連載
» 2005年12月28日 23時38分 UPDATE

勝手に連載!「海で使うIT」:Let's note T4と海を渡る (1/4)

冬のさなか、しかも気象庁も「想定外」という大雪の年末に海でPCを使う話である。しかし、海がきれいで風が安定している冬こそ、海で遊ぶ絶好のシーズンなのだ。はーはっはっはっは、はっくしょぃ。

[長浜和也,ITmedia]

 ということで、季節は寒い寒い冬であるが、海に出ればモスキートボート(夏の盛りだけにブーンブーンと出没する○○○のこと)もいないし、しっかりした風は吹いてくれるし、時化たらメンテナンスをすればいいし、と実は船で遊ぶにはベストシーズンであったりする。

 そんな季節だからこそ、じっくりと「PCでナビゲーション」に取り組んでみたい。PCでナビゲーション、となるとまずは船にPCを持ち込むことになる。昨年は耐塩害仕様のTOUGHBOOKを使ってこんなことをしてみたりもした。シングルハンドのヨットでは、露天甲板に設置できるTOUGHBOOKは非常に使い勝手がよろしく、その頑丈な筐体のおかげで、揺れる船上で80キロの私が「踏んでも」「突いても」壊れることはなかった。

kn_tbcfset.jpg ソレイユルボンのコックピットに設置された耐塩害仕様のTOUGHBOOK。30時間荒波を浴びつづけても最後まで正常に動作していた頼れるPC。……でも、高いんだよねー

 しかし、このTOUGHBOOKは価格が高く、そして普通の事務用や家庭用のノートPCとしては取り回しが難しい(もちろん、その耐衝撃性という特殊なスペックを考えると価格は妥当であり、そういったスペックを求める環境にあっては非常に有力なPCであるのは間違いのないところであるが)。

 30フィート超級クラスの舶来ヨットを新艇で購入して、いたれりつくせりの豪華マリーナにクラシックな外車で乗り付けてくる「お大尽スキッパー」は、何でもかんでもどうぞ積み込んでください、であるが、年に1度の船底塗装のために上架した費用だけで力尽きる「庶民スキッパー」(よく誤解されるのだが、一部の裕福層をのぞく、多くのヨット乗りは20年落ちの100万円もしない中古艇を購入し、小遣いをやりくりしながらなんとか維持しているのである)には、「大画面舶用電子ナビゲーションシステム」や「ヨット専用ノートPC」というのはなかなか現実的ではない。

 そうなると、普段使いのノーマルなPCを船に持っていくことになる。12ボルトバッテリーで動く、車載用の「DC電源搭載」超小型デスクトップPCを自分でキャビンに組み込む、というのも工作好きには興味深いところであるが、大容量バッテリーと大出力の太陽電池パネルを搭載し、大型のエンジンだけでなく専用の発電機まで船に載せているならともかく、1GM標準の12ボルト35アンペア出力のオルタネータと12ボルト28アンペアアワーのデュアルバッテリーでつつましくキャビンライトと舷灯を燈している小型ヨットであれば、バッテリーからの供給でPCと液晶ディスプレイを安定して動作させるのは難しい。

 なので、「持ち込みPC」として使うのはノートPC、ということになる。この場合、選択肢となるのが「最新のノートPC」なのか「旧式のノートPC」なのか、である。最近は「ノートPCを買い換えたから余った1台を船に常駐させよう」と考えられるユーザーも珍しくない。ただ、「快適なナビゲーション操作」を考えると、できるなら最新の軽量ノートPCを勧めたい。

 PCをナビゲーションで使う場合「高解像度の液晶ディスプレイ」が望ましい。後々詳しく紹介することになるが、実際の航海で電子海図をナビゲーションソフトで表示する場合、高解像度のディスプレイで表示させたほうが操作性が格段によくなる。さらに、機能が充実しているナビゲーションソフトは最低でも1024×768ドットを求めてくる場合がほとんどである。

 そして、「船にノートPCを固定する」ことを考えると「軽量小型なノートPC」が望ましい。船でPCを使うとき、船の動揺を想定してPCを固定しなければならないが、このとき、1024×768ドットを表示できる旧式の「3キロ前後級ノートPC」と、最新の「1キロ級ノートPC」とでは、固定に必要な力(それと、固定具から筐体が受ける力)が格段に異なってくる。

 さらに、新しいノートPCの最大のメリットとしてあげたいのが「バッテリー駆動時間」である。電気がなければ電子海図もPCナビゲーションソフトも動かない。限られた電源供給系しか搭載できない小型艇の場合、この要素は非常に大きく影響してくる。

 と、理由を並べていくと、気になってくるのが「Let's note T4」である。Let's note4兄弟のなかではちょっと地味な存在であるが、何といっても12時間長時間バッテリーは見逃せない。以前レビューしたときも、その長時間バッテリーの使い勝手はすばらしかった。さすがに、カタログスペックの「12時間」は液晶ディスプレイの輝度などのパワーマネジメントを厳しく設定しても「至難の技」であるが、通常の使い方ならば8時間は平気で動いてくれる。

 この「8時間」という長さがヨットのクルージングでは重要になる。カタログスペックで「バッテリー駆動8時間」のノートPCは実際使うと「5時間」というあたりが現実的な値になる。5時間というのは朝の7時に出航したら昼にはバッテリーが切れることになる。これが「8時間」となると15時ぐらいまでは動いてくれる。最近、ヨットで日本一周を試みるセーラーが増えてきているが、彼らの航海計画を見てみると1日あたり8時間航海というパターンが多い。デイクルーズやブイ周りのレースでもそうだが、「5時間」では短くとも「8時間」であればお釣りが十分来るだろう。

kn_t4zen.jpg 重さ1.26キロ、12.1インチ液晶ディスプレイを搭載するワンスピンドルのLet's note T4。レッツ4兄弟の仲では地味な存在だが「バッテリー駆動12時間」は注目に値する
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