連載
» 2013年11月01日 15時00分 UPDATE

本田雅一のクロスオーバーデジタル:「Surface 2/Pro 2」の立ち位置とこれから進む道 (1/3)

2世代目でこなれてきた「Surface 2」と「Surface Pro 2」。実機のインプレッションに、米MicrosoftのSurface 2セールス&マーケティング担当者へのインタビューを交えつつ、現在の立ち位置と今後進むべき道を探る。

[本田雅一,ITmedia]

マイクロソフトが提案する「タブレットとPCの融合」はどう進化したか?

tm_1311sufrace2_01.jpg 米Microsoftの本社ジェネラルマネージャーでSurfaceのセールスとマーケティングを担当するブライアン・ホール氏と、Type Cover 2を付けた「Surface 2」

 日本マイクロソフトは2013年10月25日、第2世代の「Surface」シリーズを発売した。Surfaceシリーズはご存じの通り、これまでPCの基本ソフトや周辺機器しか発売してこなかったマイクロソフトが、はじめて自社ブランドで発売したパーソナルコンピュータだ。

 多くのPCメーカーとパートナーシップを結ぶマイクロソフトが、いよいよ自社でPCを販売する。すなわち、パートナーである企業のライバルに、自ら名乗りを上げたと見ることもできるわけで、この1年、おおいにウワサ話の種になってきた。

 しかし、マイクロソフトの狙いは1つ。タッチパネルを用いたタブレット端末ライクな操作性と、従来のデスクトップ画面を基本とするPCのGUI。この2つを融合させたときに最適な新しいタイプのパーソナルコンピュータを作ることだ。

 マイクロソフトは昨年より繰り返し、Surfaceは新たな市場開拓のために提案性の強いハードウェアを提供しているのであり、PCメーカーの顧客を奪う意図はないと発言してきた。では、具体的にどのような製品に仕上げてきたというのだろうか。

 米Microsoftの本社ジェネラルマネージャーでSurfaceとWindowsハードウェアにおけるセールスおよびマーケティングを担当するブライアン・ホール氏の話を交えながら、Surface 2シリーズの姿を追っていきたい。

“Surface”のコンセプトを最も色濃く出すSurface 2

si_surface2-01.jpg Surfaceシリーズの新ラインアップ。左からSurface 2、Surface(Surface RTより名称を変更し、継続販売)、Surface Pro 2

 Surfaceには、ARMプロセッサ向けのWindows RTを搭載する「Surface RT」と、インテルプロセッサを搭載する「Surface Pro」が存在した。この基本構成に変化はないが、今回はWindows RT搭載機から「RT」の文字が消え、「Surface 2」と書いた場合には、Windows RT搭載機のことを指すようになった。Surface Proのほうは変わらず、「Surface Pro 2」と名付けられている。

 Surface 2は、32Gバイト版が4万4800円、64Gバイト版が5万4800円と、アップルのiPadを強く意識した価格設定だが、1万円を越える実売価格のキーボード機能付きカバーがほぼ必須アイテムであることは考慮しておく必要がある。とはいえ、標準的なタブレットよりも一回り大きなスクリーンを採用し、さらには本体を斜めに支えるキックスタンドを備えつつも重量を約676グラムに抑えている点は評価してもよいと思う。

 初代Surface RTと比較すると厚さが9.3ミリから8.9ミリへ、0.4ミリながら薄型化が図られており、またキックスタンドのチルト角度が2段階に増えたことで、これまでよりも画面を寝かせた40度の位置で固定できるようになった。それ以外の外観上の違いはロゴの位置とシルバーとなった色ぐらいのものだ。

 搭載するインタフェースは、ディスプレイ出力としてMicro HDMI、メモリカードスロットとしてmicroSDXCに対応するほか、USB 3.0を1ポート搭載する。無線LANはIEEE802.11a/b/g/n対応。Bluetooth 4.0、ステレオマイク、ステレオスピーカーも備えている。

 前面に350万画素、背面に500万画素のセンサーを採用するカメラ部は、静止画撮影用としては特筆すべきものはないが、巧みな信号処理と組み合わせることで、暗い部屋でも被写体を明るく見せることができるなど、映像処理部分で工夫が施されている。

tm_1311sufrace2_02.jpgtm_1311sufrace2_03.jpg Surface 2の外観。ボディカラーがシルバーになり、裏面にWindowsロゴではなく、Surfaceロゴが入るようになった(写真=左)。少し低い位置に置いても使いやすいよう、キックスタンドはより画面を寝かせた角度でも固定できる(写真=右)

 また、インテルの第4世代Core(開発コード名:Haswell)を搭載するSurface Pro 2、Surface 2ともに、200GバイトぶんのSkyDriveを2年間利用できる権利と、海外を含む固定電話回線への電話が1年間無料になるSkypeのサービスプラン加入権が添付されている点も見逃せない。

 microSDXCスロットを持つことや、SkyDriveの統合がWindows 8.1になって大きく進んだことを考えれば、32Gバイト版でも深刻なストレージ不足は感じずに済むと思う。

 Surface 2をモバイル利用時だけのタブレットとして考えるなら、普段はPCで仕事をしておき、保存先をSkyDriveにしておけば、サッとSurface 2を持ち出して出先で簡単に「続き」を始められる。Windows RTにはOffice 2013(Outlookも今回から含まれるようになった)も初期導入されているので、大抵の文書処理はコレ1つで対応できる。

 マイクロソフトはSurfaceにおいて、PCとタブレットの融合を試みようとしている。メインで使うノートPCとして十分なパフォーマンスを備えた、PC寄りのコンセプトで作られたのがSurface Pro 2だが、Surface 2はよりタブレットに近く、タブレットにPC的な作業で必要不可欠な機能を付加した製品と見ることもできるだろう。

 そうした意味では、Surface 2のほうが本来の目的(タブレットの要素を取り込み、新しいコンピューティングスタイルを確立する)に沿った製品ではないかと感じた。

tm_1311sufrace2_04.jpg Surface 2は既存のWindowsデスクトップ用(x86/x64)アプリは使えないが、新たにOutlook RTが加わったOffice Home & Business 2013 RTを標準装備している

 いずれにしろ、Surface 2とSurface Pro 2は異質の製品である。Surface 2は、iPadやAndroidタブレットでは、PCの代わりとして使い勝手や機能の面で少し違うなと思っていた人が、OfficeやWindowsが標準で備える機能をタブレットでも利用したいときに選ぶ製品だ。

 もちろん、それならばWindows RTではなく、インテル版のWindows 8.1のほうがベターではないか? となるが、そこはさすがにARMプロセッサ。前述のようなスリムなボディにもかかわらず、最大10時間のバッテリー駆動時間を実現している。処理内容やバックライトの明るさに依存するが、まず1日中、充電なしで必要なときに必要な機能を提供してくれるだけのバッテリー性能はある。

 その一方、パフォーマンスは大幅に上がった。NVIDIA Tegra 4は高速なCortex-A15コアを4個内蔵するパワフルなプロセッサだが、マイクロソフトは従来比で4〜6倍の性能と話している。これまではOfficeを動かしたり、IMEで日本語を入力したりといった場面でモタツキを感じることもあったが、Surface 2では待たされることはない。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.