きょうは倉庫の奥でマスク“ファン”を回してみた帰ってきたおバカなレビュー

» 2007年03月09日 12時03分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 そう、私はマスクがイヤ。だってさ、息苦しいし口の周りは湿気っぽくなってくるし、そうこうしているうちになんだか臭くなってくるし。なんたって、顔の前面がむわぁーと火照って、頭の中がぼわわわぁぁぁんとしてくるじゃないの。

 とはいっても。花粉症でくしゅんくしゅんやっているうちは自分だけの問題だからまだいいとして(いや、涙鼻水でぐしゃぐしゃな顔を見せ付けられるのはけっこう辛いものがあります)、「うぅぅぅぅえぇぇぇゲッゲッヘッヘ、ごぉええええ」という「末代までの呪いがのどにからみきっています」ような咳とともにバイ菌を撒き散らさないために、私はマスクをしなくてはいけない。

 こんなとき、私のような“とてつもなく堪え性のない人”でもマスクを装着できるようにしてくれるのが、この「USBスッキリマスク」だ。購入したのは「も ち ろ ん」あのサンコーのレアモノショップだ。

 すごいな〜、ファンつきマスク。恥も外聞もなくなってきた“おっさん”の私でも「屋外テスト」ができないぐらいに見た目がちょっとなんだけど。同じ事業部の女性スタッフに「ねぇねぇ、オレのマスクっていけてない?」と尋ねたら、顔を伏せたまま「いけてないです」と即答してくれた。撮影のモデルをお願いしても誰も引き受けてくれないし、いやはや困った困った。

そういうわけで、自分がモデルになりました

しょうがないから会社のなかでつかおーっと。電源はPCのUSBコネクタからケーブル経由で供給される。おお、れっきとしたPC周辺機器なのね。ケーブルに用意されたスイッチをオン!

「ぎゅぅぅぅぅぅいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃんっっっっ!!!!」

 アメコミのような大げさな擬音を思わず書いてしまうほどに内蔵ファンがうるさいぞ。あああ、オフィスの全員がこっちを「にらんで」いるじゃないか。太平洋戦争で日本軍相手に猛威をふるったボフォースの対空機銃を思わせる「40ミリ」というチップセット用小口径ファンを2発も積んでファンコンなしでフル回転させるから、

「うるさくてにらまれるのも当然ですね」

 “静かでクールなオフィス環境”に体が馴染んでいる丸の内ビジネスマン達のインテリジェンスな頭脳を見事に逆なでしたようだぜ(個人的な気分としては『はっはっはー』だ)。ファンの騒音なら、倉庫の奥で日々ベンチマークで使っているRadeonナンタラとかGeForceウンタラとかで慣れている自分としては、これぐらいの音はぜ ん  ぜ   ん、

「うああああああああああああああっ、うるさいっ」

 耳元、じゃなくて「鼻先」で「ちゅいぃぃぃぃん」とデュエットで甲高い音を立てられると、なんか「とらえどころのない焦燥感」に苛まされてイライラしてくる。「吸って吐いて」と呼吸するたびにファンの音が高さ大きさともに変化するのも気になる気になる。当然ながら、ファンマスクには「負荷にあわせた回転数制御」回路は実装されていない。吸気排気の風圧とファンが取り込む風圧のバランスの変化が発生する音に影響を与えるようなのだ。

ただでさえやかましいテストルームを圧倒する、ファンマスクの「音」を聞きたい読者はこちらの動画をチェック!(AVI形式:2.06Mバイト)

 しかも、だ。長時間ファンを回していると、鼻を中心として耐えがたい「ムズムズ感」がお顔いっぱいに広がってきたぞ。ファンは「マスクの中に外気を取り込む」方向で取り付けられているから、ばい菌を外に撒き散らさないものの、今の時期の外気に充満している「スギ花粉」を思いっきり中に取り込んでくれそうだ。

 あまりにも花粉を吸い込んでしまったために「突発性花粉アレルギー」引き起こしてしまったのか。ううう、たまらん、とファンを止めると、おや、ムズムズ感はきれいさっぱりなくなる。よし、スイッチオン。 ぐあああああ、ムズムズするぅぅぅ。

 どうやら、このムズムズもファンが原因のようだ。

そういえば、ファンを回すとなんか微妙に「ビリビリ」と振動しているようなそうでないような。この真実を突き止めるため、透明な“プラ”コップと一杯の水を用意した。鏡面のように静かな水面を湛えるコップ。そこにファンマスクを縛り付けてファンを起動するとっ!

こりゃまた、きれいですね

 マスクの振動がコップに伝わって、きれいな同心円状の波紋が水面に描かれた。こうして、顔中に広がるムズムズ感の原因がファンの回転で発生するマスクの「とっても微妙なバイブレーション」であることが視覚的にも把握できたが、だからといって「使っているうちに苦痛が快感に変わって」問題が解決するわけでもない。ファンを動かしている限りムズムズ感は止まらないのだ。

 こらえ性のない筆者が人体実験をしてみた結果、マスクをした状態においてファンの連続運用は30分が限度だった。小休止を入れて再度実験を繰り返すものの、耐えられる時間はだんだん短くなってきたことを報告しておきたい。もちろん、この実験結果や傾向には個人差が「大きく」作用するものであるから、堪え性のある人間のできたユーザーならこの値は改善されることは間違いないところだ。

 ……と、ジョークグッズにありがちな「いいとこなしの一品」に当確状態だったこのマスク。しかし、である。本気で高く評価したいポイントがある。それが、これまで“諸悪の根源”と散々だった内蔵ファンがもたらしてくれる「すっきりさわやか」な装着感だ。

 新鮮な外気をドンドン取り込んでマスクに吹き付けてくれるから、あの不快極まりない「蒸れて蒸れて臭くて臭くて」という症状が発生しないのである。この喜びをいかにして表現したらよいか。ここはPC USERらしく「温度計」で測定してみよう。

こんな感じで、マスクから目のあたりに吹き付けてくる空気の温度を測定した

 ファンを動作させない状態で目に吹き付けてくる空気の温度は摂氏29.1度だった。目の周りがほてってきて意識がぼんやりとしてくる。さあ、ファンを回すぞ。おおおおう、摂氏27.1度まで下がった。たった2度というなかれ、体感的には「すっきりさわやか」と霧が晴れたかのように意識がはっきりとしてきたのである。ファンマスク、その商品名「USBスッキリマスク」の名に恥じぬ効果を発揮したのであった。

「そんなに音がうるさいなら、PCUSERらしく静音タイプのファンに換装したら?」、ぎくぅ。でも、販売価格2480円のマスクのために、1つ800円のファンを2つですかー。うーん。どうしようか?(ええっ、後編に続くって?)


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