購入したばかりのときはサクサク動作していたPCも、使っていくうちにだんだんと遅くなっていき、OSやアプリケーションの起動を待たされてイライラする――PCを使っていれば誰しもこんな経験はあるだろう。
HDDの断片化やレジストリの肥大化、使っていないプログラムによるスタートアップの不要な処理などなど、その原因は多岐にわたる。そして原因が分かっていても、それら1つ1つを自分で解決していくのはかなり面倒な作業だ。手っ取り早くOSをクリーンインストールする、あるいは思い切ってPCを買い替えてしまおうか、と考える人もいるかもしれない。
そうした悩みを解決してくれるのが、いわゆるシステムチューニング系ソフトだ。この種の製品は、例えユーザーに知識がなくても、ソフトウェアが自動的にPCの処理を重くしている原因を探し出し、数クリックするだけで正常な状態に戻してくれる。「最近パソコンが重くなってきたなあ」と感じたら、新機種の購入を検討する前に試してみる価値はある。
「米国では平均2.4年でほとんどのPCは廃棄されてしまいますが、『System Mechanic』を使えば5年以上は問題なく利用できます」――そう話すのは、米国のシステムチューニング系ソフトで80%以上のシェアを持つ急成長企業、iolo technologiesのJulia Zamorska氏だ。ioloの「System Mechanic」は、世界に4500万人のユーザーを抱え、米国だけでなく、カナダやイギリス、フランスなど各国のシステムチューニング系ソフトで売り上げ1位に輝いた実績を持つ。
今回ついにSystem Mechanic日本語版をリリースするとのことで(販売はイーフロンティア)、ちょうど来日していたZamorska氏に、最新バージョンである「System Mechanic 11.0」の特徴的な機能を解説してもらった。
System Mechanicの特徴は、システム低下の原因をほぼワンクリックで解決してくれるだけでなく、PCを使用していないときに自動的にメンテナンスしてくれる点だ。「例えば、仕事をちょっと休憩してお茶を飲んでいるときだけ動作するので、PCが常にピークパフォーマンスを維持できるのです。これが、事前に設定したスケジュールに沿ってメンテナンスを行う他社製品と違う点です」とZamorska氏は説明する。
また、System Mechanicでは50以上の項目を診断してシステムの最適化を行っているが、これらはライブアップデートによって常に最新の情報(チューンアップ定義ファイル)を参照しているという。ちょうどセキュリティソフトの定義ファイルと同じような仕組みで、システム低下を招くプログラムやサービス、コンポーネントの情報がインターネット経由で配信される。「このチューンアップ定義は、提供する地域ごとに異なる部分もあります。例えば、ヨーロッパでも、ドイツでは(あるプログラムの)ドイツ語版特有の問題に対処する、といったように、それぞれの地域に最適化しています」とZamorska氏。これまで全体で2万7000以上の定義ファイルを配信し、現在は1週間に1回ほど更新しているとのことだ。
今回登場した最新版の11.0では、SSDとHDDの両方の最適化に対応した「AcceleWrite」や、スタートアップに追加された不要なアップデートチェック(AcrobatやiTunesなど)を排除する「Startup Optimizer」、先日リリースされたWindows 8のサポートといった新機能が加わった。このほか、System Mechanicはホームユーザーラインセンスの形態をとっており、家庭内のすべてのPCで利用できるのもポイントだ。
最後に、開発中の日本語β版を自分のマシンにインストールしてみた。半年前に会社から支給されたVAIO S(SA)で、特に動作が重いと感じる場面はないが、評価用ソフトウェアを入れてみたり、大量のデジタル写真の保存・削除(別のストレージにバックアップ)を繰り返しているので、ディスクの断片化はちょっと気になる。
早速インストールしたところ、7個の問題がシステムを低下させており、「システムステータスは悪い」と判断された。具体的にはWindowsレジストリの損傷や10Gバイトを超えるシステムクラッターが見つかったようだ。購入から半年程度でも毎日酷使していればこの程度の問題は蓄積されてしまうらしい。問題点を個別に修正するのは面倒なので、初心者向けの「すべてを修正」を選択。あとは何もせずに10分程度でメンテナンスを完了してくれた。
ただ、メンテナンス前と後でOSの起動時間を比較してみたが、その差は数秒でほとんど誤差の範囲といってもいいレベルだった。比較的新しいマシンで試したとはいえ、原稿の締めとしては非常に残念な結果である。ちなみに、、リソースモニターで確認した起動直後のメモリ使用率は、実行前が2006Mバイト(使用中)だったのに対して、実行後は1787Mバイト(使用中)となり、空き容量が230Mバイトほど回復していた。今回のケースでは劇的な高速化を体験できなかったが、1度インストールすれば自動的にマシンの最高性能を保ってくれるので、とりあえず入れておいて損はなさそうだ。
なお、国内ではイーフロンティアが販売を予定しているとのことだが、提供時期や価格について正式なアナウンスはまだない。
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