インタビュー
» 2013年04月24日 13時01分 UPDATE

製品担当者インタビュー:シングルカード最強を目指して――「Radeon HD 7990」投入の狙い (1/2)

Radeon HD 7000シリーズのフラグシップモデルとして、デュアルGPUカード「Radeon HD 7990」が正式に発表された。AMDプロダクトマネージャーのデヴォン・ネケチャック氏に聞く。

[本間文,ITmedia]

 AMDは、Radeon HD 7000シリーズのフラグシップモデルとなる「Radeon HD 7990」を正式に発表した。同製品は、“New Zealand”(ニュージーランド)の開発コードネームで知られるSouthern Islandsシリーズのフラグシップモデルとして、昨年夏には市場投入される計画であった。

 しかし、同一コンセプトの製品は台湾Power ColorやASUSTeK Computerから市場投入されたものの、AMD自らが、同製品をリリースすることはなかった。それが、ここにきて「Radeon HD 7990」には、新たに“Malta”(マルタ)の開発コードネームが与えられ、“Sea Islands”シリーズの一員として、市場投入された。一体、その背景には何があったのか。同社で高性能グラフィックスカードのプロダクトマーケティングを担当するデヴォン・ネケチャック氏(Devon Nekechuk, Product Manager, AMD Graphics)に話を聞いた。

og_7990-01_001.jpgog_7990-01_002.jpg 3月27日に、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催されていたGame Developer Conference 2013にあわせて、会場近くのホテルで「Radeon HD 7990」に関する詳細を説明するデヴォン・ネケチャック氏(写真=左)。Radeon HD 7000シリーズのフラグシップモデルとしてラインアップに追加された「Radeon HD 7990」(写真=右)

シングルカード最強へのこだわり

 Radeon HD 7990が目指したのは「シングルカード最強の座」。このため、カードの設計にあたっては、以下の3点に挙げられるこれまでの同社のデュアルGPUカードとは異なるアプローチが採られた。

1. Radeon HD 7970 GHz Editionに準じる動作クロックの実現

2. 2基あるGPUごとに独立した電源回路を搭載し、きめ細かな電力制御を実現

3. 3連ファンの採用による静音性の追求

og_7990-01_003.jpg Radeon HD 7990に搭載されているGPUは、Radeon HD 7970に搭載されている“Tahiti”コアから変更はない

 Radeon HD 7970 GHz Edition(1.05GHz)に準じる動作クロックの実現には「GPUそのものはRadeon HD 7970と同じチップだが、製造技術の成熟により、より省電力で1GHz動作を実現できた」とネケチャック氏は説明。これにより「デフォルト設定時の消費電力は300〜320ワットに抑えることができた」(同氏)とアピールする。ただし、AMD OverDriveなどでGPUやメモリの動作クロックを引き上げれば「最大380ワットくらいにはなる」(同氏)が、それでも、「カードそのものの設計は、液体窒素などによるアグレッシブなオーバークロックにも対応できるように「電源設計は、最大500ワットまで供給できるように設計してある」(同氏)のだという。

 Radeon HD 7990のオンボード電源は、2組のデジタルPWMで構成されており、それぞれのGPUやメモリに、独立した電力を供給できるようにしている。これにより、GPUの負荷に応じて、きめ細かな電力制御が可能になり、ムダな電力を消費せずに済む。また、同社が「3X Ultra-Quiet Axial Fan」(超静音3連ファン)と呼ぶ3つのファンは、PCI Express端子に近いメインGPU側に2基、カードエッジ側のサブGPUに1基がそれぞれ連動するようになっており、ベイパーチェンバーを採用したヒートシンクも、各GPUで独立した構成を取っているのも特徴だ。

 ネケチャック氏によれば、「放熱メカニズムを各GPU独立にしたことで、3基のファンが連動して動作するよりも、ファンノイズを抑えることが可能になった」とし、「静かな図書館が40デシベルとされているが、Radeon HD 7990は、FurmarkでGPUに高い負荷をかけても、図書館よりも静かな動作音しかしない」と、その静粛性に絶対の自信を見せる。

og_7990-01_004.jpgog_7990-01_005.jpgog_7990-01_006.jpg 2つのGPUの中間に用意された2組のデジタルPWM電源回路。各GPUとそれに組み合わされるメモリごとに、独立した電源を生成・供給する設計を採っている(写真=左)。電源コネクタにはPCI Express 8ピンを2基搭載。カードそのものは、最大500ワットの電力消費に堪えられる設計が施されているとのこと(写真=中央)。発熱が大きいデジタルPWM部には、GPUとは別の独立したヒートシンクが搭載される(写真=右)

og_7990-01_007.jpgog_7990-01_008.jpg Radeon HD 7990に搭載された超静音3連ファンと強力なヒートシンク(写真=左)。その静音性は、静かな図書館よりノイズレベルが低いとアピール(写真=中央)。

og_7990-01_009.jpgog_7990-01_010.jpg ブラケット側の2基がメインGPU用のファン、カードエッジ側(奥)がセカンダリGPU用のファンという構成を採る(写真=左)。CrossFire用コネクタ脇に設けられたファン用コネクタ。同コネクタでメインGPU側の2基のファンを制御する(写真=右)

og_7990-01_011.jpgog_7990-01_012.jpg GPUには4パイプ構成のヒートシンクが、それぞれに搭載される

 また、同氏は「Graphics Core Nextアーキテクチャの特徴でもある、ZeroCore Power Technologyで、GPU負荷が低いときは一方のGPUを休止できるため、Windowsのアイドル時の消費電力は、わずか15、16ワット程度。常に、高いパワーを要求するわけではない」と、同製品の省電力機能の優秀さもアピールする。

 そのパフォーマンスや、実際の消費電力などについては、別稿のとおりだが、AMDとしては「Radeon HD 7990は、4Kディスプレイでグラフィックス品質を最高レベルにしても、存分にプレイが楽しめる、新時代のハイエンドカード」(同氏)と位置づけており、PCゲームのクオリティをさらに向上させるきっかけにしたいという思いも伝わってくる。

og_7990-01_013.jpgog_7990-01_014.jpg 2つのGPUの連係を高めるため、PCI Express Gen. 3 16レーンを48レーンに増幅するPLX Technologyのブリッジチップ「PEX8747」を採用。その帯域は96Gバイト/秒にも達する。なお、同ブリッジチップは先行投入されたPower ColorやASUSTeK ComputerのRadeon HD 7990でも採用されている(写真=左)。Radeon HD 7000シリーズのウリでもある、ZeroCore Power Technologyで、GPU負荷の低いときは、省電力で動作する(画面=右)

og_7990-01_015.jpgog_7990-01_016.jpg 4Kディスプレイでグラフィックス品質を最高にしても、最新ゲームタイトルを存分に楽しめるとアピール

       1|2 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia PC USER に「いいね!」しよう