個人的に今回、一番感心したのはSurface Penの進化かもしれません。世間的には、iPad Proと同時に発表された「Apple Pencil」が注目の的だと思いますが、MicrosoftはSurface Penを数世代に渡って進化させてきているので、成熟度では有利だなというのが僕の印象です。分かりやすい点では筆圧検知レベルが従来の256段階か1024段階に向上し、より細かい筆圧の違いを検出できるようになりました。
また別売のペン先キット(10ドル)を購入することで、ペン先の硬さと太さを2H、H、HB、Bの4種類からカスタマイズすることができます。
僕がタブレットのペンを利用するときによく感じる違和感は、ペン先のプラスチックと液晶ディスプレイのガラス面のカツカツとした硬い当たり心地です。Surface Penの場合、この接地感が絶妙で、リアルなペンと紙の感覚とはまたちょっと違うのですが、優しい当たりと絶妙な摩擦(粘り?)に心地よさを感じました。
さらにペン先の反対側には消しゴムが配置され、リアルな鉛筆と同じような感覚で書いた線を消すことができます。この消しゴム側の感触も、絶妙に調整されていて心地よいです。
これはペン自体の性能の話ではないのですが、もう1つ画期的だなと思ったことはPixelSenseディスプレイのペン先から実際の液晶表示部分までの視差が少ないことです。
従来のタブレットでは、どうしてもタッチパネルのガラス部分と実際の液晶表示部分の隙間が広く、どれだけペンの性能がよくてもペン先の触れるガラス部分と、表示部分の視差に違和感を拭いきれませんでした。しかし、Surface BookとSurface Penの組み合わせでは、この視差が極小化されているので、紙に描いている感覚との違いを気になることはほとんどないと思います。
また従来のSurfaceシリーズではペンの収納が大きな問題だったのですが、今回からはマグネットで本体の側面に貼り付けることができます。このマグネットも適度な強さで貼り付くので、ちょっとした移動などで持ち運ぶには十分機能します。
iPad ProのApple Pencilが入手困難なため、非常に短い時間での比較しかできなかったので参考意見くらいで受け取っていただけるとよいのですが、個人的にはApple Pencilより新しいSurface Penの方が全体の完成度は高いなと思いました。
とはいえ、素人の僕があまりペンについて語っても説得力がないので、友人経由で@chebue_sさんに協力していただき、Surface Bookの手書き入力を試してもらったのでその絵を参考用に紹介させてください。@chebue_sさんがSurface Bookを初めて手にして、すぐに書いてもらった数枚のスケッチだけでも、Surface Penのポテンシャルの高さが垣間見られます。
ちなみに新しいSurface Penは、旧Surface Pro 3/3シリーズでも使うことができるので、興味ある人はペンだけでもアップグレードしてみる価値はあるかもしれません(その場合、筆圧レベルは256段階になります)。
僕がSurface Pro 3をタブレットとして使ったときに最も気になっていたのが発熱でした。特に僕の持っていたCore i7を搭載するハイエンド構成のSurface Pro 3は発熱問題が顕著で、常に本体が熱く、ファンも常に回転している状態で、正直Type Coverを外してタブレットとして利用する機会はどんどん減っていきました。
タブレットとして利用するといっても、ほとんどの場合、タッチ操作の不要な動画ビュワーとして利用するときにType Coverを外して、液晶ディスプレイを見るのに使うという感じに落ち着いていました。
この点においては、最新の第6世代Coreを採用したSurface Bookは、大幅に発熱問題を解決していました。今回レビューしているSurface Bookは、Core i7、16Gバイトメモリ、512GバイトSSDを備えたハイスペックモデルですが、普通に利用している限りは特に発熱もファンの騒音も気になることはなかったです。
またパフォーマンスについてもdGPUを搭載したキーボードを外して、タブレット単体で利用したとしても、通常の使用ではパフォーマンスに不満を覚えることはほとんどないと思います。最新Coreプロセッサの進化が省電力、内蔵GPUのパフォーマンス向上に注力していることを考えても、Surface Bookはその恩恵を最大限に活用して従来の問題を解決しているようです。
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