高容量SSDの価格破壊を呼ぶか――「MX100」徹底レビュー256/512Gバイトモデルを比較(1/3 ページ)

» 2014年07月03日 12時37分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]
ココが「○」
・512GバイトSSDが2万円台半ば
・実測500Mバイト/秒を超える十分な性能
ココが「×」
・下位モデルはライト速度が遅い点に注意

「M550」に迫るパフォーマンスを低価格で実現

Crucial「MX100」

 マイクロンジャパンから登場したSSD「Crucial MX100」は、コストパフォーマンス重視のモデルだ。128Gバイト/256Gバイト/512Gバイトをラインアップし、実売価格は順に9000円前後、13000円前後、25000円前後とかなりの戦略的な値付けになっている。今回、MX100の256Gバイトモデルと、512Gバイトモデルを入手したので、早速ベンチマークしていこう。

 現在CrucialがラインアップしているSSDをまとめておくと、ハイエンドには先に発売された「Crucial M550」が位置し、一方で2013年に発売された「M500」がコストパフォーマンス重視モデルを担う。ここに追加されたMX100は、M500の後継モデルにあたる。ただし、パフォーマンスという点ではM500よりも引き上げられている。

 まず外観から見ていくと、フォームファクタは2.5インチサイズで、厚みは7ミリながらスペーサーが付属するため9.5ミリ厚のスペースにも装着できる。インタフェースはSerial ATA 3.0(6Gbps)。なお、現在のところM.2やmSATA接続のモデルは用意されていない様子だ。製品表面のシールデザインは、色味的にはM500に似ているが、製品のネーム部分がM550やM500と比べやや下に移り、ネームロゴもデザインが変わっている。新たなポジショニングの製品ということだろうか。

M500の後継モデルで低コスト、高パフォーマンスを追求したMX100(写真=左)。製品には7ミリ→9.5ミリ厚変換用のプレートが付属。両面テープで接着する。3.5インチドライブ用マウンタは付属しない(写真=右)

 続いて、内部コンポーネントのカタログスペックを確認しておこう。コントローラはMarvell「88SS9189」を採用しており、この点はM550と同様だ。NANDフラッシュメモリに関しては、すべてMicro製のMLCチップながら128Gバイトモデルのみ20ナノメートルプロセス品、256Gバイトモデルと512Gバイトモデルは16ナノメートルプロセス品を採用している。128Gバイトモデルに関してはM550と同じコントローラに同じプロセス世代のNANDフラッシュメモリの組み合わせだ。

 一方で256Gバイト/512Gバイトモデルに関しては1つプロセスが進んでいる。NANDフラッシュメモリでは、プロセスが進むごとに書き込み回数の上限が下がる傾向にあり、耐久性という点では少々不安になるところ。しかし、スペック上は全モデル150万時間、総書き込みバイト数は72Tバイト(1日40Gバイト×5年間に相当する)とあり、そこまでシビアに考える必要はないかもしれない。もし気にされる方は上位のM550を、コスト重視ならMX100をといった選択になるだろう。

コントローラにはMarvellの「88SS9189」を採用

 それでは実際の内部構造を見ていこう。当たり前だが256Gバイトモデルも512Gバイトモデルも共通の基板であり、レイアウト自体は同じだ。ただし、NANDフラッシュメモリチップの枚数もどちらも同じだった。つまり、それぞれチップ1枚あたりの容量が異なることを示している。

 刻印を確認すると、256GバイトモデルはFPGAコードが「NW645」、512Gバイトモデルは「NW656」となっていた。同社のパートナンバーで検索すると、「MT29F128G08CBCCBH6-10:C」と「MT29F256G08CECCBH6-10:C」になる。MT29Fに続く番号を見ると、128と256になっており、それぞれ128Gbit、256Gbitチップということになるだろう。

 また、キャッシュ用チップはどちらもFPGAコードが「D9RLT」だった。いちおうFPGAコードより前の部分は異なるナンバーだが、ここは通常製造年月日やリビジョンを示すはずなので、同じチップと思われる。D9RLTのパートナンバーは「MT42L256M16D1GU-18」で、これ自体はM550の512Gバイトモデルと同じだ。

基板の表(写真=左)と裏(写真=右)。左が256Gバイトモデル、右が512Gバイトモデル。パッと見は同じ

それぞれ搭載するNANDフラッシュメモリの刻印は異なる(写真=左)。キャッシュメモリはM550と同じ「D9RLT」の刻印(写真=右)

 ベンチマークテストを行う前に、カタログスペックの転送速度も確認しておこう。公称転送速度では、シーケンシャルリードが全モデル共通で550Mバイト/秒、同ライトは128Gバイトモデルから順に150Mバイト/秒、330Mバイト/秒、500Mバイト/秒となる。512Gバイトモデルに関して言えば、M550とまったく同じだが、256Gバイト/128Gバイトモデルに関してはそれぞれ200Mバイト/秒程度下回ることになる。

 IOPSも、128Gバイトモデルに関してはリードはやや下回る程度の8万0000IOPSだが、ライトは半分近い4万IOPSとなる。続く256Gバイトモデルでは、リードが8万5000IOPSに向上するもののM550の9万IOPSには届かず、ライトもM550の8万に対して7万に留まる。最後の512Gバイトモデルは、リードが9万5000IOPS、ライトが8万5000IOPSと健闘しており、こちらはリード側が5000IOPSほど届かなかった格好だ。

CrystalDiskInfoから見た2製品

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