幕張メッセで9月18日から始まった「東京ゲームショウ2014」に、デルのゲーミングPCブランド「ALIENWARE」が大々的にブースを出展している。目玉はデルが同日国内で発表し、Amazon.co.jpで先行予約販売を開始した超小型ゲーミングデスクトップPCの「ALIENWARE Alpha」だ。2014年11月21日に国内販売を正式に開始する。
ALIENWARE Alphaは、同社が「次世代コンソールゲーム機」と呼ぶ新機軸のゲーミングPC。中身は64ビット版Windows 8.1を搭載したx86アーキテクチャの超小型デスクトップPCだが、Windows上にゲームコントローラーだけで操作可能な独自UIを載せ、米Valveが運営するオンラインゲーム配信プラットフォームの「Steam」経由でさまざまなゲームを楽しめる点が最大の特徴だ。製品にはXbox 360のワイヤレスコントローラー(USBアダプタ経由で接続)が付属する。
この独自UIは「コンソールモード」と「デスクトップモード」に分かれており、前者を選べばゲームコントローラーのみでSteamが提供するゲームを楽しむことができ、後者を選べばキーボードとマウスで通常のWindowsデスクトップ操作が行える。後者ではSteam以外のゲームや、通常のWindowsアプリケーションをインストールして利用することも可能だ。いわば、Steam専用ゲーム機とWindows PCの2in1マシンとして扱える。
リビングのテレビにHDMIで接続してプレイすることを想定した容量2.2リットルの超小型ボディを採用することも、コンソールゲーム機としての利用を意識した仕様だ。本体サイズは200(幅)×200(奥行き)×55(高さ)ミリ、重量は約2キロと、ゲーミングデスクトップPCとしては非常に小さなボディに、第4世代Coreや外部GPUを詰め込み、高性能も追求している。
製品ラインアップは基本スペックの異なる3モデルを用意した。「スタンダード」はCore i3-4130T(2.9GHz)、4Gバイトメモリ(DDR3L 1600MHz)、500GバイトHDD、「プレミアム」はCore i5-4590T(2.0GHz/最大3.0GHz)、8Gバイトメモリ(DDR3L 1600MHz/デュアルチャンネル)、1TバイトHDD、「プラチナ」はCore i7-4765T(2.0GHz/最大3.0GHz)、8Gバイトメモリ(DDR3L 1600MHz/デュアルチャンネル)、2TバイトHDDを搭載する。
外部GPUについては、MaxwellアーキテクチャのGeForce GTX 860Mをベースとして、デルとNVIDIAが共同開発でALIENWARE Alphaに最適化したカスタムビルドのチップを採用する。GPUの型番は変わらないが、通常のGeForce GTX 860Mより性能を高めているという。グラフィックスメモリは2GバイトのGDDR5を実装している。
通信機能はIEEE802.11acの無線LAN(スタンダードは1×1、上位2モデルは2×2 MIMO)、ギガビットLAN、Bluetoothを内蔵。USB 2.0×2(前面)、USB 3.0×2(背面)、HDMI 1.4a出力、HDMI入力、光デジタル音声出力を搭載するほか、ツールレスで底面パネルから接続できるUSB 2.0を内部に備えている。電源は130ワットのACアダプタを用いる仕様だ。
ゲームコンソールを意識した仕様ながら、他のALIENWAREシリーズ同様、内部パーツの拡張性とメンテナンス性にも配慮した。ドライバーで底面のネジ4本を外すと、カバーを開けることができ、CPUとGPUを覆う2基の冷却ファンをレバー操作で取り外せる。冷却ファンを外せば、CPU(ヒートシンクを装着)やメモリスロット(SO-DIMM×2)にアクセス可能だ。底面のカバーをレバー操作で分離すれば、HDDベイが現れる。
こうしてカバーを開けてもメーカー保証は受けられるという(もちろん、ユーザー自身でアップグレードしたPCパーツに関しては保証対象外)。
ブース内にはALIENWARE Alphaが20台置かれていた。Steamが提供するメジャータイトルからインディーズまで、来場者はさまざまなゲームをプレイできる。
Steamは「Counter-Strike」や「Half-Life」を開発した米Valveが運営するゲーム配信プラットフォームなので、日本語化されていない海外ゲームも多いが、ブースでは「ULTRA STREET FIGHTER IV」や「ストライダー飛竜」、「DARK SOULS II」といった日本メーカーによるメジャータイトルの試遊台も用意している。
ブース中央に設けられたステージには、米DellでALIENWAREのプロダクトマネージャーを務めるマーク・ダイアナ氏が登壇し、ALIENWARE Alphaの特徴を紹介。パフォーマンスについては、Core i3搭載のスタンダードモデルでも、最近のグラフィックス処理が重いゲームを快適に遊べるだけのフレームレートが確保できることをアピールした。
また、同氏はプレイステーション 4(PS4)やXbox Oneといった最新のコンソールゲーム機と比較して、容積が2.2リットルと圧倒的に小さいこと(PS4は4.8リットル、Xbox Oneは7.4リットル)、対応ゲーム数が3200本以上と多いこと(PS4は111本、Xbox Oneは59本)をメリットとして挙げた。
さらに、1080pのゲームプレイをネイティブサポートすること、4K動画を出力できること、パーツ交換による性能強化が可能なこと、ゲームの平均単価が低いこと、オープンなソフトウェアプラットフォームを採用することなどをALIENWARE Alphaの優位点として掲げている。
価格(税別)は、スタンダードモデルが5万9800円、プレミアムモデルが7万5800円、プラチナモデルが8万9800円だ。Windows PCベースの設計なので、家庭向けゲーム機としては割高に思えるが、ハイスペックな超小型リビングPCにゲーム特化機能が付いたハイブリッドマシンと捉えるならば、コストパフォーマンスが高いとみなすこともできるだろう。
ゲーミングPCの壁を越え、リビングの家庭向けゲーム機へと侵略を始めたALIENWARE。日本でSteamプラットフォームのゲームマシンがどれだけ受けるかは未知数だが、新しいゲームコンソールの1つの可能性として注目したい製品だ。
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