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» 2014年09月11日 16時52分 UPDATE

林信行がAppleイベントで感じたこと:「Apple Watch」はアップル新時代の象徴 (1/2)

米Appleがスペシャルイベントで発表したスマートウォッチ「Apple Watch」は、ファッションやコミュニケーション、ヘルスケア、そして日々のライフスタイルを大きく変えていく可能性を秘めている。林信行氏が現地リポート。

[林信行,ITmedia]

 米Appleが開催したスペシャルイベントの半ばまで、世界中の人が「iPhone 6」の発表に心を躍らせていた。だが、ふたを開けてみると、iPhone 6の発表はほんの序章に過ぎなかった。「Apple Watch」が発表されると会場からは興奮の大歓声とスタンディングオベーションがわき起こり、その後に登場した世界的スター、U2のライブパフォーマンスすらもかすませてしまった。イベントの詳細なリポートは追って掲載するとして、ここではまず簡単に印象だけを書く。

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史上最もパーソナルなデジタル機器

 前日までiPhone 6のウワサで持ち切りだった今回のAppleスペシャルイベントだが、終わってみると主役は完全にApple Watchだった。

 腕にはめたApple Watchで、LINEでいうところのスタンプのような動く絵文字を選んで簡単に送受信したり、画面に指で図形を描いて相手の画面に送ったり、Apple WatchはLINEやFacebook Messengerが広げたライトウェイ・コミュニケーションというトレンドを、肌身離さず持ち歩くことを前提にした、これまでで最もセクシーなデジタル機器というカタチでハードウェア化した側面がある。

 同製品が用意した多彩なコミュニケーション方法の中には、少しゾクっとする話し相手との心臓の鼓動の共有などという項目もあり、この製品の成功が我々の間にどんなコミュニケーションを広げるのか夢がふくらむ。

 製品発表の壇上でティム・クックCEOは、「Apple Watch」の機能を3つのポイントに集約して紹介した。1つは個性を表現する腕時計としての魅力、2つめはすでに述べたコミュニケーション機器としての側面、そして3つ目は健康維持やフィットネスのための機器としての側面だ。

 これまでiPhoneによって、年間1億5000万台近くも同じ形の製品をユーザーに提供していたアップルだが、Apple Watchでは1人1人の趣向に合わせ2つのサイズ、3つのコレクション(2色のステンレス、2色のアルミ、2色の18金)、6種類のアームバンド、そして無限に近い表情の盤面映像を組み合わせて、世界に1個しかない自分だけの時計を作り込むことができる。

og_applewatch_002.jpg Watch Editionは18Kゴールドを採用

og_applewatch_003.jpg スポーツタイプのWatch Sportは、酸化皮膜処理のアルミニウム外装に、強化Ion-Xガラスと耐久性の高いバンドを採用する

og_applewatch_004.jpg Watchはステンレススチールのケースにサファイアガラスの組み合わせだ

 おそらく、パーソナルエレクトロニクス商品市場においても、ここまで多様なバリエーションで個性を表現した製品は過去に類を見ないはずだ。しかも、そのどれもがエレガントで、眺めているだけでも楽しめる宝飾品のような美しさでユーザーを魅せるのは、さすが工業デザイン界のドリームチームを持つアップルだからこそできることだろう。

 今回のイベントには日本をはじめ世界各国のファッション界をリードするファッション系ジャーナリストが招待されていたが、彼らも実際に展示されていた製品の美しさには心をときめかせていたようだ(ちなみに自分の手を小さくきゃしゃに見せるためだろうか。日本の女性ファッションジャーナリストらの多くは小さな38ミリ幅の製品ではなく「ぜんぜん、大きくない」と言って42ミリ幅のものを気に入って、身につけた様子を写真に撮っていた)。

og_applewatch_005.jpg ファッションを強く意識した製品

未来を感じさせるライフスタイル提案

 Apple Watchの3つ目の側面、健康管理とフィットネスは、間もなくリリースされるiOS 8へのHealthKit機能搭載もあり、アップルが今後、最も力を入れていく領域の1つだ。

 これによって、日常生活の中での行動を記録して運動へのモチベーションを高めたり、かなりハードで本格的な運動も記録してくれ、ユーザーに無理をさせずに、少しずつ要求する運動のレベルを上げていけるようになっている。

 どこまでうまく指導してくれるかは実際に試さないと分からないが、最近のiPhoneなどが搭載するセンサーテクノロジーを考えると、かなり的確なアドバイスをくれるのでは、と期待してしまう。

og_applewatch_006.jpg アクティビティアプリでは日常の活動を記録

og_applewatch_007.jpg 本格的な運動にはワークアウトアプリが利用できる

og_applewatch_012.jpg 本体背面には2つの照明用LEDと、血流を見るための2つのセンサーカメラがついており、これで脈拍を検知している。同様の技術はadidasのウェアラブルデバイス「miCoach SMART RUN Watch」などが採用している

 発表まで「出る」「出ない」くらいしかウワサのなかったApple Watchが、ここまで多彩な機能を備え、完成した形で出てきたことには正直驚いている。新型iPhoneのウワサ話に熱中するあまり、ふと気づいたらいつの間にかタイムスリップして未来の世界に迷い込んでいたかのような印象すらある。

 特にそう感じたのは、アップルがすでにさまざまなパートナーと組んで、極めて未来的な生活シーンの開発を始めていたと聞いたときだ。

 例えば、同社は米ハネウェルと組んでいる。Apple Watchを使って、家の照明のオン/オフや明るさ調整をできるようにするためだ。夜、明かりを落とした暗い部屋で置き忘れたiPhoneを探すのに、いちいち壁のスイッチを手探りする必要はない。腕のApple Watchに手を伸ばすだけで照明がつくのだ。

 BMWともパートナーシップを結んだ。未来のBMWを広いパーキングに駐車した際、Apple Watchを使って簡単に自分の車まで道案内してもらうためだ。

 スターウッド系列のホテルとのパートナーシップでは、Apple Watchからホテルの予約ができるだけでなく、客室のドアロックの開閉もApple Watchからできてしまう。駐車場や家のリビング、ホテルの客室がこんなにも未来化されるのであれば、Apple Watchによって、日々の生活にさらに未来化していくだろう。

og_applewatch_008.jpg すでにパートナーとの協業が進み、Apple Watchを活用できる現実的な未来が描かれている

 上であげたパートナーは、アップルとも近しく、これまでApple Watchのウワサをもらさずにいてくれたが、もはや製品が公式に発表されたからには、これから2015年前半のApple Watch正式発売までの間には、さらに多くのパートナーと話しを進め、より広範なライフスタイルを未来化してくれることが期待で来そうだ。

 アップルはその流れを加速するためにWatchKitというApple Watch用のアプリを開発するキットもリリースしており、昨今のiOS系開発者の勢いを考えるとApple Watch向け開発もかなり盛り上がることが期待できそうだ(私の理解が正しければ、正確には操作用の画面表示だけで、アプリのロジックなどの本体はApple WatchとペアリングされたiPhone上に置かれる)。

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