。これはとてもありがたい。確かにISO100→200→400と増感するにつれ、画質は低下していくが、画質低下を嫌うシーンではISO感度をマニュアルセットすればいいのだ。

 ISOオートはISO感度を自分でセットしないような人や気軽に撮りたい人のための機能なので、積極的に感度を上げてシャッタースピードが落ちないようにすべきだとわたしは考えている。そういう意味で、あっさりとISO800まで上げてくれるF10の方針はすごく正しい。

 実際にISO感度と画質の関係は以下の作例を観て欲しい。ISO80とISO100はほとんど変わらないのでISO100から1600への変化を載せてみた。

ISO100 1/50秒 F2.8
ISO200 1/110秒 F2.8
ISO400 1/240秒 F2.8
ISO800 1/475秒 F2.8
ISO1600 1/415秒 F4.5

 ISO100以下がもっとも高画質で、200や400になると暗部のディテールに少しざらつきが見え始め、ISO800でディテールが怪しくなり、ISO1600になるとかなりノイジーでディテールがつぶれる。これはわざと増感による悪影響が出やすい構図で撮っているのだが(特に天井あたりで目立ちやすい)、それでも同等クラスCCD(1/1.8インチの700万画素)を使ったデジカメでISO400で撮ったものに比べると、画質はまったく違う。感覚的には、従来デジカメのISO400よりF10のISO800の方がいいくらいだ。

 さらに重要なのはISO100では1/50秒でしかシャッターを切れなかったのに、ISO800では1/475秒で切れていることだ。カメラの基本だけど、ISO感度が倍になればシャッタースピードを2倍(設定値は1/2)に、4倍になればシャッタースピードも4倍(設定値は1/4)にできるのである。室内ではこれがすごく大きい。

 画質重視で少しでもきれいな絵を撮りたいときはISO100で撮ればいいし、気軽に手ブレや被写体ブレしない絵を撮りたいときはISOオートでカメラに任せればいいのである。

 ちなみに、基本的な画質やディテールの描写力は1/1.8インチの700万画機と同等レベルで、基本クオリティはかなり高い。ホワイトバランスは結構しっかり合わせてくれるタイプで、色は鮮やかで安定している。その辺はさすが富士写真フイルムだ。予想以上に安心して撮ることができた。

ややずんぐりしたコンシューマ向けコンパクト

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