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» 2006年08月29日 00時00分 UPDATE

イマドキのイタモノ:歴史は繰り返すのか?──Meromの「パワー」と「エコ」を調べる (1/2)

かつてモバイル向けCPUは性能と消費電力をともに向上させていた。Baniusの時代になってこの流れが変わったがYonah、そしてMeromはそのトレンドを受け継ぐことはできるのだろうか。

[笠原一輝,ITmedia]

 インテルが開発コード名「Merom」として開発してきたノートPC向けCPUは、すでに7月末にCore2 Duoとして発表されているが、本日からOEMベンダのノートPCに搭載されて実際に販売が開始された。Meromの基本的なアーキテクチャは、すでに市場に出回っているデスクトップPC向けCore2 Duoこと開発コード名「Conroe」とほぼ同じ(ConroeがMeromをベースに開発されているのだ)であるのだが、消費電力はConroeよりもずっと低く抑えられている。熱設計時の指標となるTDP(Thermal Desgin Power、熱設計消費電力)は35ワットと、Conroeの65ワットに比べて約半分だ。

 今回は、同じ動作周波数のMeromと現行製品であるCore Duo(開発コード名Yonah)を搭載し、CPU以外の構成は同等なノートPCを使って、Core DuoとCore2 Duoでどの程度性能が異なるのかを検証する。

既存のNapaプラットフォームの上で動作するCore2 Duo

 インテルは今年の1月に、それまで開発コード名「Napa」と呼んできたモバイル向けプラットフォームを、「Centrino Duo」のブランド名で投入した。Napaプラットフォームは、モバイル向けのCPUとしては初となるデュアルコアのCore DuoをCPUに採用し、新しいチップセットとしてIntel 945GM/同PM、無線LANにはIntel Pro/Wireless 3945ABGで構成される。チップセットと無線LANの平均消費電力が下がったため、従来のSonomaプラットフォームに比べて性能は上がっているのにバッテリー駆動時間が延びるという優れた特徴を備えていた。

 今回発表されたノートPC向けCore2 Duo、つまりMeromは、このNapaプラットフォームの上でそのまま動作する。CPUをYonahからMeromに置き換えるだけでいいのだ。もっとも、この「そのまま」というのは、エンドユーザーレベルではなくOEMベンダレベルの話。OEMベンダはCPUを置き換えてMerom対応のBIOSへと切り替えるだけで、出荷時にCore DuoかCore2 Duoかを選ぶことができる。ただし、いわゆるTDPと呼ばれる熱設計時の指標はCore Duoが31ワットであったのに対して、Core2 Duoでは34ワットへと引き上げられている。このため、CPUを新旧交換する場合には、TPD34ワットを前提に筐体が熱設計されていることが前提になる。幸いにして、インテルがOEMメーカーに対して提供していたNapaプラットフォーム向けのデザインガイドでは、最初から34ワットを前提に設計することを推奨していた。ほとんどのノートPCメーカーは経済性の観点から34ワットで設計しているので問題になることはないだろう。

 ユーザーが自分でCore DuoからCore2 Duoに交換する場合には、このように変更されてた熱設計と更新しなければならないBIOSが問題なる。ほとんどのメーカーはBIOSアップデートを公開している(Meromを搭載した製品が出荷された後で公開される可能性が高い)が、CPUファンなど熱設計周りには注意が必要だ。筐体が34ワットを前提に設計されていても、コストを抑えるためにCPUファンの材質などが31ワットで設計されていることもあるからだ(Core2 Duo搭載製品では、よい材質のヒートシンクなどに交換されている場合があるという)。従って、ユーザー自身でCore DuoからCore2 Duoへと交換するのはリスキーである。少なくとも保証期間内にやるようなものではない。

 機能面を比較してみよう。Core2 DuoはCore Duoに比べて、L2キャッシュが2Mバイトから4Mバイトに、実行パイプラインの段数は12から14に変更されて同時命令実行が3命令から4命令に増えている。また、いわゆる「SSE4」と呼ばれる新しい命令セットを利用することで、メディア処理などの性能をさらに向上させることが可能になる。

製品名Core2 DuoCore Duo
開発コードネームMeromYonah
製造プロセスルール65nm65nm
CPUコア数22
L1キャッシュ(各コア)64KB(32KB、32KB)64KB(32KB、32KB)
L2キャッシュ(各コア)4MB(共有)2MB(共有)
パイプラインステージ数1412
同時実行命令数43
SIMD演算実行幅128ビット64ビット
FSBクロック667MHz667MHz
機能EIST
VT
XD
命令セットインテル64(EM64T)
MMX
SSE
SSE2
SSE3
SSE4-

(記事掲載時にYonahコアでEM64Tの欄に○が記載されていましたが、正しくはサポートされていません。ここにお詫びして訂正いたします)

kn_mrmcpuzmn.jpgkn_mrmcpuzyh.jpg 参考までにCPU-Zで表示されたMeromコアのCore2 Duoの情報
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