50万円を軽く超えるモンスター級ノート「NEXTGEAR-NOTE i71101」徹底検証デスクトップ版CPUとGTX 980M SLIを搭載(1/3 ページ)

» 2016年03月02日 21時00分 公開
ココが「○」
・デスクトップ向けCPUによる高性能
・ゲーマー注目のGeForce GTX 980M SLI
・M.2 SSD RAID 0による超高速データ転送
ココが「×」
・最上位構成では税込みで約60万円弱
・最上スペックすぎてBTOできる部分は少ない

 ゲーミングノートPCというジャンルは、本来、ノートブック型ボディにパーツを搭載することから、パフォーマンス面で制約がある。しかし、今回紹介するマウスコンピューターの「NEXTGEAR-NOTE i71101」は、その制約を打ち破ったモデルである。その最上位モデルで、デスクトップのゲーミングPCを凌駕(りょうが)するパフォーマンスを実際に体験したので紹介しよう。

G-Tuneブランドの最上位に加わった「NEXTGEAR-NOTE i71101」は、最新プラットフォームのデスクトップ版CPUに、モバイル向けのハイエンドGPU「GeForce GTX 980M」を2基搭載することにより、17.3型ノートPCで最上クラスのパフォーマンスを狙った製品だ

打倒!デスクトップ版ゲーミングPCを狙うゲーミングノートPC

 NEXTGEAR-NOTE i71101は、同社の数あるラインアップの中でもフラッグシップに位置付けられるシリーズだ。そして今回、最上級のハイエンドカスタムモデル「i71101PA1-SP」を評価機として入手した。

 ゲーミングPC、そして最上級とは言っても、PCについてよくご存じの方なら「でもデスクトップPCには敵わないでしょ」とお思いかもしれない。しかし、この製品はそうした過去の常識にはとらわれない。文字通り、その性能はゲーミングデスクトップPCに匹敵する。

 ノートブックPCは、限られたスペースのハウジングにPCのコンポーネントの全てを詰め込む。だから、例えノートブックPCとして見れば大型の17.3型液晶モデルであっても、デスクトップPCのそれとくらべると制約がある。1つは発熱、もう1つは拡張性だ。

 まず発熱というと、一般的なノートPCではいわゆるモバイル向けCPUやモバイル向けGPUが採用されていることからも分かるように、デスクトップPC向けとは別の(TDPで有利な)ラインアップが用意されている。

 デスクトップPCでは、TDPが60〜90ワット、あるいは100ワット級のCPUが存在するのに対し、モバイル向けはおよそ45ワットに抑えられている。ノートPCでは、スペースが限られるために冷却機構もデスクトップPCのように大型化できない。これはGPUでも同様だ。

 こうした発熱と性能のトレードオフ問題をNEXTGEAR-NOTE i71101はクリアした。本製品が搭載するのは、デスクトップPC向けのメインストリームCPUで、現時点での最新・最上位であるCore i7-6700Kだ。4コア/8スレッドの同時処理に対応し、4GHzを超える高クロックで動作する。TDPは91ワットだ。この点、CPUに関してはデスクトップPCのそれと同じなのだから、ノートPCのウィークポイントのうち1つは解消されたと言える。

デスクトップ向けCPUと強力な2基のGPUを冷却するために、3つのファンにヒートパイプが伸びた姿は、その見た目から圧倒的な性能を予感させる

 次は発熱と拡張性双方に関わるところでGPUを紹介しよう。本製品のGPUはGeForce GTX 980Mを2基、SLIで構成している。現在、NVIDIAはデスクトップ向けGeForce GTX 980の低電圧で動作する選別品をノートPC向けにも展開しているため、最上位のポジションは明け渡しているが、GeForce GTX 980Mも2基搭載されれば、デスクトップ向けのGeForce GTX 980×1基分は軽く超えるパフォーマンスが得られる。

 そして最後は拡張性。ノートPCではメモリやストレージにもスペース的な制約が生じるところだが、本製品ではメモリは4スロット、ストレージはPCI Express 3.0 x4接続対応のM.2×2基をRAID 0で運用し、さらにデータストレージとして2.5インチHDDも搭載している。

 こうしたスペックは、Intel Z170チップセットを採用する現行デスクトップPCの、それもゲーミングPCと呼べる仕様をカバーしていると言ってよい。そして、それが17.3型ベースのフォームファクターに収まっているわけだ。まさにモンスター級のノートPCである。

ゆとりあるボディに豊富なインタフェースを搭載

 本製品のボディは、17.3型液晶ディスプレイにあわせたゆとりのあるデザインだ。これだけのパフォーマンスを詰め込むために、本体サイズは428(幅)×308(奥行き)×45(高さ)mmと、ノートブックPCとして見ればかなりの大型になる。

