冒頭で述べた通り、HPは全5モデルのPDAをラインナップしている。製品名を並べると以下のようになる。
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いずれもOSはWindows Mobile 2003 Second Edition software for Pocket PC 日本語版で、SDIO対応のSDメモリカードスロットを内蔵しているのが共通の特徴だ。さまざまなネットワークに対応できるよう、エントリー向けのrz1717以外では全モデルでIEEE802.11bの無線LANとBluetooth V1.2(rx3715のみBluetooth V1.1)を採用しているほか、オプションで大容量バッテリーが用意されている。上位3モデルではSDメモリカードとCFカードのデュアルスロットを装備し、セキュリティソフトのHP ProtectToolsを搭載する。
細かいスペックは最後にまとめているので、ここでは利用形態別におすすめモデルをまとめてみよう。まず、最新PDAの持つ機能をフルに体験したい場合は、最上位のhx4700以外に選択肢はない。4インチの大画面液晶と、グラフィックスアクセラレーターによる、優れた画面処理性能/動画再生能力は本機のみの特権だ。文字を最小にしても読みやすく、VGAの恩恵を存分に味わえる。PDAでは珍しい、タッチパッドの採用も目を引くところだ。
セキュリティを最優先するならば、指紋認証ユニットを内蔵したhx2750が最適だ。指紋認識は高速かつ正確でストレスなく利用できる。VGA液晶ではないが、メモリ容量がhx4700をも上回っている点は見逃せない。
hx2750から指紋認証ユニットを省き、RAMとフラッシュメモリの容量をそれぞれ64Mバイトにしたモデルがhx2410だ。価格と性能のバランスに秀でたベーシックな構成が光る。
一方、仕事も遊びも満喫したいのならば、rx3715は外せない。ビジネス用途に特化したPDAばかりの中で、異色ともいえる充実したマルチメディア機能は要注目だ。rx3715単体でAVリモコンからストリーミング再生にまで対応しているのは痛快ですらある。CMOSカメラはご愛敬だが、PDA本来のPIM機能に抜かりはなく、最も遊びがいがある1台といえる。
最後のrz1717は、何といっても約120gの軽量ボディーと24,990円という抜群のプライスパフォーマンスが魅力だ。厚さ13.4mmと胸ポケットにも無理なく収まるので、手軽にPDAを体験したいユーザーにおすすめしたい。
現在、国内で比較的簡単に手に入れられるPDAは、HPのほかにデルのAximシリーズ、東芝のGenioシリーズ、そして富士通のPocket LOOXシリーズが挙げられる。ただ、HPを除く3社ともラインアップは1〜2モデルと少なく、バリエーションも乏しい。また、3万円以下の低価格モデルが用意されているのはHPだけだ。更に、HPの強みは、豊富なPDA単体のラインアップに加え、PDAを使ったさまざまなソリューションを提供できる点にある。
ノートブックPCを持ち歩くのはしんどいし、携帯電話だけでは機能不足…と1度でも思ったことがある人は、今回取り上げたPDAの導入の検討をおすすめしたい。瞬時に起動するPDAの取り回しのよさは、何物にも代え難い魅力だ。たとえ物足りなさを覚えても、優秀なオンラインソフトがその不足分を補ってくれるだろう。
また、以前はPDAを使っていたけれども……と、一度PDAを見切ってしまった人も、最新版のPocket PCを再評価してみてはいかがだろうか。何やかんやと不満をいいながらも、ついついPDAを使い込んでしまう自分に気が付くはずだ。
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