書店のコンピュータ関連書籍売り場でどんなジャンルの本が売られているのかを見れば、その国でコンピュータがどのように使われているのか見えてくる。ハノイの書店街を訪れ、各店舗のコンピュータ関連書籍売り場を調べてみた。
コンピュータ関連書籍コーナーの品ぞろえは、ソフトウェア、それもJavaやOracle、Windows Server 2003といったエンタープライズ向けの本が半分を占めているように実用的な書籍が多い。残りもPhotoshopなどのグラフィックス関連ソフトやMicrosoft Office、Windowsの解説本など、やはりビジネスソフトの使い方を説明する本がほとんどだ。ハードウェアやゲームに関する書籍はごくわずかに過ぎない。高価なビジネスソフトの解説本が大量に並んでいるのに正規版ソフトが販売されていないという状況は、ベトナムと同じく海賊版が蔓延していると言われる中国のコンシューマ市場によく似ている。
一方で“実用書が多い本のラインアップ”という状況は中国よりも、むしろ遠く離れたアウトソーシング大国のインドに似ている。ベトナムが、インドや中国に次いで「IT業界のアウトソーシング受注先国家」になりつつあるというのも本のラインアップから伺い知ることができるのだ。
コンピュータ系雑誌も片っ端から「購入」して目を通してみた。雑誌一冊が日本円にして約35円から60円という安さだからできた技である。新技術トレンドや新製品、新しいPCゲーム、ビジネスソフトの使いかた、外国の展示会リポートが主な内容になっている。日本のPC雑誌でよくあるベンチマークや分解記事は見かけなかった。
お隣の中国がハードウェア志向(とくに分解&自力修理志向)であることを考えると、製品の総合情報とソフトウェアの紹介が中心のPC関連書籍を読むベトナムのPCユーザーの楽しみ方は中国のユーザーとずいぶん異なるようだ。
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