まずはCINEBENCH R15のレンダリングテストの結果を見ていこう。このテストはほぼCPUコア以外の要素に左右されないため、CPU性能の目安として適している。
「CPU」テストは、マルチスレッドでCPU全コア/全スレッドに負荷をかけてレンダリングするため、放熱設計が甘く、性能を発揮できないなどの推測にも役立つ。「CPU(シングルコア)」は、シングルスレッドのみでレンダリングしたスコアだ。こちらは、マルチスレッドに対応してない古いアプリケーションを実行する場合など、シングルスレッド性能のある程度の目安になる。
テスト結果はやはりSerial ATA SSD搭載のブラックモデルとほぼ同じだった。先代機と比較した場合、スコアは微増といったところだ。
なお、旧バージョンであるCINEBENCH R11.5の結果は、過去製品や32ビットOS搭載製品との比較などの参考用に掲載している。こちらのスコアもCINEBENCH R15と同じ傾向だ。
評価機に搭載されたPCI Express SSDの型番をデバイスマネージャで確認すると「Samsung MZHPU512HCGL」とあった。Samsungの「XP941」というブランドのM.2型SSDで、シーケンシャル性能はリードが1170Mバイト/秒、ライトが950Mバイト/秒、ランダムアクセス性能はリードが12万2000IOPS、ライトが7万2000IOPSとされている。後継的な存在の「SM951」(VAIO Z/VAIO Z Canvasなどに搭載)が登場しているが、現在でも十分高速な部類に入るSSDだ。
PCI Express SSDはPCI Expressの世代(2.0か3.0か)とレーン数(x2かx4など)の違いで大きくポテンシャルが異なる。まだPCI Express 2.0 x2接続の製品も多い中、PCI Express 2.0 x4(20Gbps)対応のSSDをフルスペックで接続している点は1キロクラスのモバイルノートPCとしては強調できるポイントだろう。VAIO Z CanvasはPCI Express 3.0 x4対応SSDをフルスペックで接続しているとはいえ、これはあまりに特殊な例だ。
さて、SSDのパフォーマンスはCrystalDiskMark 4.0.3で測定した。シーケンシャルリード/ライト(Q32T1)では公称値を少し上回るスコアをマーク。リードで2.66倍、ライトで3.18倍もSerial ATAモデルより高速だった。PCI Express 2.0 x2(データ帯域約1Gバイト/秒)の限界を超えるスピードだ。ランダム4K(Q32T1)のスコアはランダムアクセスが頻発する限られた環境でしか差が出にくいが、こちらも圧倒している。
Serial ATA SSDモデルでも十分快適な操作感が得られるが、やはりPCI Express SSDモデルの素早さはワンランク、いやそれ以上に違う。まさに「爆速」と言えるレスポンスを体感できる。
PCMark 7とPCMark 8は、実際のアプリケーションを使ってPCの用途全般をシミュレートするベンチマークテストだ。総合的な性能の目安として実施している。
PCMark 7の処理内容は現在となってはライトな内容で、ストレージ性能の影響も大きく出る。そのため、Serial ATA SSDモデルに比べて、System Storage Scoreと総合スコアでは順当にスコアが向上した。なお、LightWeight ScoreとProductivity Scoreは、タッチパネル搭載機では一部項目で異常値が出て比較には適さないため、省いて見ていただきたい(総合スコアには影響しない)。
PCMark 8では、家庭向けの用途を一通りシミュレートするテスト「Home」のほか、クリエイティブアプリケーション中心のテスト「Creative」、ビジネスアプリケーション中心のテスト「Work」も行った。
最も差が開いたのは、やはり負荷が高い「Creative」だ。写真編集(Photo Editing v2)、グループビデオチャットのエンコード(Video Group Chat encoding v2)などで特にアドバンテージを確認できた。WorkではSerial ATAモデルよりも若干低いスコアが出てしまったが、このような用途では実質的な差がないのだろう。
そもそもシステム全体の性能をざっくりと比較する目的のテストだけに多少のスコアのバラつきは避けられず、本来は構成がほとんど同じようなシステムで細かい比較をするのに適したテストでもない。スコアで少なくとも100程度は差がなければ意味があるとは言い難いテストだ。同様に、Homeでのスコア差もこの程度では、優位とみるより、ほぼ同じと判断したほうが賢明だろう。
PCMark 8 2.4.304のスコア詳細 | |||
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製品名 | VAIO Pro 13 | mk2 (VJP1321/PCIe SSD) | VAIO Pro 13 | mk2 (VJP1321/SATA SSD) | VAIO Pro 13 (VJP1311) |
Home Accelerated 3.0 | |||
Home Accelerated 3.0 Score | 2938 | 2892 | 2510 |
