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» 2008年03月26日 11時00分 UPDATE

山田祥平の「こんなノートを使ってみたい」:アップルが考える「ポータブルバリュー」 (1/2)

衝撃的なデザインの「Air」、大画面でパワフルな「Pro」、廉価なCore 2 DuoマシンのMacBook。三者三様なラインアップだが、そのコンセプトは共通だという。その「アップルの思想」を聞く。

[山田祥平,ITmedia]

 アップルは、モバイルPCを“Note”ではなく“Book”と呼ぶ。その背景にある思想はなんなのだろうか。アップルのプロダクトマーケティングディレクターである服部浩氏に聞いてみた。

ほかとは違うアップルの「ポータブルPC」

kn_syoheimac_02.jpg 最新のポータブルMac「MacBook Air」と1993年に発売された「PowerBook Duo 210」

──アップルが開発するポータブルPCを考えたとき、優先されているものがWindowsノートPCと異なっているように思えるのですが。

服部 アップルは、最も革新的な技術をコンシューマーユーザーにもたらすことを最優先に製品を作ってきた企業です。コンピュータをパーソナルなものにしたのはアップルであり、Macなのだと自負しています。それまで研究所でしか使っていなかったようなテクノロジーをごく普通の人々が使えるようにしたのですから。われわれの姿勢には、常に、そのことが根底に流れています。

 ベストのポータブルとは何なのかを考えたときに、アップルの考えるポータブルマシンは、(ほかのノートPCメーカーと比べると)確かにちょっと違うかもしれませんね。フルサイズのキーボードと、十分なサイズの液晶ディスプレイは必須です。

 これを端的に示しているのが17インチクラスの製品でしょう。このサイズのノートPCでは、バッテリーが1時間くらいしかもたないものも少なくないじゃないですか。でも、17インチの液晶ディスプレイを搭載したMacBook Proはポータビリティを犠牲にしていません。大きくても数時間(カタログスペックで最長5時間)はバッテリーが持つように設計されています。加えて、17インチクラスのノートPCでは1番軽い(MB166J/Aで3.08キロ)はずです。ほかのメーカーの17インチノートPCは、デスクトップのリプレースとして考えられているからで、ポータブルであることはそれほど重視されていないのです。

 アップルには、ノートPCであってもデスクトップPCであっても「差をつけない」という思想があります。ポータブル利用を重視した製品にサブノート的なポジションを与えていないわけです。だから、どのラインアップを選んでも、ほぼ同じ(利用)環境が得られます。それがアップルの考えるポータブルバリューです。

kn_syoheimac_04.jpg アップルのポータブルPCラインアップ「MacBook Air」「MacBook Pro」「MacBook」

Leopardに見るアップルの思想

kn_syoheimac_05.jpg 「GarageBand」は楽器のアイコンを入れ替えるだけでオーケストレーションをアレンジできる。こういう、直感的ですぐに連想できるインタフェースがアップルの思想を反映した結果なのだ

──新世代のMac OS Xである“Leopard”が好評ですね。

服部 Macであること、そして、Leopardであることは、コンシューマーユーザーに多くのメリットをもたらします。Leopardは、最も先進的なOSだと自負しています。iPodでおなじみの「Cover Flow」や仮想デスクトップ環境を切り替える「Spaces」などの操作性は秀逸だとユーザーからも評価していただいていますし、「Time Machine」のように、バックアップの恩恵をコンピュータのリテラシを持たないユーザーでも得られるような工夫が凝らされています。

 今は、一般のユーザーもたくさんのデジタルアセットを持っているじゃないですか。例えば、写真もかけがえのない財産です。その資産保全のためにバックアップがあってしかるべきなのですが、ハードルが高い。それをなんら難しいことをしないで、ほぼワンタッチでバックアップできるのはLeopardならではです。

 さらに、Macを買えば、最初から「iLife」というアプリケーションスイーツが入っています。これは、「デジタルライフスタイルアプリケーション」という位置づけで、写真、動画、Webページ、DVD-Video、音楽といった素材を扱うアプリケーションのセットです。Leopardとの親和性が高く、アプリケーション間でデータのやりとりがシームレスにできるようになっています。

 このように、Macを買えば、個人が使う上で必要なものがすべて入っているのです。そして、これらすべてをアップルが自ら手がけていることも評価してほしいところですね。例えば、音楽作成ソフトを使いこなすのは意外と難しく、一般の人々にはハードルが高いと見られがちですが、iLifeの「ガレージバンド」はそのハードルを一気に低くしました。それが可能なのも、アップルだからではないでしょうか。

園児から高校生にも“耐える”MacBookの堅牢性

kn_syoheimac_03.jpg 磁力で取り付けた電源コード「MagSafe」もアップルのポータブルコンピュータの思想を典型的に示した1つの例といえる

──そのLeopardを載せたMacBookですが、ほかのノートPCと差別化するハードウェア的な要素はどこにあると考えていますか。

服部 アップルにはポータブル3製品ということで、MacBook、MacBook Pro、MacBook Airという3つのラインアップがあります。いずれも、「MagSafe」を採用しています。電源アダプタのプラグがマグネットで本体にくっついていて、ケーブルが不意に引っ張られても簡単に本体から外れてくれるおかげで、本体ごと机から落下するアクシデントを防ぎます。落ちても大丈夫なように作ることも大事ですが、落ちないように工夫しておくことも重要なのではないでしょうか。さらに、「緊急モーションセンサー」や、「ラッチレスデザイン」、そして、「頑丈な足回り」などは、どのMacBookにも踏襲されています。

 ちなみに、米国でMacは教育市場で数多く使われているんです。いわゆる「K-12 Grade」ですね。キンダーガーテンから12年生、日本でいえば、幼稚園から高校3年生までに相当します。彼らのPCの扱いはとにかく乱暴です。だから、本体裏のラバーやキーボードが丈夫でなければ、とても耐えられません。工事現場で使えるほどの堅牢性を訴求するわけではありませんが、かなり丈夫に作ってあることは実証済みだと考えていただいていいと思います。

 バックライトつきのフルサイズキーボードや、マルチタッチトラックパッドなどを装備し、WebカメラのiSightもケーブル接続などが不要なのですぐに使えます。ワイヤレスネットワークは、IEEE802.11nとBluetoothが標準で装備されています。日本のユーザーには、MacBookが、この大きな液晶ディスプレイを搭載して高解像度表示を実現しながら、フットプリントが意外と小さいことにも気がついていただきたいですね。

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