マイクロプロセッサ業界は、コンシューマーとシステム設計者から、もっと高速で安価で消費電力が少なく、かつより機能豊富なプロセッサを作るようプレッシャーをかけられていると、Cadence Design Systemsのマイク・フィスターCEO(最高経営責任者)は25日の基調講演で語った。同氏の講演は「コンシューマーが望むもの:IC設計における次の大きな挑戦」と題されていた。
ほとんどのコンシューマーは複雑なIT製品を望まないとフィスター氏。しかし彼らの望むもの――より高速で機能豊富な製品――は半導体設計者やメーカーに、安価で省電力な、より複雑なプロセッサ設計の開発を要求することになる。
「IT利用者(の欲求)は、『技術的に何が可能か』にはとらわれない」と同氏。「だが彼らはそれに依存している」
フィスター氏は、半導体設計の3つの制約を挙げた。市場投入までの期間、複雑さの管理、コストだ。
「1980年代は良かった」と同氏は語り、当時はプロセッサの主な購入者は軍であり、複雑な製品も扱えたと述べた。さらに、1人あるいは2〜3人でプロセッサ設計から製造プロセスまで管理できた。
「当時は人間の手で設計と製造の問題に取り組めた」と同氏は語った。しかしプロセッサ設計が着実に進歩し、プロセッサ当たりのトランジスタ集積数が絶えず増加している今、それができるほど「頭のいい人は今ではいない」という。
「今はすべてが多次元的な問題だ」とフィスター氏。小型で省電力、製造が容易なプロセッサを作ろうとすると、「1つ問題を解決すると、別の問題が犠牲になる傾向がある」。
そこで、Cadenceが手がけているようなElectronic Design Automation(EDA)の出番だと同氏は語った。「われわれは、幅広く、すべての問題を一度に見ることに力を入れている」
フィスター氏は、EDA市場をIT業界の初期の状況にたとえた。「かつては皆がそれぞれ独自のOSやデータベースを構築していた。だが今、OracleやSybaseのような企業が登場した後では、誰も独自のものは構築していない。これは、すべてを一から作るという苦しい仕事をなくし、企業は製品に付加価値を加えることに集中できるようになる」
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