Web Browsing - JunglePin(s) | 0.352 | 0.339 | 0.336 |
Web Browsing - Amazonia(s) | 0.147 | 0.14 | 0.14 |
Writing(s) | 4.21 | 5.14 | 4.21 |
Photo Editing v2(s) | 0.324 | 0.281 | 0.793 |
Video Chat v2 / Video Chat Playback 1 v2(fps) | 30 | 30 | 29.3 |
Video Chat v2 / Video Chat encoding v2(ms) | 85 | 85.7 | 86 |
Casual Gaming(fps) | 25.6 | 22.7 | 22.5 |
Benchmark duration | 36分8秒 | 36分48秒 | 39分41秒 |
Creative Accelerated 3.0 | |||
Creative Accelerated 3.0 Score | 3553 | 3326 | 未計測 |
Web Browsing - JunglePin(s) | 0.353 | 0.39 | − |
Web Browsing - Amazonia(s) | 0.146 | 0.15 | − |
Video Group Chat v2 / Video Group Chat Playback 1 v2(fps) | 30 | 30 | − |
Video Group Chat v2 / Video Group Chat Playback 2 v2(fps) | 30 | 30 | − |
Video Group Chat v2 / Video Group Chat Playback 3 v2(fps) | 30 | 30 | − |
Video Group Chat v2 / Video Group Chat encoding v2(ms) | 89.7 | 113 | − |
Photo Editing v2(s) | 0.324 | 0.372 | − |
Batch Photo Editing v2(s) | 20 | 22 | − |
Video Editing part 1 v2(s) | 13.3 | 13.7 | − |
Video Editing part 2 v2(s) | 19 | 19.4 | − |
Mainstream Gaming part 1(fps) | 7 | 7.1 | − |
Mainstream Gaming part 2(fps) | 3.4 | 3.3 | − |
Video To Go part 1(s) | 8.1 | 8 | − |
Video To Go part 2(s) | 9.3 | 10.3 | − |
Music To Go(s) | 18.06 | 18.22 | − |
Benchmark duration | 54分58秒 | 56分24秒 | − |
Work Accelerated 2.0 | |||
Work Accelerated 2.0 Score | 3996 | 4063 | 未計測 |
Web Browsing - JunglePin(s) | 0.352 | 0.334 | − |
Web Browsing - Amazonia(s) | 0.147 | 0.14 | − |
Writing(s) | 4.19 | 4.29 | − |
Spreadsheet (s) | 3.51 | 3.51 | − |
Video Chat v2 / Video Chat Playback 1 v2(fps) | 30 | 30 | − |
Video Chat v2 / Video Chat encoding v2(ms) | 85 | 84 | − |
Benchmark duration | 28分23秒 | 28分22秒 | − |
3D描画性能のテストは、3DMarkで行なった。メインストリームPC(CPU内蔵GPUシステム)向けのテストは、Cloud GateとSky Diverで、前者がDirectX 10ベース、後者がDirectX 11ベースのテストだ。FireStrikeは描画負荷が高く、ゲーミングPC(グラフィックスカード搭載システム)向けのテストだ。
また、Ice Storm Unlimitedはスマートフォンやタブレットが対象だが、参考までに掲載している。DirectX 11レベル9(Windows)およびOpenGL ES 2.0ベース(Android/iOS)のテストで、CPU/GPUの個別テストも含まれる。
テスト結果は、Serial ATA SSD搭載モデルとほとんど同じといってよいだろう。Core i7-5500U(2.4GHz/最大3.0GHz)を搭載し、CPU統合グラフィックスのIntel HD Graphics 5500を用いるシステムとしては標準的なスコアだ。
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマークを実行した結果についても同様だ。DirectX 11ベースで快適にプレイするにはやや厳しいスコアなので、参考までに、前回よりも低負荷な条件でのスコアも追加した。
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