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» 2014年10月01日 20時30分 UPDATE

本田雅一のクロスオーバーデジタル:Windows 10に与えられた「2つの役割」を読み解く (1/2)

“9”をスキップし、いきなり“10”となる次期Windows。今回明らかにされたWindows 10の最新情報から読み取れる「2つの役割」について考察する。

[本田雅一,ITmedia]

 いよいよ「Threshold(しきい値の意味)」の開発コード名が与えられていた次世代Windowsが発表された。名称は大方の予想を裏切って「Windows 10」。リリースは来年の予定だ。

 開発コード名に合わせたのか(?)、切りのよい数字まで上げているが、ユーザーの評判が悪かったWindows 8から距離を置きたかったのかもしれない。

 さて、このWindows 10。間もなく開発者向けのTechnical Previrew版が公開され、年明け早々に一般コンシューマーが利用できる品質まで開発が進められたPublic Preview版が公開される予定だ。細かなユーザーインタフェース(UI)の振る舞いや整合性は、このときに評価可能になるだろう。

 今後はより深いレベルの情報、あるいはホワイトペーパーなどのまとめも公開されることが期待されるが、現時点では発表会の情報を元に書き進めていきたい。

tm_1419win10_01.jpg 次期Windows OSの名称は、大方の予想を裏切る「Windows 10」。写真は米サンフランシスコで開催された発表イベントで、記者の質問に答えるテリー・マイヤソン氏(左)とジョー・ベルフィオレ氏(右)のWindows開発チームトップ

Windows 8は2つのUIをどう共存させたか、そしてWindows 10は……

 発表会での情報を見る限り、大きく分けて2つの役割がWindows 10に与えられていると読み取れた。1つはUIの改善、もう1つはWindowsブランドの位置付けを(より幅広い適応分野に)変えていく試みのきっかけとしての役割だ。

 UIに関して、Windows 8で採用された全画面を用いる「Windowsストアアプリ」を捨てたという意見も目にしたが、実際にはより幅広い機器に対応出来るよう、ストアアプリとデスクトップアプリのUIをなじませる、より現実的なUIへ昇華させたという印象だ。

 Windows 8ではタブレット向けに全画面アプリを、既存のデスクトップ向けには従来通りのウィンドウ表示可能なアプリを採用し、その2つをスタート画面でブリッジするようなUIとなっていた。

 Windowsをタブレットでも使えるOSにするためには致し方ない部分もあったが、2つの異なる環境を共存させている違和感を感じていたユーザーも少なくないだろう。加えて、デスクトップ型アプリを「過去のもの」のように位置付け、開発者やユーザーを強く新しい環境へと向かわせる強引さもあった。

 Windows 8.1は、そうした強引な手法に反発するユーザーへの答えとして、デスクトップ環境とタッチパネル操作のストアアプリ環境の融合を目指した。さらにWindows 8.1 Updateでは、デスクトップ画面中心の使い方をしている人でも、さほど違和感なくWindows 8.xの世界に入って行ける環境を整えた。

 このWindows 8.1 Updateを紹介した際に、チラ見せされていたのがWindows 10のベースとなるデスクトップである。Windows 8.1 Updateは、Windows 10の新しいUIへの移行に向けた「途中報告」といった趣のリリースだった。

 ストアアプリをデスクトップアプリに近い操作性で扱えるようにしたり、表示サイズに柔軟性を持たせるといった考え方は、すでに現時点でも導入されている。また、そのコンピュータがタブレットなのか、それとも従来スタイルのPCとして使いたいコンピュータなのかをあらかじめ設定(あるいは判別)して、起動直後の画面を変えたり、マウスで使うのか、タッチ操作で使うのかによって振る舞いが変化する、といった二面性を違和感なく1つにしている。

tm_1408win81up2_09.jpg 2014年4月に開催された「Build 2014」の基調講演で披露された開発中の新デスクトップ画面。Windowsストアアプリのウィンドウ表示や、ライブタイルを含む新スタートメニューなど、Windows 10の新機能として採用されたものも見られる

 MicrosoftはWindows 10に盛り込まれる新要素を「表面を軽くなでる程度」にしか紹介していないため、細かくは言及していないが、同様の仕組みを用いてデスクトップ画面操作とタブレット端末的操作の両方をサポートし、インストールするコンピュータによって切り替えているものと思われる。

 すなわち、タブレット型のコンピュータでは、スタート画面によるUIも残ると考えられ、コントロールパネルの設定でカスタマイズもできるはずだ(そうでなければ、8型Windowsタブレットなどでは困ることになる)。これは実際にインストールした際に確認することにしたい。

Windows 8.1 Updateの延長線上にある進化点

 発表の場で紹介された主なUIの変更点は、以前からうわさされていたものが中心だが、新要素も加わっている。まずWindows 8.1 Updateの延長線上にあるのが、(Windows 8.1 Update発表時に予告されていた)ストアアプリのウィンドウ内起動と、ライブアップデート機能付きのスタートメニューだ。

 Windows 8発表当時のストアアプリは、もともと全画面16:9のスクリーンをデフォルトとして、4:3と4:9(スナップ時サイズ)の2つのレイアウトに対応する仕様だった。この画面設計に対して、より柔軟性の高いレイアウトが可能となり、現在のようにストアアプリをスナップした際の境目を自由に設定可能となっている。

 Windows 10ではこのステップを踏んだうえで、ウィンドウ表示対応にも踏み切った。細かな振る舞いについてはTechnical Preview版で確認したいと思うが、デスクトップPCや大画面ノートPCでストアアプリを使う際の不満は、これで大きく緩和されるだろう。

tm_1410_win10_2_01.jpg Windows 10テクニカルプレビュー(Build 9841)。デスクトップでWindowsストアアプリのウィンドウ表示に対応した

 次に大きく変わった点として、デスクトップ画面での操作時にスタートメニューが復活したこと。これも予告された通り、スタートメニューが担ってきた各種機能への近道やプログラムの呼び出し機能(いわば目的とする機能、アプリへのショートカット)に加え、ライブタイルを採用することで「情報へのショートカット」機能も持たせたわけだ。

 日本ではWindows Phoneの最新版が流通していないため、あまりなじみがないが、Windows Phoneではリリースを追うごとにライブタイルが使いやすくなり、またそれを利用するアプリの実装もこなれてきたことで、実際にアプリを起動しなくてもタイル画面を見るだけで必要な情報を一覧できる。

 スマートフォンの大画面化、高解像化に伴って、Windows Phoneにおけるライブタイルの役割は増してきた。そのノウハウ、使い方をPC向けWindowsにフィードバックしたのが、新しいスタートメニューと言えるだろう。

tm_1410_win10_04.jpg スタートメニューが復活したことに加えて、メニュー内にライブタイルも配置可能になる
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