国内ユーザーにもう1つの選択肢を――Windows Phone「MADOSMA」にかける想い3万円で6月18日出荷(2/2 ページ)

» 2015年06月04日 10時00分 公開
[後藤治ITmedia]
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基板はゼロから設計した国内仕様

―― マウスコンピューターのPCは、豊富なBTOメニューとコストパフォーマンスの絶妙なバランスが持ち味だと思っています。ハードが限定されるスマホではそういった“マウスらしさ”を出すのが難しいのでは?

平井 先ほども申し上げましたが、現時点では日本にないWindows Phoneという選択肢を用意したいという思いが原点にあります。スマホビジネス単体で独自性を打ち出して採算性を上げていくのが目的ではなく、PCとの親和性が高いデバイスを用意することで、最終的にはPCへつながる流れを作るのが目的です。

 今回の製品投入に対して、「マイクロソフトがLumiaを国内展開したらどうするのですか」と言われることが多いのですが、もしそうなったらありがとうございますと答えると思います。Windows Phoneが選べるということこそが重要だと考えているのは、あくまでPCメーカーだからです。

―― Snapdragon 410 MSM8916を採用する5型のMADOSMA Q501は、スペックから見るとエントリーからミドルレンジの、悪く言えば取り立てて特徴のないモデルです。メーカーの独自性はどこにあるのでしょうか。例えば、マウスコンピューターがいち早く投入したスティック型PCのように、ほぼ同じスペックのモデルが他社から乱立するといった事態は考えられませんか?

平井 まず、ミドルレンジクラスのモデルを投入したのは、今後日本で手に入るWindows Phoneがこれしかない場合を想定したからです。性能が低すぎて機能を十分に使えない、あるいはハイエンドで手が届きづらい価格になってしまうということがないように良くも悪くも真ん中のスペックを選んでいます。

プロセッサにSnapdragon 410 MSM8916を採用。中国のパートナー企業に依頼してゼロから設計したものだという

 また、似たようなモデルが乱立するのではないかという指摘ですが、スティック型PCのようなことはないと思います。なぜなら開発パートナーである中国の企業には、Androidのモデルはありましたが、Windows Phone版はこちらから設計を依頼して作ってもらったものだからです。中身はゼロから開発しています。

 すでにヨーロッパ向けのバンドに対応した基板もありますが、実はこれができたのは日本向けモデルの後です。そもそも、パートナーにこの計画を持ちかけた当初、相手はWindows Phoneを出すということに懐疑的な反応でした。Windows Phone 8.1でライセンスやハードウェア要件の緩和がありましたが、そのうえでWindows Phoneを本当にやるべきなのか、パートナー側からすれば納得しづらい部分があったのだと思います。

 開発費は払います、これだけの数をコミットしますと言っても「ノー」という返事が続き……当時は片道切符で中国に渡って、「イエス」と言われるまで戻ってこない覚悟でした。3月に行われたMobile World Congress 2015では、ほかのリージョンでWindows Phoneに参入するメーカーがいないかパートナーと一緒に売り込みまでやっていたくらいです(笑)。

「帰国の予定が見えない海外出張は初めてでしたね」と笑う平井氏

 MADOSMAがバンド19に対応しているのは、もともとが日本向けということで開発したモデルだったからです。また、ベースの筐体はハードウェアのWindowsボタンがありませんでした。もちろん、液晶画面の中にボタンを表示することで要件としては満たすのですが、5型サイズの画面を考えるとボタンが必要だと、新たに作った部分です。ちなみにロゴの透過率も明るくしたりと作り込みをしています。

Androidモデルにはなかったハードウェアボタンを用意し、さらにより見やすいように透過率を上げてロゴをより光るように改良した

写真では分かりづらいが実は液晶面に保護シートが貼られた状態で出荷される。「最初から貼ってあったほうが楽じゃないですか? 私これ貼るの苦手なんですよね……」(平井氏)という理由らしい

法人向けにはブラックのカラーリングを用意。背面ロゴのライムグリーンが映える。ちなみにMADOSMAロゴの色をライムグリーンにしたのは、「マウスコンピューターのイメージカラーであるイエローと、法人向けブランド「Mouse Pro」のブルーを混ぜた色」とのことだ

―― 販売形態と販路について教えてください。

平井 直販、量販の両方で、おかげさまで多くの家電量販店様からお声がけ頂いております。SIMフリー端末ですのでSIMカードとのバンドルは基本的に各量販店におまかせし、直販でもSIMとのバンドルモデルを用意します。ドコモ回線を想定しています。

ファブレットも検討中

―― 今回、国内最速かつ高コスパのWindows Phoneとしてミドルレンジモデルを投入しました。ハイエンドモデルの開発は?

平井 まず真ん中から立ち上げましたが、法人向けのより低価格なモデルと、ハイエンドモデルの両方を検討し、いくつかのターゲットスペックを洗い出している段階です。

 ただ、チップメーカーのロードマップやLumia投入の有無なども含めて考えなければならないとも思っています。また、先ほども申し上げましたが、スマホ単体で収益を上げようというビジネスは考えていませんし、実際のところ、儲かっていません(笑)。ですので、現行のMADOSMAを継続して販売し、きちんとWindows 10をサポートしたあとの話になるでしょう。マウスコンピューターのスマホは「MADOSMA」シリーズになる、といえば答えになるでしょうか。

―― 今後スマホではなく、Windows Mobile 10を使った6〜7型くらいのファブレットは検討していますか?

平井 1つ上のSKUを用意するなら、ファブレットクラスになると思います。それが6型なのか7型なのかは分かりませんが、8型とスマホを埋めるサイズは十分検討に値すると思います。

―― ありがとうございました。

マウスコンピューター/G-Tune

マウスコンピューター/G-Tune

→PC USER特設ページ「mouse computer station」
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