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» 2007年06月05日 13時01分 UPDATE

イマドキのイタモノ:TDP45ワットの低価格デュアルコア──Athlon X2 BE-2350は買いか待ちか (1/2)

AMDの新ブランド「Phenom」の説明資料にさりげなく加えられていた「Athlon X2」が登場した。「少食でも働き者」な新しいラインアップの力量を検証する。

[笠原一輝,ITmedia]

 AMDは2007年後半にリリースと予定しているクアッドコアのAgena(アジェイナ)に併せて、コンシューマー向けCPUのブランドを大きく変更し、ハイエンドおよびメインストリーム向け製品を“Phenom”(フェノム)とすることをすでに明らかにしている(別記事参照)。

 加えて、今後リリースされる低電力モデルは、“Athlon X2”と従来の“Athlon 64 X2”から“64”を外したものに変更することになっているが、きょうから始まるCOMPUTEX TAIPEI 2007のタイミングに合わせて「Athlon X2 BE-2350」「同BE-2300」のモデルが発表された。今回は、Athlon X2 BE-2350のエンジニアリングサンプルを用いて、そのパフォーマンスなどを元に性能をチェックしていきたい。なお、試作モデルであるため、その形容やユーティリティで表示される情報には製品版と異なるところがあるので、注意されたい。

「AM2」「デュアルコア」で45ワット

 今回登場したAthlon X2は、現行のAthlon 64 X2にも利用されている65ナノメートルプロセスルールの「Brisbane」(ブリスベン)コアを利用している。基本的なスペックは、既存するBrisbaneコア採用のAthlon 64 X2と同じで、各コアに128Kバイト(命令64Kバイト+データ64Kバイト)のL1キャッシュと512KバイトのL2キャッシュを備え、CPUに統合されたメモリコントローラはDDR2-800に対応し、2000M転送レート/秒のHyperTrasnport(HT1)をシステムバスとしてサポートする。このあたりからも、Athlon 64 X2の65ナノプロセス版とスペック的には変わっていないと考えることができるだろう。

 しかし、従来の65ナノプロセス版Athlon 64 X2の熱設計消費電力(TDP)が65ワットであるのに対して、今回発表されたAthlon X2はいずれも45ワットと削減されている。シングルコアのAthlon 64の65ナノプロセス版こそ45ワットの製品があったが、デュアルコアとしては比較的低い消費電力を実現しているといってよい。デュアルコアで45ワットを下回るTDPを実現したCPUとして35ワットのTurion X2やCore 2 Duo Tシリーズなどがあるが、これらはノートPC用のラインアップで、デスクトップPCで利用する場合は高価な専用マザーボードが必要になる。

 これに対して、Athlon X2はAM2パッケージを採用しているため、Socket AM2を載せた安価な一般的なマザーボードで利用できる。ここがノートPC向けのTurion 64 X2やCore 2 Duo Tシリーズに対するアドバンテージといえる。

モデルナンバーが「アルファベット2文字+数字4文字」に

 すでに述べたように、Athlon X2には「BE-2350」「BE-2300」と2つのモデルが用意されている。動作クロックはBE-2350が2.1GHz、BE-2300が1.9GHzとなる。これを見て分かるように、従来の4桁の数字の前に2文字のアルファベットが追加された新しいモデルナンバーがAthlon X2から導入されている。

III IIIIVVVI
BE-2350

 AMDによれば、IとIIの先頭2文字がCPUのクラスを表すという。なお、IIは消費電力を表し、“E”は65ワット以下を意味するという。また、先頭の“B”が何を示すのかはとくに公開にされていない。今後さらなる新製品が登場するときなどに明らかにされる予定だという。

 III〜VIまでの数字のうち、ハイフンのあとにくるIIIはCPUの属性を示しているという。例えば“2xxx”の場合はAthlon X2であることを示す。残りのIV〜VIの3桁はIIIで示した属性における位置づけを示している。“2350”は“2300”よりも高い性能を持つ製品であるということを意味することになる。

 AMDによれば、現行のAthlon 64 X2では、従来の「4000+」「5000+」などのモデルナンバーをそのまま適用し、今後登場する製品にだけこの新しい方式が採用されていくと説明している。そもそも、今のAMDのモデルナンバーは、インテルのPentium 4やPentium DとAthlonのクロック差が大きくなり、その比較となる目安としてインテルの競合製品のクロックに近い数字が採用されるという形で始まった(AMDは公式には否定しているが、前後の事情から考えるにそうした意図があった可能性は非常に高い)だが、インテルのCPUアーキテクチャがクロック重視のNetBurst系(Pentium 4やPentium Dなどで採用)から効率重視のコアマイクロアーキテクチャ系(Core DuoやCore 2 Duoで採用)に移行することでインテルのCPUに4GHzや5GHzの製品が登場していない状況であることを考えれば、4000+や5000+などの数値は意味を成さなくなってきている。今回のモデルナンバーの改訂は遅すぎたといってもいいぐらいだ。

 新しいモデルナンバーにおいて数字の1桁めがシリーズを示すことで、これまでのように、Athlon 64とAthlon 64 X2に同じ4000+があって「どちらが上か分からない」ということが減っていくだろうことから、ユーザーとしては、より分かりやすくなるだろう今回の改訂は歓迎していいのではないだろうか。

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