2011年末に市場に登場したUltrabookは、昨年、タブレット形態でも利用できるよう、着脱やコンバージェンス(変形)機構を盛り込んだ形に進化するとともに、低価格化を進めてきた。
そして、2013年は「すべてのUltrabookがタッチ機能を搭載し、タブレットとしても、クラムシェルタイプのノートパソコンとしても利用できるようになる」と、Intelでクライアントビジネスを統括するカーク・スカウゲン上級副社長兼PCクライアント事業本部長は、1つで2種類の使い方ができる“ニコイチ”(2 in 1:1台2役の意味)を実現させる意向を示す。
これにより、Webブラウジングや映画などを楽しむときは、コンテンツ消費に適したタブレット形態で、メールや文書の制作などの作業効率を高めたい場合は、PC形態で利用できるようにすることで、Ultrabookのよさを訴求していきたい考えだ。
一方、タブレットやスマートフォンではマルチOSサポートを強化する。現在、同社のタブレット・スマートフォン向けSoCでは、Android搭載スマートフォン向けに“Clover Trail+”(開発コード名)で知られるAtom Z2580、Windowsベースのタブレット向けに“Clover Trail”(開発コード名)で知られるAtom Z2760を展開している。
しかし、今年末にもパートナー向けに供給を開始する予定の「22ナノメートルプロセス世代の“Bay Trail”(開発コード名)では、WindowsとAndroidの両OSをサポートする予定だ」と、同社でAtomプロセッサのアーキテクチャ開発を担当するシュリーカント・タッカー氏は説明する。
これを受けて、IntelはAndroidやクロスプラットフォームのアプリケーション開発環境も強化。同社のグラフィックスパフォーマンスチューニングツールの「Graphics Performance Analyzer」(GPA)は、新たにAndroid対応のゲームソフトのパフォーマンス解析やチューニングが行なえるようにバージョンアップされたほか、Intelの仮想化技術VT-xに対応し、Androidエミュレータの高速化を実現する「Intel Hardware Accelerated Execution Manager」を紹介し、Windowsだけでなく、Androidのアプリケーション開発も容易に行なえることをアピールした。
さらにIntelは、クロスプラットフォームアプリケーション環境として注目されるHTML5への対応を進め、「Intel Cross platform Development Kit」(XDK)と呼ぶHTML5アプリケーション開発環境を無償で提供する。
同開発環境では、WindowsやAndoridに加え、iOSやWindows Phone 8などにも対応するほか、AmazonやApple、Facebook、Google、MicrosoftなどのAppストアとの連係も強化しており、開発したアプリを容易に公開・販売できる環境となる。
同社でシステムソフトウェア事業部を統括するダグ・フィッシャー副社長は「2015年には、(タブレットやスマートフォンで動作する)モバイルアプリケーションの80%がHTML5ベースになると予想されている」とし、モバイルアプリケーションの標準プラットフォームとして期待を寄せるほか、IntelプラットフォームのHTML5への最適化やアクセラレーションのサポートなどを推し進めていく意向を示した。
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