「Surface Book」はペン付き大画面タブレットの本命か――USモデル先行レビューiPad Proとの比較も(4/5 ページ)

» 2015年12月13日 06時00分 公開
[ドリキンITmedia]

やっぱり気になるSurface Proシリーズとの違い

 Surface BookとSurface Pro 4は直接的には競合しない製品ですが、読者の中ではどちらを買うべきか悩んでいる人も多いと思います。僕自身はSurface Pro 4は使ったことがなく、実体験としてはSurface Pro 3との比較にはなってしまいますが、幾つか気になっている違いについても触れておきます。

 Surface Proシリーズで1番偉大だなと思っているのは、タブレットを自立させるためのキックスタンドを背面に内蔵したことです。これは本当に10型以上のタブレットには必須で搭載してほしいと思えるほど役に立ちます。

 したがって、Surface Bookを(特に液晶ディスプレイ本体だけの)タブレットモードとして使っているときに、最も不満なのはキックスタンドがないことです。薄型軽量ボディとはいえ、13.5型というサイズのタブレットを常に手でホールドして使うのはかなり体力的に苦しいので、結局立てかけたいがために、キーボードを装着するみたいなことが多々ありました。

キックスタンドは非搭載 Surface Bookはキーボード装着時にクラムシェルノートPCになるよう設計されているため、液晶ディスプレイの背面にキックスタンドがありません

 ノートPCとして見れば、Surfaceのキックスタンド形式が、従来のクラムシェルノートPCと比べて使いにくいケースもあるのは事実ですが、タブレットのスタンドとしては本当に素晴しい機能なので、これはSurface Bookと比較してもSurface Proシリーズの大きな魅力になると思います。

 また、Surface Proシリーズと異なり、Surface BookはUSBなどのインタフェースとバッテリーの大部分がキーボード側にあるため、タブレット単体で使う場合は主要なインタフェースが利用できず、バッテリー駆動時間も短くなるのは前述した通りです。画面サイズはSurface Pro(Pro 4で12.3型)よりSurface Book(13.5型)のほうが大きいのですが、それ以外の制約を覚えておく必要があります。

 なお、Surface BookとSurface Pro 4のCore i7搭載モデルは異なるプロセッサを搭載しています。Surface BookはCore i7-6600U(2.6GHz/最大3.4GHz)でCPU内蔵GPUがIntel HD Graphics 520、Surface Pro 4はCore i7-6650U(2.2GHz/最大3.4GHz)でCPU内蔵GPUがIntel Iris Graphics 540です。つまり、dGPUが使えないタブレット単体では、Surface BookよりSurface Pro 4のCore i7モデルのほうが描画性能で勝ります。

 というわけで、Surface Bookはあくまでもタブレットにも変形することができるけど、メインはハイエンドノートPCであるというのが正しい姿なのかもしれません。

Surface BookのノートPCモード Surface BookはやはりハイエンドノートPCとして本領を発揮できる製品です

iPad Proとは直接のライバルではないが……

 iPad Proが直接的なライバルかというと、価格帯やハードウェアスペックを見ても大きく異なっており、比較すべきかは悩ましいところです。ただ、気になる方も少なくないと思いますし、避けては通れない気がするので、少し触れておきます。

 iPad Proは純粋なタブレットデバイスなので、本来はSurface Bookのようなハイスペックな2in1ノートPCと比較するデバイスではないのですが、大画面タブレットとして見たときには、その本体サイズや筆圧ペンの性能、プロフェッショナル用途を意識した製品という点で共通しています。

 ペン付きタブレットとしてSurface BookとiPad Proを比較した場合、本体サイズについては前述した通り同程度です。ただし、Surface Bookのほうが狭額縁で液晶ディスプレイの表示領域は広くなっています。

 注目は、Surface Bookには正面にハードウェアボタンがないことです。従来のSurfaceシリーズはWindowsボタンがあり、iPad Proでもホームボタンがありますが、Surface Bookの正面は純粋なタッチパネル液晶ディスプレイだけなので、ペン操作に集中しているとき、ボタンに触れてしまい誤動作することがありません。これは地味なようで手書き入力をする人にとっては、大きなメリットになります。

 ペンの操作感に関しては、Surface Book、iPad Proともに完成度が非常に高いので、かなり高次元での好みの差という気もします。個人的には、世代を重ねて進化してきたSurface Book+Surface Penの組み合わせのほうが、初物のiPad Pro+Apple Pencilより一日の長があるという印象でした。

 特にSurface Penの場合、単なるペンの性能だけでなく、ペン先の感覚や消しゴム機能など細かい点で以前からの改善が見られるので、ここはMicrosoftとAppleの経験値の差が出たように感じました。

Surface Book 世代を重ねて進化してきたSurface Book+Surface Penの組み合わせは、初物のiPad Pro+Apple Pencilより一日の長があるという印象です

 最後にプロフェッショナルツールとして考えたときにも過去のWindows資産が全て生かせて、Adobe Creative Cloudなど、現状でクリエイターのスタンダードとなっているツールがそのまま動くSurface Bookのほうが即戦力としての実力が高いなと思います。

 逆にiPad Proは、過去の制約に捕われない新しいクリエイティブツールが今後登場する可能性を秘めているので期待感は高いです。ただ、現状はまだアプリの対応に時間がかかるでしょう。

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