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「ワークステーションの仮想化」を推進するDellデスクからデータセンターへ(1/2 ページ)

» 2014年03月13日 18時00分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

世界中の制作/設計現場で活躍するDellのワークステーション

 米Dellは現地時間の3月8日〜9日、ワークステーション事業に特化した報道陣向けイベント「Dell Precision Media Day」を開催した。

 今回のイベントは、初日をテキサス州ラウンドロックに構えるDell本社で、2日目をラウンドロック隣の都市であり、SXSW 2014(音楽と映画の祭典)が開催されるオースティンのダウンタウンにある特設コテージで行った。

 Dellがラウンドロックの本社に報道陣を集めることは異例であり、普段は部外者が立ち入れないデザインラボなどの施設の見学も許された。そのことだけをとっても、Dellの同事業にかける強い意気込みが感じられる。

テキサス州ラウンドロックにあるDell本社。街全体にDellの施設が建ち並んでいる

 このイベントでは、Dellのワークステーションが、映画やテレビの制作現場、建築、自動車デザイン、大学の研究施設など、規模の大小問わず世界中で活用されていること、そしてDellがいかに同事業に注力しているか、そのソリューションはいかにアドバンテージがあるか、といったことが紹介された。

ワークステーションはデスクからデータセンターへ

 イベントの中核となる大きなキーワードが、「ワークステーションの仮想化」だ。サーバやデスクトップに続いて、ワークステーションの分野でも仮想化のメガトレンドがやってきていることに繰り返し言及するとともに、Dellの同分野における優位性をアピールした。

 ここでいうワークステーションの仮想化とは、データセンターにハードウェア/ソフトウェアのリソース、アプリケーションデータを集約してシンクライアントやモバイルデバイスからリモートアクセスで利用する機能を持たせたスタイルを指している。

 Dellのワークステーション事業部門を率いるアンディ・ローズ(Andy Rhodes)氏は「デスクからデータセンターへ」といった言葉でそのトレンドを表現しつつ、ワークステーション仮想化のメリットとして、セキュリティ、コラボレーション、マルチデバイスに加えて、副次的なメリットとして管理の容易さを挙げた。

 データセンター上の仮想ワークステーションで作業を行う仮想化環境では、クライアントデバイスの盗難や紛失、故障などにおけるダメージが極めて少ない。データ漏えいなどのセキュリティ管理もデータセンターに一元化できる。そのため、入退室管理、耐震性、耐火性、非常電源確保などの災害対策といった、クライアントデバイスの設置場所それぞれに行うのは非現実的といえるような厳重な管理も可能だ。

 データセンターへの一元化は、遠隔地との共同作業も容易にする。ローズ氏は1つのプロジェクトに参加する人数が増えているという状況を紹介し、仮想化のメリットを強調。Dellのタワー型ワークステーションにハンドルが付いている理由として、上司への報告やプレゼンテーションのためにワークステーション自体を運搬する機会が多いという声を受けて取り付けたものだと前置きし、「こうした働き方はもう古い。仮想化を導入すれば、ケースバイケースでデバイスを使い分けることができ、ラップトップからデータセンターにアクセスしてプレゼンをすることもできる」と力説した。

 仮想化には、ハードウェアリソースの効率利用という側面もある。非仮想化環境では、ピーク性能の要求に合わせたハイパフォーマンスなワークステーションをエンジニアの人数分だけ配置する必要がある。しかし、全台数同時にピークの負荷をかけて作業が行われることは非常に少ない。対して、データセンターに仮想マシンを構築する仮想化環境では、必要リソース、エンジニアの増減にも柔軟に対応することが可能だ。

イベントのオープニングに登壇したジェフ・クラーク(Jeffrey W. Clarke)氏は、オペレーション部門副会長 兼 クライアントソリューションズ部門統括責任者であり、17年前の1997年、マイケル・デル氏とともにワークステーション事業の開始を決定した人物だ(写真=左)。本イベントのメインスピーカーを務めたアンディ・ローズ(Andy Rhodes)氏は、Precisionワークステーション担当のエグゼクティブディレクター(写真=右)。7カ月前にエンタープライズ事業部門からワークステーション事業部門のトップへと就任。ワークステーション仮想化のメリット、仮想化におけるDellの優位性などをアピールした。「ミスター仮想化」とも呼ぶべき人物だろう
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