キヤノンのPIXUS MP970およびMP610に搭載された操作パネルは、液晶モニタのサイズを除き、ボタンの配置は同じだ。液晶モニタのメニュー構成も、MP970だけが持つ一部の機能(フィルムスキャンなど)以外は、MP970とMP610で共通化されている。
液晶モニタはMP970が3.5インチ、MP610が2.5インチだ。どちらもチルト調整に対応しており、画面は高精細で視認性も良好だが、キヤノンの複合機はメニュー内の情報量が多いため、MP610の2.5インチだと少々窮屈に感じる場合がある。ただし、メニューの文字が見にくかったり、操作に支障をきたすほどではない。
ユーザーインタフェースには2006年モデルで導入された独特の「Easy-Scroll Wheel」が引き継がれた。液晶モニタのメニュー項目や設定をホイールの回転で選択、OKボタンで決定といったように、直感的に操作できる。ホイールの周囲には4方向ボタンもあり、ホイールの代わりに4方向ボタンでもメニュー操作が可能だ。ホイールの導入により、操作パネル全体はコンパクトに収まっている。
操作パネルは本体上面(原稿カバーの上面)に設けられ、液晶モニタの部分がノートPCのように開閉する。使わないときに閉じておけば、ボタン類がすべて隠れるため、デザインがすっきりする点はよい。雑誌の見開きといった大きな原稿をスキャンする場合に、他社製品のように原稿が操作パネルを隠さず、操作しやすいのもポイントだ。その一方でスキャンする原稿が平らでないと、原稿カバーの上面にある操作パネルが傾いて操作しにくくなる面もある。この辺りは一長一短といえそうだ。
メニューのトップ画面はモード選択用で、コピーやメモリカード、スキャン、CD/DVD印刷、設定といったアイコンが並ぶ。操作パネルの「ホーム」ボタンを押すと、メニューのどこからでもトップ画面に戻れる仕組みだ。ホイールか4方向ボタンで動作モードを選んでOKボタンを押したあとは、モードに応じたウィザード形式のメニューで設定や操作が案内され、これに従いながら作業を進める。
印刷の詳細やメモリカードに保存された画像のトリミングといった設定は、ホイールの上側に用意された2つのファンクションボタンで呼び出す。ファンクションボタンは、メニューの場面に応じて呼び出す設定が変わる。
メニューの階層が一部で深くなっているが、「戻る」ボタンや「ホーム」ボタンのおかげで全体的な見通しはよく、直感的な操作が可能だ。メモリカードに保存された画像の表示やメニュー操作のレスポンスも良好で、ストレスは感じない。また、電源ボタンを押してから操作可能になるまでの時間がMP610で約4秒、MP970で約6秒と非常に高速な点は他機種に対するアドバンテージといえる。
メモリカードからのダイレクト印刷は、まず本体にメモリカードをセットし、トップ画面で「メモリーカード」を選ぶと、液晶モニタのメニューが印刷機能の選択画面になる。印刷機能の内容は、すべての写真を印刷、選んで印刷、レイアウト印刷といったものだ。よく使うのは「選んで印刷」で、ここで一度、用紙サイズと種類、印刷品質、フチあり/なしという基本的な印刷設定を行う。
続いて印刷画像の選択へと進み、ホイール上部にあるファンクションボタンのメニューで画像の拡大表示や9分割のサムネイル表示、スライドショーなどを切り替える。印刷枚数は「+」ボタンと「−」ボタンで指定し、サムネイル表示でも各コマごとに枚数指定と枚数表示が可能だ。次は印刷設定で、用紙や印刷品質などの基本設定は1階層、画質調整などの詳細設定はファンクションメニューからの2階層以降に用意されている。なお、印刷中にほかの操作を行うことができないのは少々不便だ。
日本HPの操作性はC8180とC6280でかなり異なる。C8180の液晶モニタは3.5インチで、タッチパネル式なのが大きな特徴だ。液晶モニタに表示されるメニューのアイコンや選択肢を、指で直接タッチして操作する。若干コントラストが低いものの、視野角と視認性、精細さに問題はない。
また、操作パネルにもボタンはあるが、カラーとモノクロの「コピースタート」ボタン、実行中の動作を即時中止する「キャンセル」ボタン、メモリカードダイレクト印刷へ移行する「フォトプリント」ボタン(タッチ操作でも可能)、「赤目除去」のオン/オフを行うボタンだけとシンプルだ。操作パネルには上部を支点としたチルト機構があり、角度調整が行える。
一方、C6280の液晶モニタは2.4インチと小さめで、タッチ式ではない。ただし、チルト調整は可能だ。小型なので画面の文字やアイコンは小さく、明部が若干とび気味だったが、表示が見にくいというほどではない。操作パネルのボタン数が多いのは、ほとんどのボタンが独立した役割を持っているからだ。ボタンは機能別にグルーピングされており、フォトメニュー、スキャンメニュー、コピーメニューというボタンを押すと、動作モードが切り替わる。液晶モニタのメニュー操作は、4方向ボタンとOKボタン、戻るボタンと標準的な構成だ。
液晶モニタのメニューは、C8180とC6280とも最新の「HP Photosmart Express Ver.2.0」を採用する。C8180のトップ画面には、写真、コピー、スキャン、CD/DVDというアイコンがあり、いずれかをタッチすることで動作モードを切り替える仕様だ。C6280のモード切り替えは前面のボタンで行う。
CD/DVD関連などC8180だけが持つ機能を除けば、各モードに移ったあとのメニュー表示は両機種とも変わらない。メニュー操作は、C8180が液晶モニタのタッチ、C6280は4方向ボタンとOKボタンで行う。インクのメンテナンスやネットワーク設定などは、「セットアップ」メニューにまとまっている。セットアップメニューは3階層で、設定内容が分かりにくいところもあるのだが、何度か使えば把握できるだろう。階層が深く感じる部分あるが、設定項目は全体的にシンプルにまとまっている。
メモリカードダイレクト印刷の手順も、C8180とC6280は共通だ。本体にメモリカードを装着すると自動的に「フォトプリント」モードに切り替わるので、初心者でも操作の手順は分かりやすい(エプソンとキヤノンの製品はユーザーによるモード選択が必要)。続いて液晶モニタのメニューで「印刷」を選択し、印刷レイアウト(L判フチなしなど)を選ぶと、メモリカード内の画像がサムネイル(C8180は9コマ、C6280は6コマ)で表示される。サムネイル表示では、印刷画像として「すべて選択」と「すべて選択解除」が可能だ。すべて選択した場合、各画像を1枚ずつ印刷する。
任意の画像を印刷する場合は、サムネイル表示で1つの画像を選択し、画像1枚単位の拡大表示に切り替える。印刷する画像を表示しながら印刷枚数を指定し、最後に「完了」と「印刷」を実行すればよい。印刷前に用紙の種類やレイアウトの再設定も可能だ。印刷中に印刷完了までの予想時間が表示されたり、印刷中に次回の印刷予約が行えるのは気が利いている。一度表示したサムネイルはメモリカード内にキャッシュを作成するので、画像送りのレスポンスは滑らかだ。
ただし、サムネイル表示の画面から印刷する画像の設定が行えないため、サムネイル表示と1コマ表示のメニューを往来しなければならない点、画像ごとの印刷枚数がサムネイル上に表示されない点は今後の改善を求めたい。
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