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» 2014年07月28日 16時30分 UPDATE

「遅い使えない」は過去のこと:LTEモバイルルータ「AtermMR03LN」Bluetoothテザリングの効果を試す (1/3)

NECプラットフォームズの多機能LTEモバイルルータは、薄型軽量なのにバッテリー駆動時間も長い。それを実現するBluetoothテザリングの“有効度”を検証した。

[坪山博貴,ITmedia]

“+α”の価値となるBluetoothテザリング

 2014年1月に発売されたNECプラットフォームズの「AtermMR03LN」は、最大150MbpsのLTEに対応するモバイルルータだ。発売当初から話題と人気を集めた製品で、色々な意味で個性的な製品といえる。現在はドコモ発行のSIMのみが使えるが、国際ローミングに対応する。もちろんモバイルルータとしても高い携帯性や豊富な機能を備えている。なお、販売元のNECプラットフォームズはAtermシリーズで固定向けからモバイルルータまで人気製品を送り出してきたNECアクセステクニカとほかの3社が統合して2014年7月1日に発足した新会社だ。

kn_mr03ln_01.jpg 本体サイズは64(幅)×111(高さ)×11(厚さ)ミリ、重さは約105グラムと軽量薄型ながらBluetoothテザリングに対応して長時間バッテリー駆動を可能にした「AtermMR03LN」

 サイズは小型スマートフォン程度で厚みは11ミリ、重さは105グラムに抑えた薄型軽量のボディなので携帯性は非常に良好だ。2.4型のディスプレイはタッチパネルに対応しているので設定操作を本体だけで行える。これで無線LANルータとしてのバッテリー動作時間は約12時間となっている。

 LTEと3G(W-CDMA)に対応するモバイルルータで、LTEは最大150Mbpsの4バンド(クァッドバンド)、3Gは受信最大14Mbpsの2.1GHz帯と850MHz帯のデュアルバンドだが、850MHz帯に関しては国際ローミングも配慮して3バンドをサポートしている。また、WAN側に無線LANを利用することも可能で、一部の公衆無線LANには自動ログインもできる。

 LAN側は5GHzと2.4GHz帯をサポートし、スマートフォンやタブレットで普及の進む最大433MbpsのIEEE802.11acも利用できる。また、USBによる有線接続に加え、別売のクレードルで有線LAN接続も可能だ。有線LANアクセスポイントとしても使えるので、“ホテルルータ”的に使える。このように、LTE対応のモバイルルータとしては現状でほぼフルスペックといえる。

 その本機に“+α”の付加価値をもたらすのがLAN側にBluetoothを使う「Bluetoothテザリング」だ。Bluetooth接続というと、スマートフォンと組み合わせて使うヘッドセットやヘッドフォンが一般的だが、もともとBluetoothは組込み利用を想定しているので消費電力が小さい。

 一方で、インターネット接続などのデータ通信利用はあまり進んでいない。これは、初期のBluetoothにたいしてユーザーが持っていた「通信速度が非常に遅い」という誤解に加え、データ通信利用をサポートするデバイスが少なかったという事実が影響している。しかし、最近は事情が異なりつつあり、対応するするスマートフォンやタブレットが増えている。ここでは、MR03LNの+αの価値といえるBluetoothテザリングに注目したい。

バッテリー動作時間が2倍で複数デバイスからも利用可能

 ここで、「Bluetooth」の規格について確認しておこう。Bluetoothは、無線LANと同じ2.4GHz帯を使った無線通信で、2014年7月時点でVersion 4.0が最新仕様になる。Bluetoothが普及を始めたのはVersion 1.1b以降で、Verison 1.2では無線LANとの干渉回避機能を追加し、Verison 2.0ではより高速化した+EDR(+Enhanced Data Rate)を追加した。

 EDRでは非対称通信時での通信速度は理論最大値で3Mbpsまで高速化し、(あくまでオプション仕様だったが)PCの内蔵BluetoothやUSBなどはほとんどが対応した。以降、BluetoothはVerison 3.x、Version 4.xと主に省電力を中心に進化している。なお、Verison 3.xでは無線LANとの融合を図った通信速度最大24MbpsのHSモードを追加しているが、ほぼ無線LANに相当する消費電力ということもあって、ほとんど普及していない。

 MR03LNは、Bluetooth Verison 4.0 Calss 2を採用し、「PAN-NAP」プロファイルに対応する。「PAN」とは、“Personal Area Network”の略称で、主に個人が所有する最大8台のBluetooth機器だけで構成する小さなLANを可能にするプロファイルだ。そして、「NAP」とは“Network Access Point”の略称で、PANで繋がっているBluetooth機器がほかのネットワーク(一般にはインターネット)に接続する場合に、ゲートウェイの役目を果たす。

 PAN-NAPをサポートするMR03LNは、PANに接続したBluetooth機器をインターネットに接続できる。Bluetoothにおける通信速度は最大3Mbpsの+EDR対応で、通信距離はClass 2を満たす目安となる半径10メートル以内になる。

 MR03LNにBluetoothで接続してインターネット利用できる端末では、「PAN-U」プロファイルのサポートが必要だ。Bluetoothでサポートするプロファイルを細かく公開しているKDDIのスマートフォンで確認すると、2013年夏以降は、京セラと富士通製を除くすべてのスマートフォン、タブレットがPAN-Uをサポートしている。さらにLTE対応端末が登場した2012年秋冬モデルでも10端末中6端末が対応している。アップル製品でもiOS 4.3以降のWi-FiモデルはPAN-Uをサポートする。

 ここ1〜2年で購入したスマートフォンやタブレットならその多くのモデルでPAN-Uをサポートしているはずだ。また、Windows(ただしVista以降)に関しては、標準スタックがPAN-Uに対応しているので、Bluetoothテザリングを使ってインターネットに接続できる。

kn_mr03ln_02.jpgkn_mr03ln_03.jpg Bluetoothテザリングを利用する場合、最初の1度だけペアリングと呼ばれるBluetooth機器同士の認証が必要だ。MR03LNでは、「簡単無線LAN接続」からペアリング操作を開始できる。Bluetoothの場合このペアリングを実行しないと機器同士の通信が行えないので、暗号キーさえ分かれば接続できる無線LANよりもセキュリティは高い

kn_mr03ln_04.jpgkn_mr03ln_05.jpg 端末側からペアリングを指示すると、確認の画面を表示して、MR03LNと端末の両側で許可するとペアリングが完了する。以前は端末側で認証キーの入力が必要だったが、現在はより簡単になっている。Buetoothは難しい、というのは過去の話だ

kn_mr03ln_06.jpg ペアリングが済めば端末側から接続作業をするだけだ。無線LANと異なり自動接続はできないが、スマートフォンやタブレットなどでもBluetoothは消費電力が非常に小さいので、こまめに切断といった必要はほとんどない。Bluetooth機器が接続中はディスプレイのBluetoothアイコンの脇に接続台数を表示するので常時確認が可能だ。また、タッチパネル操作で接続状態なども確認できる

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