エスケイネット「MonsterTV PH-GTRM」は、Windows XP Media Center Edition 2005(MCE2005)にも対応、TVをきれいに試聴するということにも重点が置かれた設計がなされたというハードウェアMPEGエンコードタイプのTVキャプチャーカードだ。
高画質化機能として、3次元Y/C分離ないし3次元ノイズリダクション機能(排他利用)、ゴーストリデューサー機能などを備え、実売価格は1万5000円前後となっている(ITmedia Shoppingで最安値をチェックする)。エンコードチップにはPhilips製「SAA6752HS」を搭載し、ビットレート1M〜25Mbpsまでの録画に対応する(15Mbps以上の場合はIフレームのみ)。
まずは、特徴の1つであるMCE2005上での動作を試してみた。
MCE2005で利用する場合には、専用ドライバがドライバCD-ROMの別フォルダに記録されているので注意が必要だ。そのままドライバーCDのルート上にあるドライバーをインストールしてしまうとMCE2005上で正常に動作しない。またグラフィックスカードによっては、Windows XP用のドライバでは正常に動作せず、MCE2005専用ドライバを使用しないと10feet UI上でのTV視聴やビデオ再生が行えない場合がある点にも注意が必要だ。チップセットのグラフィックス機能で使用する場合、パフォーマンスがかなり悪くなる点も付け加えておく。
以上の点を踏まえてカードのインストールが無事に完了すれば、後はMCE2005上でチューナー設定を行うだけで作業は完了となる。
ところで、ここでMCE2005に詳しいユーザーなら「MPEG-2デコーダは?」という疑問がわくことであろう。
MCE2005のデフォルト状態では、対応するTVキャプチャーカードを用意するだけではMPEG-2録画した番組の再生が行えない。このため、MPEG-2デコードソフトのインストールが必要、しかもMCE2005に対応するものでないとならない。ちなみに他社製MCE2005対応製品は、そのほとんどにMCE2005対応版「PowerDVD」が付属されている。
Monster TV PH-GTRMの場合は、付属するMCE2005専用ドライバソフトにMPEG-2デコーダが同梱され、ユーザー側でとくに意識してインストールせずに済むようになっている。自分の望まない余計なソフトを極力インストールせずに済むのはうれしいところだ。
MCE2005は標準で2枚までキャプチャーカードを認識でき、2番組同時録画に対応している。Monster TV PH-GTRMももちろん複数枚差しに対応しているため、今回はこれを2枚使用してチェックを行っている。ちなみにMCE2005上で使用しない場合は、4枚まで搭載可能となっている。
MCE2005上は、TV視聴と録画の境が分かりにくかったりとキャプチャーカードメーカーが独自に提供するTV視聴・録画ソフトと比べて不満は残る。また、2番組の同時録画は可能だが、2番組の同時視聴は行えず、OS側仕様による制限のため、高画質化機能などの設定もカードのデフォルト設定のままでしか使えない。このあたりもMCE2005が日本国内でどうもぱっとしない理由なのかもしれない。
ただしTV番組ガイド部分などの操作インタフェースは、10feet UIを効果的に活用しており、家庭用HDD/DVDレコーダーのそれと比べてもほどよく見やすいとは感じている。2番組同時録画の際も、複数搭載した個々のカードをとくに意識することなく予約設定が可能なつくりになっている。今後のOSのバージョンアップに期待したいところだ。
Monster TV PH-GTRMをMCE2005上で利用するにあたり、現状のOS仕様による制限の中におけるMCE2005対応製品としては完成形の製品であると評価して差し支えないだろう。
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