ムーリー・エデン氏は米国のインテル本社で「モビリティ事業本部副社長兼モバイル・プラットフォーム事業部長」という役職にある、要はモバイルPCプラットフォーム開発のトップ、ということになる。
そのエデン氏が来日して、YonahとNapaの概要を紹介した。モバイル向けデュアルコアCPUとして開発が進められている「Yonah」は、L2キャッシュにデュアルコアで共有できるL2キャッシュ2Mバイトを搭載。FSBは「システムのほかのパーツとバランスを取るためこれで十分」とエデン氏がいうように667MHzとやや低め。
パッケージにはPGA478、もしくは BGA 479が採用される予定になっている。プロセスルールは65ナノメートルプロセス。説明で示された資料によると発表予定日は2006年第1四半期となっている。
現在出荷されているデスクトップPC用デュアルコアCPU「Pentium D」「Pentium ExtremeEdition」ではそれぞれのコアに専用のL2キャッシュが用意されているが、Yonahは2つのコアで共有できるL2キャッシュ「インテルスマートキャッシュ」が採用される。
ムーリー氏はこの方式について「共有L2キャッシュは外部バスを使うことなくそれぞれのコアがキャッシュにアクセスするため、パフォーマンスはこれまでの2〜3倍になる」と述べる。
64ビットコンピューティングのサポートはYonahで見送られているが、その理由としてエデン氏は「64ビットへの対応するにはトランジスタの数が増加する。そのために要求される消費電力と市場に存在する64ビット対応ソフトがユーザーにもたらすメリットのトレードオフを考えると、Yonahでは64ビット対応を見送った」と説明する。
その消費電力であるが、インテルはCentrino登場以前に「充電1回で8時間駆動」を2010年までに実現するという目標を掲げていたが、いまや、2008年に前倒しして実現する見通し。Napaではエデン氏が「1−2−6」と説明する、すなわち「CPU=1ワット」「チップセット=2ワット」「そのほか6ワット」という消費電力基準を実現する予定。
エデン氏は「シリコンプロセスレベルでは65ナノ、そして45ナノと細かくすると同時にリーケージを減少することで消費電力を実現する」と述べる一方で「これからはソフトウェアベンダーと協力し、ソフトが賢く動作することで省電力を実現しなければならない」と、ソフトウェアの動作がより重要になることも併せてアピールしている。
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