Amazon、「Kindle Paperwhite」「Kindle Fire HD」を発表

» 2012年09月07日 03時30分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 米Amazon.comは9月6日(現地時間)、同社の電子書籍リーダー「Kindle」の最新モデル「Kindle Paperwhite」、タブレット製品「Kindle Fire HD」を発表した。

Kindle Paperwhite Kindle Paperwhite

 Kindle Paperwhiteは、6インチの電子ペーパーディスプレイを搭載する点は従来モデルと変わらない。ただし、そのディスプレイはE Inkではなく、製品名にも付けられている「Paperwhite」という新開発のディスプレイのようだ。コントラストは25%UP、62%のピクセル数増により、212ppiの解像度を持つという。本体の厚さは9.1ミリ、重さは7.5オンス(約212グラム)。価格は3G搭載モデルが179ドル、Wi-Fiモデルが119ドルで(いずれも広告付き、広告なしモデルはそれぞれ20ドル高)、10月1日から出荷される。タッチ操作に非対応の従来モデル(Kindle 4)は新しいフォントなどを追加し、69ドルで販売される。

 ここ1年ほどで電子ペーパーベースの電子書籍リーダーに搭載され始めたフロントライトを新たに追加したのも特徴の1つ。電子ペーパーはその特性上、暗いところでは読めないという特徴があった。それ故、場所を選ばず読めるようフロントライトを搭載するのがトレンドになりつつある。その先鞭(せんべん)を付けたのは米国内最大の書店チェーンBarnes & Nobleの「NOOK Simple Touch with GlowLight」だが、同製品は供給体制が計画通りでなかったことなどが影響し、売り上げを伸ばすのに苦労していた。

 Amazonが発表するKindleの最新モデルに、E Ink Pearlより新しい世代のパネルが搭載されるかは注目とされていた。ソニーが9月21日から国内販売を開始するPRS-T2は表示制御の技術面でE Ink Pearlのポテンシャルをかなり引き出したが、パネル自体の世代が変わるとしたら、製品としてはタイミングが悪いと言わざるを得ないからだ。しかしAmazonは今回、Paperwhiteという新開発のディスプレイを採用した。これがどの程度の性能なのかは追ってレビューをお届けしたい

8.9インチタブレット「Kindle Fire HD」

Kindle Fire HD 8.9インチのKindle Fire HD

 一方、2011年11月に同社が市場に送り出した最初の7インチタブレットの後継製品にも注目が集まっていたが、既存モデルをCPUやメモリのアップグレードで40%のパフォーマンス向上を果たしたものを159ドルに値下げして販売、さらに、新たに「Kindle Fire HD」を発表した。従来のKindle Fireと同じ7インチモデルのほか、8.9インチモデルの「Kindle Fire HD 8.9"」がラインアップされている。

 Kindle Fire HDは7インチ(1280×800ピクセル)または8.9インチ(1920×1200ピクセル、254ppi)の液晶ディスプレイを備える。後者はSoCにはTIのOMAP 4470 1.5GHzを採用、厚さ8.8ミリ、重さ20オンス(約567グラム)。いずれも2.4GHz帯と5GHz帯の2つの周波数帯域を利用してネットワークを高速化するMIMO通信をサポートしている。スピーカーはデュアルステレオスピーカー。HDMI出力やBluetoothといったKindle Fireには非搭載だったものが搭載されている。

 ラインアップは16Gバイトモデルからで、価格は7インチのKindle Fire HDが199ドルから、Kindle Fire HD 8.9"が299ドルから。Kindle Fire HD 8.9"は4G LTEを搭載したモデル(32Gバイト)も用意され、こちらは499ドル。出荷は11月20日からとなっている。


 発表を整理すると、今回Amazon.comが発表した新製品は以下の4つだ。

  • Kindle Paperwhite(新製品、119ドル、10月1日出荷開始)
  • Kindle Paperwhite 3G(新製品、179ドル、10月1日出荷開始)
  • Kindle Fire HD(新製品、7インチ、199ドル〜、9月14日出荷開始)
  • Kindle Fire HD 8.9"(新製品、8.9インチ、299ドル〜、11月20日出荷開始)

Appleの発表前に熾烈な動き、勝者は誰か

 Amazonの発表の直前には、7月に国内でのサービスを開始した楽天グループのKoboが電子書籍リーダー2機種、タブレット1機種を突如として発表した。Amazonへの注目が大きかったこともあるが、この新製品は発表までその存在をほとんど知られることなく、登場した。

 こちらの電子書籍リーダー2機種は、「Kobo Glo」「Kobo Mini」。前者は、フロントライト搭載の6インチE Inkディスプレイ搭載モデル。重さは185グラム。後者は、5インチのE Inkディスプレイ搭載モデルだ。同社によると、「世界最小かつ最軽量」のボディは、101.6×133.1×10.3ミリ、重さは134グラムとある。

 そしてタブレット製品が「Kobo Arc」。7インチの液晶を備え、Android 4.0を搭載したこの製品は、Amazon.comのkindle Fireと直接競合する製品だ。特徴としては、kindle Fireのように独自アプリストアではなく、Google Playを採用している点だ。

 9月12日(現地時間)のAppleの発表を前に、各社の新モデルが出そろってきた。消費者の心をつかむのはどのデバイスだろうか。

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