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» 2015年07月22日 16時27分 UPDATE

フラッグシップの実力を検証:まさにモンスター級の“全部入り”無線LANルータ「WXR-2533DHP」徹底レビュー (1/3)

見た目もすごいが中身もすごい。

[瓜生聖(撮影:矢野渉),ITmedia]

 バッファローのAirStationシリーズに加わった「WXR-2533DHP」――4本のアンテナを持つ巨大なボディと、サポートする無線LAN規格の豊富さ、そして最大1733Mbpsに達する高速通信は、まさしくパワフルなモンスターだ。今回はそんなWXR-2533DHPの実力を探ってみた。

og_wirelesslan_000.jpg バッファローのフラッグシップ無線LANルーター「AirStation WXR-2533DHP」。家庭用ゲーム機並の巨大なボディがただ者ではない風格を漂わせている

無線LAN規格の歴史

 WXR-2533DHPがサポートする無線LAN規格は最新の802.11acをはじめ、802.11a/b/g/nと、歴代の規格すべてに対応している。規格の数も多くなってきたので、いったんここで現時点で利用されている主要な規格をおさらいしておこう。

・802.11b(2.4GHz/11Mbps)

 1999年に規格化された。802.11無印に次ぐ第2世代と位置づけられ、2003年ころから広く利用されている。2.4GHz帯は電子レンジなどと干渉しやすい半面、壁や床の影響を受けにくい。

・802.11a(5GHz/54Mbps)

 5GHz帯を使用した第3世代規格。802.11bと同時期に規格化されているが、製品化は2002年ごろと、802.11bに比べて遅かった。5GHz帯は2.4GHzに比べ、電子レンジなど他機器の干渉を受けにくい。その半面、直進性が強く、遮へい物や距離による減衰が大きい。

・802.11g(2.4GHz/54Mbps)

 2003年に規格化。802.11bの後継に位置づけられる。2.4GHz帯を使用しながら802.11aと同等の速度を実現しており、広く普及した。

・802.11n(2.4GHz/5GHz/600Mbps)

 2.4GHz/5GHzの両方に対応した、最大600Mbpsの規格。2009年に規格化されたが、2006年から正式決定前のドラフト版に対応した製品が登場していた。MIMO(Multiple Input Multiple Output)をサポートし、第4世代に位置づけられる。規格上最大4ストリーム600Mbpsに対応するが、周波数帯、空間ストリーム数などに幅があるため、機器の仕様および組合せによって150Mbps〜600Mbpsと幅がある。

・802.11ac(5GHz/3.5Gps)

 2014年に規格化された第5世代。2012年よりドラフト規格対応製品が登場している。1ストリームあたり433Mbps、空間ストリーム数8で最大約3.5Gbpsに達する(ただし1端末に対しては最大空間ストリーム数4、1733Mbps)。ビームフォーミングに標準対応した。

 こうして見ると、MIMOに対応した802.11nでの上げ幅が大きい。MIMOはMultiple Input Multiple Output、つまり複数入力/複数出力をサポートしたプロトコルで、1対の親機・子機間の通信を複数のアンテナを使って行う機能だ。802.11nではストリームあたり150Mbpsなので、これを4本使用すれば600Mbpsに達する計算になる。

 この「ストリーム数を増やすことで高速化する」という手法は第5世代の802.11acでも引き継がれている。

og_wirelesslan_001.jpg 各規格の制定時期と規格上の通信速度をまとめた。802.11n以降のMIMOによる速度向上が大きいのが分かる

802.11acの特徴

 802.11acの特徴は干渉の少ない5GHz帯に限定することで使用する周波数幅を広げ、変調方式の多値化で1ストリームあたりの通信速度を向上した「基礎体力」の底上げと、マルチアンテナによる高速化技術にある。802.11acでのマルチアンテナによる高速化技術は次の4つだ。

・MIMO

 802.11acではアンテナ1本あたり433Mbps。それを1つの子機に対して複数使用することで最大4ストリーム、1733Mbpsまで高速化できる。親機であるWXR-2533DHPは4本のアンテナを持つため、実際に使用されるストリーム数は子機のアンテナ数に依存する。特に省スペースを求められるスマートフォンなどではアンテナが1対という場合も多い。

og_wirelesslan_002.jpg 業界最小を謳う無線LAN子機WI-U2-433DM。アンテナ1本のため、速度は433Mbps

og_wirelesslan_003.jpg WI-U2-433DMと比べるとかなり飛び出す部分が大きいWI-U3-866Dだが、アンテナ2本を装備しており、866Mbpsに対応する

・ビームフォーミング

 802.11nでもオプションで実装されていた機能。子機の位置をモニターし、その場所で信号が強くなるように複数のアンテナから信号を送信する。子機側でも対応が必要なため、現時点ではiPhone 6/6 plus、MacBook Air(2013年モデル)、Galaxy S4、AQUOS PHONE ZETAなど、対応機器はそれほど多くないものの、次第に増加してくるだろう。

・MU-MIMO

 ビームフォーミングを活用し、複数の子機に対して受信状態を個々に調整することで干渉を抑える技術。子機側のアンテナ数が少ない場合には親機側のアンテナが子機ごとに割り振られることになる。単一子機の高速化ではないが、子機の数が増えてもパフォーマンスが落ちないため、今後の子機数増加対策に有効だ。ただし、子機側にも対応が必要となる。

・ダイバーシティ

 ダイバーシティは複数のアンテナで通信を行い、その中で最も受信状況のよいものを使用する。寝転んで使ったり、スタンドに立てて使ったり、持ち歩いたりと、さまざまな向きや角度で利用されるスマートフォンやタブレットで、常に高いパフォーマンスを発揮する。

 このように、802.11acでは802.11n以上にマルチアンテナによる恩恵が大きく、親機を選択するときにはアンテナ数が非常に重要となる。そこで、WXR-2533DHPの登場というわけだ。

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