 一方で、シャープなラインで構成されたデザインからは、数値から得るほど厚みを感じなくさせる努力がうかがえる。ゲーミングPCとして見れば、これだけのスペースで全てが収まるというのはポイントになるだろう。

 また、マットなブラック塗装はギュッと引き締まった印象を与える。トップカバーに設けられたエッジLEDイルミネーションも、デザイン上のアクセントになっている。

天面は立体的なデザインを施すとともにLEDイルミネーション機能を搭載。ユーザーからは普段見えない部分ではあるが、壁面に寄せて配置すればLEDの光が壁に反射し本体横からほのかに漏れ、ムードを高めてくれる

 液晶ディスプレイの解像度は3840×2160ピクセル。いわゆる4K液晶だ。パネル駆動方式もIPSで、視野角、発色ともに良好。パネルのコーティングはノングレアで、室内照明などの映り込みもほとんど気にならないゲーミング仕様だ。

3840×2160ピクセル表示に対応した17.3型IPS液晶ディスプレイを搭載する。IPSパネルを採用しており、視野角は広く、斜めから見ても色味の変化が少ない。ノングレアで映り込みが少ないのもPCゲーマーにはうれしい

 本体内部を見ていこう。実はこの製品の前身として、GeForce GTX 980MをSLIで搭載した「i71100」というモデルがあった。しかしこちらはモバイル向けCPUを採用しており、デスクトップ向けCPUを載せた今回のi71101とは内部のレイアウトが大きく異なる。

 驚いたのはファンはもちろんヒートパイプもヘッド部分もブラックに統一するこだわりだ。冷却システムは3基。ヒートパイプの取り回しを見ると、3基のファンは左から順にGPU、GPU、CPUに接続されている。

 CPUソケット部分には、ノートPCではあまり見ることがないリテンション用のレバーがあることに注目してほしい。それぞれのヒートパイプも、ノートのフォームファクターにあわせて厚みを抑えているが、かなりの太さのものが組み合わされている。これだけで、このモンスターノートPCの熱量と、冷却性能の高さがうかがえる。

底面のネジを外せばカバーを開けることができる。ヒートパイプまでもが黒く塗装されており、見た目も素晴らしい

 メモリスロットの右にはウーファ、その下にはバッテリーが搭載されている。そのほかのスペースでは、金属製とみられるフレームが見もの。本製品ではこのフレームにマザーボードが載り、底面から見て表面には冷却機構やメモリ、裏面にはHDDなどが載る2階建てのような構造をとっている。また、これだけのスペックを詰め込みつつも、比較的スペースが大きく確保されているのが印象的だ。前述の2階建て構造もあるが、マザーボードもかなりコンパクトにまとまっている印象を受ける。

 底面はそのほとんどを吸気口が占めている。ただし、ゴム足を含めてデザインコンセプトの統一が徹底されている。

底面のゴム足や吸気口までもデザインコンセプトを統一したデザインは一見の価値がある

前面にあるのは電源とバッテリーのインジケータのみ。背面にはHDMI 2.0×1、USB 3.0×1、DC入力を備え、残りの多くのスペースを排気口としている

左側面の端子は手前から光デジタル音声出力、マイク入力、ヘッドフォン出力、ライン入力、USB 3.0×3、有線LAN×2。右側面の端子はカードリーダー、USB 3.0×1、USB 3.1 Type-C兼Thunderbolt 3×1、Mini DisplayPort×2が並ぶ

キーボードは17.3型ボディに合わせてテンキー付きのものを採用。配列のクセがなく、入力のフィーリングもまずまず。ゲーミングPCらしくW/A/S/Dキーには枠をプリントして視認性を高めている。ほか、タッチパッド下の左右クリックキーの中央には指紋認証ユニットが搭載されている

キーボードバックライトも搭載。実用性はともかくゲーマー好みのギミックだ

キーボードバックライトとボディ天面のエッジLEDイルミネーションは、専用ユーティリティの「FlexiKey」から発光色の変更が可能

ACアダプタは200(幅)×100(奥行き)×45(高さ)mmと巨大。出力仕様は19.5V×16.9A≒330Wで、デスクトップ向けCPUと2基のGPUを搭載していると考えればギリギリの容量かもしれない

ACアダプタの重量は実測で1403kg。下手なモバイルノートPCよりも重い

Battery reportによるバッテリー容量は89.208mWhと表示された。十分な容量を持つが、構成上、消費電力はかなり大きいため公称2時間駆動。可搬性を確保するためというよりは、緊急時用といった印象だ
マウスコンピューター/G-Tune

→PC USER特設ページ「mouse station」
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